境界で生きる

2020.06.10 Wednesday

(ある日の美しい空)

 

東京の高尾に、両界橋という橋があります。

 

駅から高尾山に向かう途中にあります。すごい名前ですよね。

わたしは車でしか通ったことがないのですが、歩いたり、自転車で通ると、橋を境に空気が変わるそうです。

 

ここを訪れて何かを感じた人が、名づけたのでしょうか。

 

高尾は、とても生態系が多様な場所です。

 

高尾でも、ほとんど人がいない裏高尾という場所が好きで、そこに入るときは、なんとなく「お邪魔します」という気分になります。人の住む場所から、そうではない場所に入れてもらうような感覚です。

 

最近、境界について考えるような映像を、いくつか観ました。

 

ひとつはNHKのドキュメンタリー「ヒグマを叱る男〜完全版36年の記録〜」です。

 

舞台は、世界自然遺産の北海道、知床です。その奥地にあるルシャは、ヒグマの生息地です。そこに19号番屋という、漁師さんが漁をするために泊まる小屋があります。

 

一般の人は入れず、漁師さんだけしか行けないようですが、そこはヒグマと人間が共生している場所としても有名だそうです。

 

ここに大瀬初三郎(おおせ・はつさぶろう)さんという漁師さんがいます。若い頃からサケやマスをとって生活してきました。この場所は、ヒグマにとっても、獲物を取る場所です。大瀬さんはある頃から、ヒグマに遭遇すると「コラ!来るな!」と叱るようになりました。

 

「コラ!」と叱ると、その言葉が伝わるかのように、ヒグマは退散していきます。約半世紀、襲われたことは、一度もないのだとか。

 

大瀬さんは、長い間ヒグマの行動を観察続けてきて、付き合い方のコツも心得ています。お腹から大きな声で叱る、時には一歩踏み出して近寄る(テロップで、絶対にしないでくださいと、出ていました)、食べ物は絶対に与えない、などがありました。

 

人とクマは、本来、それぞれ別の場所で生きていくことが共存だと思ってきました。お互いに距離を取る意識を持つというのか、近づいたら怖いという意識を持つというのか、クマは、どういう感覚なのかはわかりませんが。

 

それを守らず、観光客が写真を撮ろうと近づきすぎて、さらにヒグマが人の近くまで来るようになり、どうしようもなくなって駆除した話は、この番組とは別のところで読みました。

 

大瀬さんの場合、見方によっては、距離を取る、と言えると思います。人がいるところに近付いてきたら、すぐに追い払いましたし、一歩踏み出すのも、追い払うためです。

 

距離を取る、という解釈にも、いろいろあるようです。

 

アメリカのクマの生息地では、高い場所に見物台のようなものを立てて、たくさんの観光客がクマを見下ろしている様子が紹介されていました。近いのですが、クマは登れないような作りになっているのだと思います。

 

それを観ながら、複雑な思いになりました。

 

ぼんやり違和感は覚えるのですが、それを言うなら、動物園も同じです。

 

動物園、好きなのです。できれば狭いところに閉じ込められているのではなく、和歌山のアドベンチャーワールドのように、動物たちが広い場所で悠々と過ごしているようなところが好きですが、

 

本来の場所ではないところに連れてきてしまっている点では、同じです。

 

それでも、それぞれの動物の姿を、じーっと見ているのが好きです。それに理由があるわけではありませんが、間近に見ることで、本来なら触れ合うことのない、別の領域で過ごしている動物たちのことを、思いやったり、尊重しやすくなることも、あるような気がします。

 

動物園に行くわたしも、高い台を設置されたクマの生息地に行くアメリカの観光客も、同じですよね、きっと。

 

ルシャでの、ヒグマと人の共存は、独特です。柵のないところで、お互いに距離を取り合う共存です。それはその場所が、ヒグマにとっても、人にとっても、生きる糧を得る大切な場所だという事情から、生まれた形なのかもしれませんが。

 

長い間ヒグマを観察し続け、その生態を知り尽くしているからこそ、できることでもあるでしょうし。

 

番組では、エサを与えないことを守ってきた大瀬さんが、その線をほんの少し超える場面が紹介されていました。

 

サケやマスの量が減ってしまい、漁もうまくいかず、ヒグマもお腹いっぱい食べられず、やせ細ったヒグマが目撃されるようになった年、

 

死んだイルカが浜に打ち上げられていました。大瀬さんはそれをロープで留めて、流されないようにしました。

 

それを食べるヒグマたちを見て、「お腹いっぱい食べたね」と、泣き笑いみたいな表情をされていました。

 

大瀬さんって、取材されていたときは84歳なのですが、情に厚く、ニコニコ笑う、天使みたいな方なのですよ。

 

番組の紹介ページでは、「人は自然とどう向き合えばいいのか、そのヒントを探っていく」とあるのですが、最後まで観ても、わたしにヒントが見えたわけではありません。

 

でもルシャのように、人と野生動物が共存する境界で暮らす人たちは、お互いに、ここで生きるという覚悟みたいなものがあって、そこから長い時間をかけて、共存する智慧を見つけていけるのかもしれないな、と思いました。

 

ものすごく印象的なドキュメンタリーでした。

 

 

最近観た、もうひとつの境界について考えるような映像は、「もののけ姫」です。長くなってしまったので、それはまた別に書きますね。

 

 

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