からだは必ず応えてくれる

2015.11.23 Monday


(仆歩 Pūbù)

太極拳をずっとお稽古してきて思うのは、「からだは必ず応えてくれる」ということです。
誰でもそれなりに、やった分だけ結果がくるのです。

生徒さんの中には、武当山には行ってみたいけど、「先生と一緒に練習するなんて、とてもとても」
とおっしゃる方もいらっしゃいます。

躊躇する気持ちは、わかります。
わたしもはじめてのときは、そうでした。

わたしは子供の頃からかけっこが苦手で、そのために”運動音痴”だと思っていました。
そんなわたしが、ひょんなことから中国、武当山の武術学校に1週間行くことになりました。
2008年のことです。

太極拳は、それまで1年ほど習っていました。
知人がやっていたので見学に行ったら、先生が素晴らしかったので、「やる!」と決めたのです。
体の使い方、意識の持ち方、「この先生には、わたしにできないこと、わからないことができる」
と思ったのがきっかけです。
でも自分はというと、1年やってもピンときません。進歩も感じられません。
「なんだか、なあ」という、説明できない感想そのままに、モヤモヤしていました。

そんなときに、当時受けていた講座の先生が武当山の武術学校に行くことになり、その期間に、
友人たちと一緒に、遊びに行ってみることにしました。
「こんな遠いところ、一生で一度、行くか行かないだしね」と。
同じ教室で武術を習っていた人が多かったこともあり、「どうせなら学校でお稽古しよう」となりました。

でも、”運動音痴”のわたし。かつ、太極拳もピンとこないわたし。 
”毎日が体育の授業”のような学校で、ついていけるのか、すごく不安でした。

でも、そこで武当太極拳をはじめて経験したときに、「これ、いい。これをやりたい」と
すごく思ったのです。からだの芯から動く感覚を、わからないなりに実感できたからです。

はじめての武当山体験は、山頂まで登れば翌日は全身筋肉痛、
足首はひねってもいないのに腫れあがったりと、大変なことになりました。
でも、そのときに芽生えたやりたい気持ちと、武当山という山の環境に惹かれて、
今に至っています。

8年の間、いっぺんに何かが起きたわけではなく、亀のように少しずつ道を進んできました。
足首は弱かったので、いつも怪我しないようにケアしていましたし、ヒザを痛めたこともありました。
冒頭の写真のポーズも、最初は足が弱すぎてできませんでした。
でも少しずつ積み重ねていくことで、怪我しない方法も覚えましたし、弱かったところも少しずつ
強くなっていきました。
悩んだことも、回り道をしているような気がした経験も、今みれば全部、財産です。
8年前に比べたら、からだは見違えるほどしっかりしました。
同時に、無駄な力みは抜けて、パワーはつきました。

こんな過程を経てきたから、やった分だけからだは必ず応えてくれる、と言えます。
ただし、結果の現れ方を人と比較すると、同じではありません。
やわらかい人、固い人、集中力がある人、ない人、覚えの早い人、遅い人、など、
人には固体特性があるからです。
以前習っていた先生から「人の成長は、あなたの成長には全く関係ない」という
言葉通りだと思います。

誰でもそれなり、
自分は自分の人生を生きる、
それでよいのだと思います。

「かけっこが遅い」も、人との比較です。
それだけで「運動音痴」と決めたのは、わたしが作った妄想です。
この8年、わたしにも何度も「〇〇だから」という躊躇(=妄想)がやってきました。
でも、でもそのたびにいつも、「やる」という選択をしてきました。

大事なのは、「わたしは〇〇だから」という躊躇で、やりたい気持ちにストップをかけないこと
だと思います。いいなと思ったら、やってみることです。
必ず、からだは応えてくれるんですよ、本当に。


 


武当山日記:体を温める

2015.10.05 Monday













(中国、武当山。南天門からの眺め)

今回、中国の先生たちとわたしの、大きく違う点に気づきました。

上着の脱ぎ着の回数が違うのです。

中国の先生たちは、ちょっとでも寒いと、すぐに上着を羽織ります。
それも裏にキルティングがついている、そこそこ温かいものを羽織るのです。

お天気が悪い日は、日中でもかなり肌寒かったのですが、
そんなときは上着を羽織ったまま、お稽古を始めます。
動いて暑くなると脱ぎ、休憩になるとまた羽織るなど、
脱いだり着たりをこまめに繰り返します。

わたしは、と言えば、ちょっと寒いと思いながら
そのままにしてしまうこともありました。
脱いだり着たりの頻度は、極端に少なく、
これでは自分の体を大切にしているとは言えません。
わたしはまだまだ雑なのだなぁと、しみじみ反省しました。

体が温かいことは、健康のバロメータでもあります。
冷え症の赤ちゃん、というのは、ちょっと聞いたことがありません。
これからぐんぐん成長する赤ちゃんは陽気に溢れているため、
体温が高いという考え方があります。
気功や太極拳は陽気を育てるもので、血流を良くして体を温め、
理想的とする赤ちゃんの状態に近づけることで、生命力を強くすると言われています。

温かさを保つために、筋肉量をつける必要もありますし、
体を無駄に緊張させずに動く、ということもあります。
しっかり呼吸することで、横隔膜が動いて、内臓をマッサージする、ということもあります。
リラックスさせるためには、イライラせず、心を落ち着けることも大切です。
これらはすべて、気功や太極拳で実現できます。

でも、冷えてしまった体をあれこれと温めていくよりも、
寒いなら上着を着て冷やさない方が、簡単です。
特に今の季節のように気温差が激しい環境では、体の適応が追いつきません。

筋肉量もあり、体も動かしている先生たちでも、まめに脱ぎ着をするのであれば、
わたしはもっと自分の体に気を配らないといけないと思いました。

上着を羽織るというちょっとしたことを、まめにするかしないかで、
ゆくゆく、大きな違いになってくるのかもしれませんね。


(朝焼け)
 

足のサイズが1cm以上、大きくなりました

2015.08.03 Monday



太極拳をはじめてから、足のサイズが大きくなりました。
もともとは22.5cmでしたが、今は23.5cm、ものによっては24cmです。
1cm以上大きくなりました。

形で見ると、まず足の指が長くなり、1本ずつしっかり主張しています。
足の甲も、ふっくらしました。
足の裏の感触は、前よりも大地をしっかりつかめるようになった気がします。

太極拳をやっていると、「足の指で大地をつかむように」と習います。
「少しね」とつくところがポイントです。
指を立ててきゅっとつかんでしまうと、足の裏は緊張してしまうからです。
これが腑に落ちたのは、わりと最近のことで、半年前くらいです。
足が大きくなったのも、その頃からです。



上の図にあるように、足にはたくさんの関節があります。
でも、靴を履く生活では、靴の中で縮こまっていたり、
指を1本ずつ使うこともありません。手の指に比べて、足の指の方が
自由に動かないのではありませんか?
でも本当は、足はもっと自由に動くのです。たくさん可能性があるのです。

わたしは、自分の練習でも、クラスでも、最初にぶらぶら体操をしています。
足の先、手の先を、ぶらぶら振るだけです。
最初は緊張が強くて、なかなかほぐれないのですが、
慣れてくると、手足がイソギンチャクみたいにゆらゆら動いたり、
ちょっと自分のものじゃないみたいに気持ち悪く(笑)動き始めます。
わたしはガイコツをイメージして、カラカラと全部の関節が自由に動く姿を想像しながら
振ります。これで末端をほぐします。
縮こまった関節に本来の隙間を取り戻す、ともいえると思います。

太極拳は、体の中心、腰から動きますが、その準備としてほぐすときは、
末端からやるほうがやりやすいのです。

ほぐした状態を覚えておくことも大切です。
歩くときも、足の裏をこのままのやわらかい状態にしておいて、
足の裏が大地についたら、吸盤を吸いつけるみたいに、足をしっかり伸ばします。
今は、伸ばすことが、つかむことだと思っています。

クラスで太極拳の動きを練習しているときも、足がふらつくことは、よくあります。
そんなとき、「足裏をやわらかくしておくことを意識してみてね」と言うだけで、
あっという間に安定する方もいらっしゃいます。
足が使えれば、安定感は飛躍的に変わるのかもしれません。

もうひとつ、思い出したことがあります
中国の武当山でお稽古していたとき、ちょっと高いところに上って写真を撮った後、
ひとりずつジャンプしておりたときのことです。
先生たち、降りるときに足音がしないのです。
わたしは、パタッという音。なんで?何かが違うぞ?と思ったのです。

あれは足の裏の柔かさの違いなのかもしれない、と思うのです。
緊張していたわたしの足は、パタン!という音が出ます。
でも柔らかければ、地面に吸い付くため、音も出にくくなります。

カンフーをやっている人たちは、直角の壁を何歩か駆け上ったりします。
これも、足裏が柔らかいから吸盤みたいに吸い付くのかしら。。。

足は、使うと決めれば、もっともっと自由に使えるのだと思っています。
もっと発達させることも、きっとできます。それを使わないのは、もったいないと思うのです。
そして大地をしっかり踏めるようになれば、自分の軸も作りやすくなると思っています。
人や環境に振り回されない自分も、作りやすくなるかもしれません。
なぜなら、精神的にも肉体的にも、緊張する筋肉は同じだからです。
ならば体からほぐせば、精神的にもほぐれるかもしれませんよね。

まずは靴をはいて縮こまった足をほぐすところからはじめます。
毎日のぶらぶら体操、おすすめですよ。

忍者ごっこも上手になりますしね、きっと(笑)。えへへ。



 

体のコンプレックスと、争わない心

2015.06.24 Wednesday


太極拳クラスには、体が固いことを悩み事としておっしゃる方もいらっしゃいます。
体はやわらかい方が良い、ということなのでしょうが、
固いことを悪いと思ってしまうと、自分で自分を責めたり、攻撃することにも
なりかねません。

体のコンプレックスで自分を責めることは、自分と争うことでもあると思っています。

太極拳をする上でわたしが大切にしているのは、”争わない心”です。
武術の武は”戈を止める”と書くように、武術である太極拳は、戦いを止めるためのものです。
戦いが起きてしまった場合、自分の力は最小限にして(たくさん使うと疲労するからです)、外に出る力が
最大になるような体の使い方をして、相手の軸を崩して戦意を失わせます。
一番良いのは、戦いを起こさないことです。相手に戦意を持たせないこと。
そのためには、自分がリラックスして穏やかでいることが大切です。

イライラしている人を見ると、イライラしたりすること、ありませんか?
びくびくしている人を見ても、そのおびえが伝染する経験、ありませんか?
どちらも相手からの攻撃対象になりかねません。
逆に、赤ちゃんのようにやわらかく平和な存在は、攻撃する気持ちを起こさせないと思っています。

他人への攻撃は比較的わかりやすいですが、自分への攻撃は、気づきにくい場合もあります。
「こんなわたしじゃだめなの」とコンプレックスを持つことは、今の自分を攻撃していることでも
あると思います。自分と争っている状態です。

わたしも、そうでした。
痒疹という皮膚疾患が出たときは、痒さで寝られないことにイライラしましたし、
皮膚のぶつぶつを「醜い」と思って、嫌っていました。
そして子供の頃からある側弯症も、ずっと大きなコンプレックスのひとつでした。
でも太極拳を始めて、あるときに、体のコンプレックスで自分で自分を嫌っていることに気づきました。
一番近いところで、わたしが嫌ったら、わたしが責めたら、誰もわたしを守ってあげられないのです。
「ごめんなさい。これからは、ぜったいにわたしがあなた(=わたし)を守るから」と
自分に約束しました。5年くらい前のことです。

体のコリ、固さ、アンバランスには、理由があります。
それは、自分の体を守るために、固くなっていたりすることもあるのです。
たとえば、立つときに、立つための筋肉が正しく使えずに不安定なままだと、
体を支えようとして、本来は緊張する必要のない筋肉が緊張します。
たとえば横隔膜です。本来、横隔膜はやわらかくしておいて、呼吸するたびに
上下運動をすることで、内臓のマッサージをしてくれます。
でも、立ち方が不安定だと、背骨を支えようとして、横隔膜をきゅっと硬くさせたりします。
そうすると、呼吸に応じてやわらかく上下することはできなくなりますし、
横隔膜を通っている静脈や動脈もきゅっとしまるために、血流も悪くなります。

体の部位にはそれぞれの役割がありますが、危機的な状況では本来の役割を捨てて、
自分を守る働きに走ります。それが、コリや固さになっている場合も多いのです。

ですから、体が固いのは、自分の体を守ろうとして、そうなっている場合も多いのです。
嫌うよりも、むしろ、ありがとう、です。

それでも、本来とは違う役割をし続けているのは、やはり困ります。
だから、いらない固さやコリはとっていく方向に進むのが良いのですが、
「コリがある」ことを悪い、というのとは違うのです。

そして前回のブログで書いたように、実は自分が思っているよりも、
自分の体はやわらかかったりするのです。
(「限界を超える: 今日のお稽古から」http://blog.minminkung-fu.com/?eid=57))

自分と争わないこと。
灯台下暗しで、ついやってしまっていることもあるので、
気づいたら、また”道”に戻る、の繰り返しです。
生きることは、完ぺきとは程遠いですが、その不完全さも良かったりします。
山の姿が美しいように、人間も、ありのままの自然な姿が美しいと思います。


(今年5月の武当山。ありのままの自然な姿が、美しい。)

限界を超える:今日のお稽古から

2015.06.21 Sunday
















(この絵は今日のお話の説明ですが。。。パンダの横顔は難しい。。。)

今日の太極拳クラスで、わたしが好きなエクササイズをいれてみました。
題して「自分の限界を超える。」別名、「可能性にチャレンジ!」

ふたり一組になり、一人が壁を背にして立ち、もう一人がその人の片足を持って上げていきます。
それだけです。でも、これだけですが、これ、すごいのです。

立っている人は、リラックスしてまっすぐ立ち、自分のリズムで呼吸をつづけるだけです。
自分で足を上げようとしてはいけません。
お仕事は、パートナーさんにお任せします。

パートナーさんは、立っている人の様子を見ながら、ゆっくりと足を上げていきます。
途中、肩や腰がねじれたて高さがずれたら、それも修正してあげます。
足や腕、体に力が入っているのを感じたら、そこを撫でてあげたり、言葉で伝えたりしてあげます。
持っている足の具合や立っている人の様子を注意深く観察しながら、きつそうになったらちょっと止めて、
もうちょっと行けそうだったら上げていきます。もちろん、言葉で「痛い?」と聞いてあげることも大切です。

過去、いろいろなクラスでやっているのですが、ほぼすべての人が、自分の足の上がり具合に驚きます。
「こんなに自分の足が上がっている!」
つまりこれが、限界越えです。正確に言うと、自分で思い込んでいる限界を超えることです。

ポイントは、ふたりでやることです。
緊張することで、体は硬くなります。
でもこれは、足を上げる仕事をパートナーさんにお任せしてしまうため、
状況として、力を抜きやすく、緊張をほぐしやすくなります。
緩めば、足はもっと上がります。

「足はここまでしか上がらない」と、思い込んでいるラインがあったとしても、
それは自分で決めた”まぼろし”の限界だったりします。
自分が決めたら、当然そこが限界点になります。
でも、パートナーさんを信じて主導権をゆだねることで、まぼろしの限界もなくなります。
そして、自分でも驚く結果が、思っていたより上がる足、という形で目の前に現れます。

パートナーさん側にとっても、いろんな経験ができます。
まず、足を持ったら相手の様子をじっくり観察することです。
持った感触で、もうちょっと上がりそうか、ちょっと待った方がよいか、見ていきます。
パートナーさん側が”まぼろし”の限界を勝手に決めてしまうと、
そこが終わりになってしまうため、相手の可能性を信じることも大切です。
言葉もかけながら、緊張をほぐすサポートもして、呼吸を合わせてあげていきます。

お互いを信じることが大切です。

片足が終わると、「上げた方だけ長くなった気がする」という感想もでてきます。
ちゃんと、両足やります。
そして両足終わった後は、自分の体の感覚もじっくり観察してもらいます。

今日は「上下のバランスがととのって、体が軽くなった」とか、
「足の裏がしっかり床についた」という感想がありました。

ここも面白いところなのです。
実は、このエクササイズをやると、わたしは体がずっしり重たい感じがするのです。
緊張が取れて、リラックスすると、寝てしまった赤ちゃんのように重たくなるからです。
でも最近、これをすると「体が軽い!」と嬉しそうにおっしゃる生徒さんが結構いて、
最初は「?おかしいぞ」と思ったのですが、それもわたしの思い込みです。

「軽い」と言った人を確認すると、ちゃんと重さはずっしりと下に落ちています。
(これは、脇の下に手を入れて持ち上げようとしてみると、わかります)。
立つのに必要な筋肉がきちんと使われて、楽に立てていれば、
それは確かに「軽い」という感想になるのかもしれません。
立つために必用な筋肉は「緊張筋」といって、緊張を感じない筋肉だからです。
わたしも、自分の”まぼろし”の限界越えを、経験させていただきました。

そして、この立ち方が、太極拳をやっているときの体の状態だと思っています。
もっと言えば、普段の生活も、この体の状態であることが理想です。
放松(ファンソン)という中国語は、なんとも訳しにくいのですが、
一番簡単にいうと、リラックスです。でも、だらーん、とするのではなく、
立つために必要な筋肉はしっかり緊張させ、そうでないところは緊張を抜く、
という状態です。緊張筋は、緊張を感じないため、自分の自覚としては、リラックスして楽な状態です。
このエクササイズでプチ体験すると、それを再現する目安になります。

そして、共同作業であることも、わたしが好きなポイントの一つです。
これはひとりではできません。
さらに、人に触ることが苦手な人、ちょっと恐いと感じる人もいるため、
それを緩和していくひとつ方法だとも思っています。
ふたりであれこれ、わいわい、呼吸も合わせて真剣にとりくむ姿は、とても良い光景です。

できる、できない、ではないのです。
自分でできないと決めたら、そこで終わり。
隣の人と比べることも、意味がありません。
「やる」と決めて、やってみること。
これはすべてに通じることで、人生は「やると決めてやってみる」の連続だと思います。

おかげさまで、今日も楽しいクラスでした。みなさん、ありがとうございました。



 



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