お稽古は、決めたことをやり遂げる時間
2018.10.09 Tuesday
(2018年の夏、武当山にて)
自宅でひとりでお稽古しているとき、「ピンポン」と呼び出しがかかったり、電話がかかってきたりすることがあります。
そんなとき、どうするでしょうか?やっていることを途中でやめて、対応するでしょうか?
お稽古をしているときは、「いきなりやめてはいけない。まずは収功(そのお稽古を終えて、日常に戻るための動作)してから対応すること」と、教わりました。
中途半端にやめてしまうのは、よくないのです。
もうひとつ、例えば站椿功(立禅)で腕を上げて立っているとき、腕が痛くなったり、苦しくなったら、どうするのでしょうか?
「やめて、仕切り直ししてもいい。ただし、なぜ途中でやめたか聞かれたときに、ちゃんと答えられるようにすること」と、教わりました。
理由をはっきりさせずにやめてしまうと、失敗体験になります。理由があれば、それは経験という蓄積になります。
お稽古の時間というのは、周りに流されず、人の都合に合わせるのではなく、自分を尊重して、決めたことをやり遂げる時間でもあります。
社会の中で生きていると、なかなか自分に集中するのは、難しいですよね。声をかけられたら、ちゃんと顔を見て答えたいとは思いますが、呼ばれるたびにそうしていると、気づかずに、自分が後回しになってしまうこともあります。
他人の期待を優先させているうちに、自分が何をしたいのか、わからなくなってしまうこともあります。
過去のわたしにも、そんなときがありました。
2009年の夏、初めてひとりで中国の武当山に行くことになったとき、友人から「今回はどんな時間にしたいの?」と聞かれました。考える前に口から出てきた答えは、「わがままに過ごすこと」でした。周りに合わせるのではなく、社交性を優先させることなく、とにかくそのときに自分が一番したいこと(お稽古)に集中しようと、思いました。
その頃は、自分が何がしたいのか、迷子になっていた時期だったと思います。
周りからも、「あなたは、自分を大切にしてない」と言われていた頃でした。
「わがままに過ごす」と決めて過ごした2週間は、自分ともじっくり向き合い、お稽古にも集中できました。そして結果的には、周りの人たちとも仲良く、楽しく、過ごせました。「自分がしたいことを優先させても、こんな風に過ごせるんだ。友達は、作ろうとしなくてもできるんだ」と、わかる、いい経験になりました。
太極拳の教室でも、自分で練習するときも、決めたことをやり通すことは大切です。30分、1時間、1時間半、自分で決めた時間は、それに集中します。
電話がかかってきても、後でかけ直せばいいことです。すごく大事な電話だったら、何度もかけてくるでしょう。(ただし、本当に急を要する電話があるとわかっているときは、もちろん出てください。)
以前、会社員だったとき、海外での研修に参加したときのことです。同僚たちと、「未読メールが溜まっていくよね」という話になったとき、そのうちのひとりが「研修中は見ないし、この期間に来たものは、みんなまとめて削除しちゃう。」と言うのです。「だって、後からなんて、読みきれないもの。本当に大事だったら、また連絡してくるでしょ。」と。
そのときは、度胆を抜かれましたが、あっぱれですよね。
決めたことをやり遂げることは、周りに流されることなく、そのときの自分に大切なことを見極めて、それを実現していく力をつけることでもあります。
自分の人生に迷子にならないために、自分の願いを実現していくためにも、大切なことですよね。
お稽古は、何ができて、何ができないかよりも、その時間をどう過ごすかが大事だと思っています。よい過ごし方をすれば、結果はちゃんとやってきます。
☀「陽だまり」とは
「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。
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いしい まゆみ(道号:静慧 / みんみん)
太極道家
体と心が目覚める太極拳(http://minminkung-fu.com/)
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