武当山日記:放松(ファンソン)

2015.10.03 Saturday























9月下旬から約2週間、武当山(中国、湖北省)にお稽古に行っていました。
そのときのお話を書いてみようと思います。

毎日必ずあるお稽古のひとつに、放松(Fàngsōng)と呼ばれるものがあります。
”放松”とは、リラックスと訳されることが多いのですが、
本当に全身リラックスしたら、人は立っていられません。
軸をしっかりさせて、不要な緊張を取り除いてリラックスさせます。

2人一組になって、相手の体を丁寧にほぐすところからはじめます。
上がその写真です。(写真は、今年の5月のものです)

その後、相手の体を押したり、ひっぱたりして、無駄な緊張がないかを確認しながら
放松の状態に導いていきます。
されている側も、自分で無駄な力が入っていないかなど、感覚を確認していきます。

それが下の写真です。

ある意味では、されるがままですが、自分の軸はしっかり持っています。
脚は大地に根をしっかり張り、頭は天に向かって真っすぐ伸びている状態です。





















人に触られることは、それだけで緊張します。
自分の半径60cm以内に人が侵入すると不快に感じると、聞いたこともあります。
ましてや実際に接触していると、そこに意識が向いてしまいます。
他人の動作によって影響されてしまう状態は、自分軸を失っており、
それこそ相手の思うツボです。

そうならないように、自分の軸をしっかり持つことを心がけます。
まず最初の段階のイメージは、草です。
風が吹いたり引っ張られたら、それに応じて動きます。自分で動いたりはしません。
引っ張られているのを離されたら、自然にもとに戻ります。
引っ張られているときに抵抗していると、離されたときに自滅します(笑)。

放松にも段階があって、次の段階のイメージは、どっしりした樹です。
太い幹は、押されてもたいていのことでは動きません。

これが、中国武術の体の使い方の基本だと思っています。

武当山で道路を歩いているとき、先生に横から押されたことがあります。
よろけたわたしに先生が、「太極拳の歩法でしょ」と一言。
ああ、そうか、と。
放松の状態で歩いていると、どっしりしているので、押されてもよろけません。

これ、すごく自己防衛にもなると思うのです。
普通に歩いているとき、悪気がなくてもぶつかられることもあります。
そんなとき、放松ができていれば、自分がつき飛ばされるリスクも少なくなると思うのです。

意識しなくても自然にできるようになるまでには、繰り返しの練習が必要です。
だからかもしれませんが、これは毎日お稽古します。

もうひとつ、自分なりにこのお稽古の意味を感じることがあります。
人に触られることで緊張する、と書きましたが、触る方も同じように緊張したりします。
相手を「別もの」と認識しているからかもしれません。
その意識を変える練習にもなります。
触ったところから相手の体が自分につながっていると感じていきます。

このお稽古をするようになって4年くらいですが、体の反応もだいぶ
変わってきたと思います。自分のプロセスを振り返ってみても、
焦らずゆっくり続けていくことが大事だと感じます。

そしてこれは、頭ではなく、絶対に自分の体で体験して、積み重ねて
いく必要があります。

わたしもまだまだ、発展途上です。
変化を感じていくのも、また楽しいのですよ。

武当山に行ってきます

2015.09.19 Saturday


(中国、武当山)

明日から約2週間、中国の武当山にお稽古に行きます。

6年ほど前から通うようになった武当山、訪問回数が1ダースを超えたところから、
数えるのをやめました。

何度行っても、行く前は緊張します。
この感覚が始まると、行く準備を始めていると感じます。

武当山は、わたしにとっては特別な場所です。
わたしの体と心は、武当山という場所で目覚め、育っていっている気がします。

ここではじめて武当太極拳と出会って、「よくわからないけど、なんだか良い気がする。
やりたい」と思った気持ちが、ずっと今に続いています。

山を走っていて、悲しくないのに涙がぽろぽろこぼれたこともあります。

自分のエゴを思いっきり見せつけられた経験もあります。

エゴだらけの自分に嫌気がさし、絶望的な気持ちにもなりました。
でも、そんなダメな自分でも、
わたしは最後まで自分の味方でいようと、はじめて思えたのもこの場所です。

穏やかな心を持って生きること、

丁寧に生きること、

見えているものよりも、見えていないものの価値を教えてくれたのも、ここです。

自分の居場所を外ではなく、自分の中に持てたのも、ここです。

あげていくと、きりがありません。

誰にでも目覚めていくきっかけがあるとしたら、
わたしの場合は、武当山という小さくて大きな場所が、その入り口になっている気がします。

楽しいことも、苦しいことも、うれしいことも、嫌なこともたくさん経験していますが、
どれも大切な経験です。

最近、なぜわたしが太極拳を選んだのか、なんとなくわかるようになりました。
今回はこの感覚をそのまま持って、武当山で過ごしてみようと思います。

武当山という山への、絶対的な信頼を持って、

行ってきます。

 

「怖い」気持ちに理性で蓋をしないこと

2015.09.14 Monday


(今日の東京、丸ノ内)

二晩続けて、怖い夢を見ました。
あまりに怖くて、目覚めも憂鬱です。

どうしたらよいかわからず、わたしの人生の師匠に電話してみました。
「怖いのに昼間、大丈夫って思いすぎているのかも。
我慢しているとその分、夜にストレスがかかってくるから。」

そして、「今のこの状況では、怖いのは普通でしょ。」

台風とその被害、東京での早朝の地震、今日の阿蘇山の噴火、それに加えて
人身事故も多いような気がします。

それにつられて自分が不安になると、もっと加速させるような気もして、
「大丈夫、大丈夫だからね」と自分にも、地球にも言い聞かせていたと思います。

本当は怖いのに、です。

「大丈夫と思うことも大事だけど、でも怖いんだよね、と、それも認めないとね。」

つまり、我慢しすぎだったのかもしれません。

わたしはこんな風に、自分の気持ちに蓋をしてしまうことがあります。
理性で蓋をするのです。
たとえば、誰かに連絡してお返事がない場合、
近い人だと状況を知っているので、「今、忙しいからね」と、返事がない理由を
理性で言い訳して、本当の自分の気持ちに蓋をしてしまいます。
本当は、お返事がほしいのに、です。

その話を師匠に話したら、
「そういうときは、お返事がほしいの、ほしいのって、言ってみればいいのよ(笑)。」

ちいさな我慢も、たまると爆発します。
わたしがこれでご迷惑をおかけした人は、たくさんいるはずです(ごめんなさい)。

環境や状況が荒れ気味だったら、怖いのはふつうのことです。
でも、それに必要以上に持っていかれて、自分の軸まで崩れてしまわないように、
せめて自分の中では平和で穏やかな環境を保とう、と心がけます。それでも、怖いです。

怖い中にもうれしいことや幸せなことは起こります。それも事実です。
今朝は、聴覚障碍者の方への太極拳教室で、生徒さんがとても上手に、「呼吸で動きをリードする」
をやっていらして、「いいなあ、上手だなあ」と思って見ていました。とても幸せな時間でした。

わたしが太極拳をするとき、一番大事にしているのが、心を穏やかにすることです。
そして、自分のバランスをととのえて、自分と周りとの調和をとっていくことです。

それはきっと、ちょっとバランスを崩すとすぐに外の環境に自分の軸を持っていかれてしまうから
だと思うのです。自分の軸を、しなやかに強く保つための手段として、太極拳をする、ということを
選んでいるような気がします。

穏やかな人が一人いると、10万人が救われる、という話を聞いたことがあります。
音が振動で伝わっていくように、人の気も波動のように伝わっていくと感じます。
平和を願うなら、自然災害は止められないとしても、被害ができるだけ小さくすむように、と願うなら、
まずは自分が平和を保つようにしよう、と思っています。
だから、わたしにとって、太極拳をすることは、祈ることでもあると思っています。

外界で嵐が起きても、自分の心の中まで荒らすことはできません。
心が荒れるとしたら、それは自分が選んでいるだけです。
「怖くない、大丈夫」と我慢することも、実は心を荒らしている場合もあると、思います。

災害等で被害にあわれた方々に、お見舞いを申し上げます。
鎮まっていくことを、心から祈っています。
 

クラスはみんなで作るもの

2015.09.13 Sunday



月に1〜2回、愛知県の豊橋に出張お稽古に行っています。
その名も、「なかよし太極拳クラブ」。
生徒さんがつけてくださったクラブ名です。

友人でもある生徒さんと、ほぼプライベートレッスンで始めたのが
約1年半前のことです。
最初は生徒さんお二人で始めたお稽古も、もうお二人増えて、にぎやかになってきました。

そんな「なかよし太極拳クラブ」の新たな挑戦が。。。
なんと、お稽古でお借りしている施設のイベントに出演しようか、というたくらみがあるのです。

半年ほど前、別の施設でイベントが開催されているのを見たときに、
「知っていたら、出演しちゃったりしたかもね(笑)」という冗談交じりの話から
「目標があったほうが、頑張って練習する!」という生徒さんの声もあり、
「機会があったら、出るのもいいね。」と言っていたのです。

そんなときにひょっこり出てきた、今回の施設のイベント。
エントリーは本日ということで、日程を確認して、その場でほぼ決めてしまいました(笑)。

すごいと思うのは、わたしが「出ようね」とお勧めした話ではないのです。
生徒さんのアイディアなのです。

「どうせみんな、中央の先生を見るから大丈夫」という生徒さんに、
「えっ?太極扇は、わたしは出ません。見てます」と、わたし。
「えーっ!!!」

最初からお稽古している生徒さんお二人の希望で、教え始めたのが武当太極扇です。
お稽古を始める前に「扇を開けないと動きの練習に入れないから、それぞれ練習しておいてね」と
扇を渡したところ、最初のお稽古にはちゃんと、開けるようになってきたのです。

これは、本当に偉いことなのです。
扇は、手首をほとんど振らずにお腹の力を伝えて開きます。バラバラと音を立てるのもダメで
「1」というタイミングで開かないといけません。
指もリラックスしていないと、扇を開くのを途中で止めてしまいますし、開いたら今度は指で固定しないと
バラバラしてしまいます。
近くに指導してくれる人もいない中で、ちゃんと開けるようになっていたことは
本当にすごかったです。

そこから約半年で動きをほぼ覚えて、その後は体をやわらかく使って、安定して動けるようになるために、
太極拳を中心に練習し、ときどき扇の練習に戻ってみる、ということを続けてきました。
この練習方法は、わたしの中国の先生のアドバイスでもあるのですが、
ときどき扇に戻って練習してみると、前よりも上達しているのがわかります。

一生懸命、まじめに、そして何よりも「楽しい〜」とお稽古してくださることが、
本当にうれしいです。
クラブ名のとおり、なかよく続けてこられていることにも、すごく感謝しています。

中国の武当山でお稽古していたときに、、先生がおっしゃっていた言葉があります。
「まず、自分が楽しくて気持ち良いのが一番。そして見る人も楽しく、気持ちよくなるものが良い太極拳」。

今まではクラブの中や、知り合いの前でしかやってみたことがなかったものを、
今度は知らない人々の前でやってみることになります。

楽しい、という気持ちを大切にして、それを体で表現する演武は、コミュニケーションのひとつです。
わたしは観てくださる人々との交流も、とても好きなのです。
はじめて会った方と笑顔で交流できたり、笑顔の人の輪が広がることが、好きなのです。

イベントまであと2か月。お稽古は2回です。
掲示スペースもあるらしいので、武当山の紹介なども考えています。

新しい生徒さんお二人には、まだお話していないのですが(笑)、
お二人にもどこかで出演できるように、できる限りサポートしようと思っています。
お祭りのようなものですし、みんなで楽しめるのが一番です。

クラブは、先生だけではなく、みんなで作るものだと思っています。
集まってくださる方によって、変わっていきます。
そんな変化を一緒に経験させていただくことには、感謝という言葉しかありません。

本当にいつも、ありがとうございます。
 

からだにおいしいごはんを食べる

2015.09.06 Sunday


(汁なし担担麺の具を入れたところ。この上に麺をいれて混ぜていただきます)

太極拳をきっかけに、興味をもって始めたことがいくつかあります。
そのうちのひとつ、今のわたしにとても大切なことが、
「からだにおいしいごはんを食べること」です。

わたしたお稽古に行っている中国の武当山は、漢方もさかんです。
4年前にお稽古から帰ってきて、「今度は漢方も勉強したいな」という話を
知人にしたところ、「薬膳料理の方がおすすめ。毎日の生活に取り入れやすいし、
おいしくてからだにも良いから」というアドバイスをいただきました。

それからほぼ毎月1回のペースで、お稽古に通っています。
どの季節に何を食べるか、どんな食べ方をするかを学んでいくことで、
わたしのからだはずいぶん、元気になりました。

元気なからだのためには、太極拳のように体を動かして、不必要な緊張を取り、
必要な筋肉をつけていくことも大切です。筋力、特に足の筋肉は、
下半身に6割あると言われている血液を心臓までおくるポンプの役割をしてくれて、
心臓に負担がかかりすぎないように助けてくれます。
無駄な緊張が取れれば、横隔膜がやわらかく上下運動して内臓のマッサージにもなるため、
内臓を活性化の助けにもなります。

でも体を動かすだけでは足りません。
エネルギーになるための、水分、栄養分をとっていくことも大切です。

薬膳は、病気になりにくいからだを作るために役立ちます。
ポイントは、自分の体質にあったものを食べる、旬の食材をとる、バランス良く食べることです。

最初の体質にあったものについては、自分で探っていくしかありません。
何を食べた後に調子が悪くなったのか、何を食べていると良いのか、
自分の様子を観察して学んでいきます。

あとの二つ、旬の食材を取ることと、バランス良く食べることは、共通しています。
まずバランスは、1日の中で五色(緑、赤、黄、白、黒)と五味(酸味、苦味、甘味、辛味、塩味)
を取ることを心がけます。
五味五色を基本とし、さらにそれぞれの季節に関連する色と味を、多めにとります。

春: 緑、酸味 ー肝臓
夏: 赤、苦味 −心臓
土用:黄、甘味 −胃、消化器系
秋: 白、辛味 −肺
冬: 黒、塩味 −腎臓

右に書いた臓器は、それぞれの季節にダメージを受けやすい場所です。
なお土用は、四季の変わり目にはすべて存在するのですが、夏から秋にかけての
変化が一番厳しいため、立秋までの18日間をちょっと特別扱いしています。
日本でも土用の丑の日があるのは、同じような理由だと思います。

今は秋ですので、白を多めなのですが、実際には前の季節の色も意識して、
黄色、白を多めにます。
今の時期、夏の暑さが体内にこもりやすく、体の内部や血管が熱によるダメージ
を受けやすくなります。咳が止まらなかったり、鼻水が出るのは、その影響である
可能性が強いそうです。
この状態で肺が弱りやすい秋に入っていくと、咳がとまらなかったり、肺関係の病気に
つながってしまうこともあります。
黄色い食べ物は粘膜を修復する作用もありますし、さらに白で肺をケアします。

薬膳というと、漢方を想像する場合もありますが、漢方薬は基本、薬ですので、
毎日の生活では取りません。いざというときに効かなくなってしまうこともありますし、
未病(病気にならない)からだを保ち続けるためであれば、普通の食材でも十分です。
(病気があったり、体質によって、お医者さんから薬や漢方をすすめられている場合は別です。)

しかも漢方薬はたいてい、「おいしい」味ではないと思います。
毎日、旬のものをバランスよく、おいしく食べることが、大切です。
30歳を過ぎている人なら「おいしい」と感じるものはからだが必要としているもの、とも言われています。
(それより若い人や子供の場合、自分に必要な要素がわかるほど育っていないそうです。)

ちなみに、白の例は、かぶ、大根、白菜、じゃがいも、サトイモ、長芋、レンコン、もやし、です。
なすは、中身が白、外が黒です。

今、食べるものが、3か月後のからだをつくります。そして、3年後のからだにもつながります。

ちょっとした知識をつけることで、毎日を元気に過ごす人が増えることを願って、
自由が丘の教室では、会場の都合が許す限りですが、
お稽古後に「ワンコイン(500円)ランチ」をしています。
メニューはささやかですが、できるだけ手作りで、
生徒さんにも準備やお片付けをお手伝いいただきながら、
季節の食べ物や食べ方のご紹介もしています。

料理教室ではありませんし、座学ほど大げさでもありません。
食べながら、ちょっとしたポイントが記憶に残っていくといいな、と思っています。

何よりも、一緒に食べるごはんは、おいしいです^^。
こんな小さいところから、人とのつながりも育っていくと思っています。

わたしに薬膳を教えてくださっているパン・ウェイ先生には、感謝をこめて。
わたしは先生の、食に対する丁寧な向き合い方を、とても尊敬しています。

(参考文献:「薬膳料理教室の体においしいごはん」パン・ウェイ著 成美堂出版)












(汁なし担担麺、麺を混ぜたところ。8月29日のメニューです)












(水餃子。生徒さんが包んでくださいました。9月6日のメニューです)


(自由が丘教室の会場、シェア奥沢です。ここは食、アートなど
共通の関心をもとに人々が集う場所です。イベント時には、参加された方が
軽食や食事を一緒にされることも多いです。)
 


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