ものごとの受け止め方が変わるとき

2020.10.01 Thursday

(2018年夏、武当山の武館にて。早朝、それぞれ自分の真ん中に戻ろうとしている人たち。左からヨガする人、站椿功をする人、静かに座る人)

 

太極拳をすると変わってくることのひとつに、外の世界とのつきあい方があります。

 

対人関係もありますが、起きることに対する反応、受け止め方も、変わります。

 

站椿功(たんとうこう)は、杭を打つように立つという意味の、立つお稽古です。これを続けていると、自分が天地と繋がって意識が大きくなり、相対的に日々のモヤモヤ、イライラが小さくなることで、どうでもいいことに感じられます。

 

その出来事が薄まって、自然と「ま、いいか」という気分になります。無理やりではないところがポイントです。我慢は、のちのち爆発しますからね(そんな経験も、たくさんしました。)

 

たとえば、とんでもないことが起きて、その原因を作った(であろう)人に、怒ったとします。頭がカーッとなると、頭が、そのことだけに支配されます。

 

頭が直径20センチの球体だとしたら、その全部をカーッという感情が占めます。100%です。

 

同時に、残りの体、首から下の足までには意識がなく、使われていない状態になります。このことに、ふつうは気づきません。

 

下の図の右は、頭でっかちになってバランスが悪いことを示したものですが、カーッとなっている状態も、イメージだとこんな感じです。頭以外の体の存在が、小さくなってしまっています。

 

左は、「ま、いいか」の気分になりやすい人のイメージです。

 

站椿功は、全身に意識を向け、内側にぐっと深く潜っていきます。すると同時に外にも広がり始め、足の下の地面、頭の上の天にまで意識が広がっていきます。

 

全身に意識があるため、先ほどのカーッという感情が直径20センチの球体だとすると、全体に対してカーッが占める割合が少なくなります。

 

さらに意識が天地までに広がっていくと、カーッという濃さは、さらに薄まります。

 

その結果、「ま、いいか」になるような気がします。怒りにとらわれるのではなく、冷静になって、出来る行動、必要な行動をとりやすくなります。

 

起きることは同じでも、自分のとらえ方が変わるだけで、受けるダメージやストレスは、ずいぶん変わると思いませんか?

 

 

もうひとつ、ちょっと面白い、わかりやすい例をご紹介しようと思います。

 

放松(ファンソン)功というお稽古があります。

 

放松というのは、必要な緊張があり、不必要な緊張がない状態です。

 

見た目、リラックスしていて、いたって平和そうな人として存在しますが、例えば攻撃された場合、いち早く動いて反応できるという、攻防にも理想的な状態です。(平和そうな人として存在していると、基本、攻撃してくる人はいませんけどね。)

 

ペアになって、一人が立ち、もう一人が、あちこち押したり引いたりします。

 

立っている人に無駄な緊張がなければ、軸が崩れず、よろけたり倒れることも、ありません。押したり引いたりしたときの感触は、細くてしなやかな軸があって、柔らかい感じです。体の半分以上を占めている水の性質である柔軟性が、生かされている感じでもあります。

 

無駄な緊張があると、揺さぶられたり、倒れたりします。この練習は、ふたりで協力して、立っている人の緊張を見つけては、それを取り去っていきます。

 

(放松功)

 

放松功をしているとき、つねったり、くすぐられたことがあります。

 

聞くだけで、ぎょっとしますよね。

 

最初にくすぐられたときには、一瞬で笑い転げました。「そうじゃないよ。意識をくすぐられたところに集めずに、放松の状態にしておくんだよ」と言われ、その通りにしてみると、

 

今度は、くすぐったくありません。

 

つねる、も同じです。爪でつねるので、そこそこ痛いのですが、同じように放松を心がけると、痛さを感じず、気にならないのです。

 

最初に体験したときは、すごく不思議な感じがしました。これれも、その出来事が薄まるからだと思います。

 

一般的な反応としては、つねったりくすぐられたりすると、その場所に意識がきゅっと集まりますよね。意識が集まった部分に、痛みやくすぐったさが占める割合が100%になります。

 

放松の状態だと、全身、もしくはその外にまで意識が広がっているため、痛みやくすぐったさの割合が5%とかに、薄まる気がします。

 

話は変わりますが、瞑想をするとき、「思考が浮かんでも眺める」と言いますよね。あれも、意識が広がって思考の割合が薄まれば、自然に眺めやすくなると思います。それを「浮かんだ、でも、眺める」のように、積極的に眺めようとするのは、違う気がするのです。

 

この「思考が浮かんでも眺める」のように、そのこと自体は正しくても、それを直接やりにいってしまうと、本末転倒になることって、たくさんあるような気がします。

 

日常でも、同じことが起きているのではないでしょうか。

 

起きた出来事が同じでも、ダメージが大きい人、そうでもない人の差は、ここにあるような気がします。

 

「たいしたことないんだ」と思い込んだり、感情を抑えたりしても、うまく行きません。こういうことは、頭で考えてもうまくいかないと思っています。

 

最初の衝撃がガーンとくるのは仕方ないにしても、そこに100%意識をきゅっと向け続けるのではなく、ちょっと外して全身に意識を向けていくことで、

 

その出来事のインパクトが薄まり、冷静に見やすくなるのではないでしょうか。

 

逆に、ガーンという衝撃に、100%の意識を向け続けていると、さらにそれが濃くなり、200%くらいに膨れ上がることもある気がします。

 

怒りが頭で膨れ上がっている間、首から下の部分の体は、死んでしまっている状態です。常に全身で生きるって、意外と出来ていないのですよ。

 

武術をすることは、全身で生きることを学ぶことでもあります。

 

人間ですから、外れることもあります。でも、それにいち早く気づくことで、正常な状態に戻すチャンスが生まれますし、起きたことに対して冷静に対応して行動することも、しやすくなります。

 

生きることが、楽になると思います。

 

おおらかに見える人には、大変なことや、難しいことが起きないわけではないと思います。ただ、そのときの受け止め方に長けていることで、おおらかさを保ちやすいのだと思います。

 

もちろん、本人がイライラしていなければ、イライラを呼び込むことも少なくなるので、対人関係のトラブルは少ないと思いますが。

 

そういう人は、安心して側にいられますよね。

 

こう書くと、「隠居した好々爺のようで、つまらない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。人生は、ジェットコースターに乗るように、刺激を求めていると、そう思うかもしれません。

 

どんな生き方を選んでも、自由です。

 

でも、おおらかでいることは、隠居とは違います。外からの刺激に反応する時間や割合が少なくなる分、自分の本来の夢や願いを実現させることに、時間も労力も使えます。

 

力みがないために、外から見ると自然で、大きなことをしているように見えないかもしれませんが。周りを見渡すと、そういう人、いませんか?あまり多くないかもしれませんが。

 

そんな生き方を選ぶことできると、知らない人が多いと感じます。

 

太極拳を教えているのは、その選択の可能性を、感じてほしいからでもあります。

 

問題の解決に向かうとき、そのことに向かって進むのではなく、「急がば回れ」みたいな方がうまくいったりします。それは、単純に、自分の真ん中に戻っていること、ホームポジションにいるだけでいいのですけどね。

 

そしてもちろん、起きたことからくる感情は、あります。たとえば悲しみがものすごく強い場合、薄まると言っても、そう簡単なことではないと思います。そういうときは無理をせず、自分のホームポジションに静かに立つことだけを意識するとが、助けになるかもしせません。

 

 

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「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。人が集って、一緒にお茶でも飲んでなにげない話をして、ほっとする場所でもあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

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いしい まゆみ(道号:静慧)/ みんみん)

太極道家

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