誰もがみんな愛されている

2020.05.12 Tuesday

(Photo by Xie Okajima)

 

先日、ニュースを観ようと、テレビをつけると、ものすごく攻撃的な声が聞こえてきました。

 

批判に満ちた、トゲトゲな声です。

 

一生懸命なのです。でも内容以前に、音を聞くことが辛すぎて、消してしまいました。

 

今、わたしがとても辛いことのひとつは、こういう場面です。

 

ある程度なら聞き流せますが、ときどきトゲが心に刺さって、ぎゅっと辛くなります。

 

もちろん「トゲをあると感じて、受け入れたのは、あなたでしょ」と言われれば、その通りです。人のせいではなく、問題は自分です。でも、わたしは完璧な人ではなく、キツいときもあります。

 

こういうときは、気をつけないと、トゲを自分から他に向けて発射してしまいます。

 

辛いことを自覚して、ぎゅっと泣いて、涙は拭かずに流して、それから自分を取り戻すためのことをします。ゆっくり呼吸するとか、瞑想とか、站椿功とか。

 

すると、落ち着いてきます。

 

トゲトゲな声の人たち(と、わたしが感じた、ですが)も、本当は、優しい人のはずです。状況や立場で、そうではいられなくなっているのだと思います。それを自分で選んでいる、とも言えますが。

 

どんな背景でそうなっているのであれ、「あの人たちも、自分の優しさを思い出しますように。」と、願うしかありません。

 

攻撃的な声を出す人たちは、イメージでいうと、中が空っぽです。内側を忘れている感じがします。

 

だから強くないと声にならないのかもしれないですし、内側に響かないから、トゲがあることにも気づかないのかもしれません。

 

自分の内側の、深いところに潜って、そこから声を出すと、内に響いたものは、外にも響きます。声は変わりますし、出る言葉も変わってきます。

 

トゲがあると、自分を傷つけてしまうからです。

 

自分の内側の深いところは、個を超えたものにつながっている気がします。

 

太極拳では、心を静めて、体の無駄な緊張を取り去っていくことを、「入静」と言います。「静」は、「無」と言い換えることもできます。

 

エゴとか見栄とかを、みんな手放していきます。

 

イメージは、できるだけ透明になる感じです。

 

透明なパイプになると、天地をするっとつないで、個を超えたものとつながりやすくなります。

 

ここから先は、感覚でしかないのですが、太極の領域に、足を踏み入れた状態です。

 

太極とは、18世紀の武術家の王宗岳が「陰陽の母である」と言ったように、陰と陽の要素はありながらも、まだ2つに分かれる前の状態です。

 

たとえるなら、「あの世」だと思っています。

 

顕在意識は氷山の一角で、潜在意識の方がずっと大きいように、

 

見えている「この世」は、見えていない「あの世」の上に成り立っていて、見えていない部分の方がずっと深くて大きいと感じます。

 

そこでは個がなく、対立もなく、すべてが調和しています。だから、愛しかありません。

 

死んだら閻魔大王に裁かれるとか、地獄と天国があるという話もありますが、

 

本当はそんなことなく、みんなが同じ場所に還って、ひとつになって、そこからまた、この世に生まれてくる気がします。

 

潜在意識の上に顕在意識があるように、「あの世」の基盤の上に「この世」があるなら、

 

わたしたちを支えている基盤は、愛です。

 

わたしは、それを思い出したとき、ものすごく安心しました。

 

みんな、それを思い出したらいいのに、と思っています。

 

何年か前、「わたしは『愛している』と言うために生まれてきた」という言葉が、突然出てきたことがあります。

 

「そうか」と思って、身近な人に伝えてみても、うまく伝わらず、大泣きしたこともありますが、あれは、歩きはじめの子どもの練習のようなものだったのかもしれません。

 

その意味が、あの頃は、あまり腑に落ちていなかったですし。

 

その後、目が覚めた瞬間に「愛している」という言葉が、口から出てきたことがあります。

 

1回ではなく、何回かあって、「はて?今のは誰に言ったのだろうか?」と不思議に思ったのですが(誰も近くにいないときだったので)、今から思えば、あれは自分に言っていたのだと思います。

 

まず、自分に思い出してほしかったのだと思います。

 

去年の秋くらいから、次に行きたくて、ひたすら站椿功をするようになり、

春に自粛生活が始まったときに、「今は自分に栄養を与えて育てるとき」と感じて、内側に深く潜る時間を取るようにして、

 

ここまで来たところで、「あの世」が、だいぶ身近な存在になりました。

 

以前は、「太極拳をするとき、太極の世界にちょん、ちょん、と触れている」と言っていて、その言い方が、そのときの自分を良く表していると思います。

 

触れるだけで、足を踏み入れていません。

 

「あの世」に足を踏み入れると、死んでしまうと思って、怖かったのです。

 

実際には、踏み入れていたと思うのですが、怖いから、認めたくなかっただけかもしれませんが。

 

でも「この世」には、「あの世」を感じながら生きている人たちもいて、そういう人たちに出会うことで、「わたしも、もう大丈夫じゃないか」と思うようになりました。

 

うまく言えませんが、「あの世」を感じると、「この世」で生きることが、愛しく思えてきます。いつ、この世の命が終わるかりませんが、それは確実に終わるし、それまでは幸せに生きよう、と思えます。

 

批判や対立なんて、している場合じゃないのです。

 

「愛している」という言葉は「この世」のわたしの言葉ではなく、源からくるものが、わたしを通して表現されるだけだと思っています。

 

それを感じて表現できる自分でいるために、透明な存在でいるために、愛されている存在だと忘れずにいるために、わたしにとって太極拳は、大切です。

 

太極拳のお稽古を通して、みんなも愛されていることを思い出すかもしれないと思っていますが、他にもできることはあると思っていて、これからまた、していこうと思っています。

 

なにができるかしらね。

 

話は変わりますが、「愛されている」ことについて、医師の稲葉俊郎先生は、著書の「ひとのこころとからだ いのちを呼びさますもの」で、こんな風に書かれています。

 

「人間がこの世に生まれてきた時、世話をされることなく放り出されてしまったらすぐに死んでしまうだろう。人生の始まりは、圧倒的に弱く脆い存在であり、誰かが食事を与えてくれて、排泄物の処理をしてくれないと生きることを続けることすらできない。そうした記憶があろうとなかろうと、人間は必ず誰かの愛を受け、生き続けることができた。

 

(中略)他の動物が生後すぐに自立して生きていくのに対し、人間が必ず生後初期にこうした体験を経ることは、重要な意味を持つと考えられる。誰かに支えられ、大切にされているという感覚は、覚えていようといまいと、生きるための支柱となり、土台を与えてくれるものだからだ。」

 

「今に生きている」と言われる動物に比べて、人間が、どうもそうではないのは、愛されていることを忘れてしまっているからで、

 

それを忘れないようにするために、一人では生きていけない弱い存在として生まれてくるのかもしれない、と思います。

 

それでも、忘れてしまうのですけどね。

 

 

≪参考図書≫「ひとのこころとからだ いのちを呼びさますもの」稲葉俊郎著 アノニマスタジオ出版

この本には、太極拳という言葉はひとつも出てきませんが、わたしが太極拳を通して感じてきたことが、たくさん書かれています。

 

 

オンラインでの動画レッスンを始めました。

 

≪入門編≫

立ち方、歩き方の≪基本編 ≫と、太極拳の動作の練習としてもおすすめの≪武当五行六合功編≫のセットです。詳しくはこちら

 

≪武当太極拳編≫

武当三十六式太極拳をいくつかに分けてご紹介します。「その1」は、

第1式〜第10式です。詳しくはこちら

 

≪立ち方編≫

地に足をつけて、自分らしく生きるための基盤を作ります。≪入門編≫の「基本編」第1講の単発講座。太極拳をしない方にも。詳しくはこちら

 

 

「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。人が集って、一緒にお茶でも飲んでなにげない話をして、ほっとする場所でもあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

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いしい まゆみ(道号:静慧)/ みんみん)

太極道家

講座のご案内は、こちらから

 


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