太極図の意味、太極の心

2014.12.30 Tuesday












太極図。陰陽マーク、タオマークとも呼ばれます。
静止図ですが、実際はぐるぐる回って動いています。

黒が陰、白が陽。これは2匹の魚がお互いに追いかけっこしながら、
生き生きと運動していることを示しています。
白の中に黒の点があり、黒の中に白の点があることは、
陽の中にも陰があり、陰の中にも陽があることを示します。

陽の要素が大きくなってくると陰の要素が現れ、陽が強くなりすぎるのを抑えます。
逆も同じ。
こうやって、二つの異なる要素が動きながら、調和を保っています。

太極図は、二つの要素が一つの現象の中にあることを示す、とも言われます。
地球だったら、天と地。人間だったら、男女。健康だったら、心と体。
異なる要素は同じになることはありませんが、お互いに助け合います。
どちらかが強くなりすぎると、調和が保たれません。
太極拳をするときに、私は心の持ち方が大切だと話しますが、それはここからもきています。
調和が保たれていれば、キレイな〇ができます。これを”円満”と言います。

この太極、二つの極が生まれる前を、無極と言います。混沌、とも表現されます。
人間が生まれる前のときです。
精子と卵子という二つの要素がくっついて人間が生まれます。
命が芽生えると心臓は鼓動し、赤ちゃんは生まれると呼吸を始めます。
心臓の鼓動も、呼吸も、上下にゆるやかな曲線を描きます。
どちらに傾きすぎることなく、動き続けます。ちょうど、太極図のように生き生きと動き続けます。

同じことの繰り返しですが、そこには”発展”があります。
心臓が鼓動し続け、呼吸を繰り返して、人間は成長していくからです。
同じところにはとどまっていません。
細胞はかならず入れ替わるし、人間は、ほっておいても成長するようにできています。
上から見たら同じ動きでも、横からみたららせん状に上がっていっている、という表現もできます。

武当太極拳の背景にある道教で、3という数字を”発展”としているのは、ここからきていると思います。

太極拳でも、一番最初に行うのは、無極から2極にわける動作です。



まっすぐ立つ(無極)ところから、足を真横に開きます(2極)。
ここからすべてが始まります。この最初の部分、すごく大切だと言われています。
ここで失敗すると、残りが全部だめになると言われてきました。
大地に足の根っこをはり、天に向かって自然にすっと伸びるという立ち方をして、
穏やかなまぁるい心を持ちます。
私は、無極から2極にわけて、ここから始めていく、作っていくという意識を持っています。
単純な動きですが、とても大切で、とても美しい場面だと思います。

今年もいろいろな経験をしました。
陰も陽も、陰の中にも陽があり、陽の中にも陰があり。
悲しいことも、楽しいことも、どちらの価値も同じだと思うようになりました。
それを繰り返しながら、発展していきます。
これからも、太極の心を大切にしていこうと思います。

今年は、おかげさまで良い年でした。
のろまだったり、うまくいかないこと、できないこともまだまだありますが、それも良しとしようと思います。
私という存在と、私の周りの存在すべてに、感謝しています。

みなさまもどうぞ良いお年をお迎えください。


 

太極拳を山の上で練習するのはなぜ?

2014.12.28 Sunday



私が毎年お稽古に通うところは、中国の湖北省にある武当山という山です。
ここは道教の聖地のひとつで、伝説によると太極拳の発祥の地とも言われています。
今でもカンフーの学校がたくさんあり、お稽古には外国からも生徒が訪れます。

カンフーで有名な少林拳は、仏教の僧侶がやっているもので、こちらも山の上にあります。

なぜ、山の上でやるのでしょうか?

それは、山が、地球のおへそ、つまり丹田だとされたからだそうです。
大地と天が接する一番高いところだから、地球のおへそ。
カンフーでは丹田を大事にします。
地球の丹田である山の上で鍛錬するのが良いと考えたらしいです。

なるほど、昔の人は、スケールの大きいことを考えましたね。

お稽古は、雨が降らない限り外で練習します。
師父(先生)は、景色の良いところで練習するのが好きです。
そして「山をみなさい」と、よくおっしゃいます。
疲れている人、煮詰まった感がある人には、特にそうです。


山は、見ていても飽きることはありません。
雲の動きや光のさし方、時間、季節など、さまざまな要素で、一瞬一瞬、違うものを見せてくれます。
空間も、時間も、大きな、そして自然な流れを感じます。

人を小宇宙、宇宙や自然を大宇宙と呼ぶように、人と宇宙は対応していると言われています。
だから、大きなものに触れていると、小さな自分の中の自然な流れを思いだすのかもしれません。
小さいことで悩んでいた自分が、どうでもよくなったり、
自分にとって大事なものがはっきりしてきたりすることがあります。

「山を歩いているうちに、原点に戻った」と言った人もいます。
武当山にお稽古に行き、いろいろと悩むことがあったのですが、
混乱している自分の状況を受け止めつつ、ひたすら山を歩き、
帰国してからも近所の山に登ったそうです。
そんなことをしているうちに、すごくシンプルな答えに到達したのだ、と言っていましあt。

この話を聞いたときには、すごいなあと思ったのです。
この人の力と、山の力と、両方がすごいと思うのです。
理屈では説明できないものが、山にはあると思っています。

山にいると、静かにうれしくなって、心が震えます。

来年も、また行きますからね。武当山。

いつもお稽古している広場で明月師匠と2年前にとった写真です。
ここから、武当山のてっぺん、金頂が見えます。



 

地球と共に生きる太極拳

2014.12.18 Thursday



自然の中で太極拳をすることが好きです。
普段は公園で、時間が許すときは山で。中国で練習するときも、いつも外です。
樹木の緑や青い空、風の音、虫や鳥の声、草の香り。豊かな自然に癒される気がします。

ずっと、自然は私を癒してくれると思っていました。
いつもそこにあり、私を受け止めてくれると思いこんでいたのです。

でも今年の5月にチェンジ・ザ・ドリーム シンポジウム
http://changethedream.jp/)に参加して、
地球の現実を知ったときに「なんだか違う」と思ったのです。

私たちは1987年から地球1個分よりも多くの資源を使い始めるようになりました。
今では地球2.4個分の生活をしています。
地球が再生できるスピードよりも、ずっと多くの資源を使っているのです。
地球は1個しかないのに、です。
当然、地球はとても傷ついています。自然はいつまでもそこにあるわけではなく、
このままだと失われていくのです。

人類は大地の一部。私たちと相互依存関係にあります。
つまり地球を傷つけることは、自分を傷つけることでもあります。

いつも癒してくれると信じていた地球、自然は、実はとても傷ついていると知ったとき、
わたしは「ごめんなさい、私はずっと、一方通行に求めるだけでした」と思いました。
今年一番の衝撃です。

それでは、人は地球を傷つけるだけの存在なのでしょうか。それは違うと思います。
今、存在しているということは、人は地球にも望まれて誕生しているのだと思うのです。

そんな私に何ができるのでしょうか。
資源を無駄使いしない、無駄なゴミを出さないのはもちろんです。
でも、それだけではないような気がします。
私なりの考えですが、この地球で幸せに生きることだ、と思うのです。
望まれて生まれた人間が幸せに生きることは、地球を幸せにするはずだ、と思います。

そこから、自然と私の関係は変わりました。
大地に立つとき、自然からエネルギーをもらうばかりではなく、私からも渡そうと心がけます。
そんな意識で站椿功(たんとうこう)という基本の立ち方をやったとき、
心が震えて、涙が出ました。

今の私の太極拳は、自然と双方向のもの、地球と共に生きることを意識しています。
植物に声をかけると育つように、人間が意識を向けたものは育っていきます。
だから太極拳は、私が地球にできる最大の贈り物だと思っています。そしてそれはすごく幸せな時間なのです。

同じようなことをおっしゃる方は、いらっしゃいます。
巫女舞をされている方は、「1歩1歩、歩くたびに大地を癒すんだよ」とおっしゃったし、
滝行をされる方は、「滝行は、滝からエネルギーをもらって元気になるんじゃなくて、
自分のエネルギーと滝のエネルギーがまざって、元気になるんだと気づいた」と、
おっしゃっていました。

今日もまぁるい、穏やかな心で、美しい地球と共に生きようと思います。
自分を大切にするように、地球も大切にしたいです。
 


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