感じる体と心を育てる

2020.03.18 Wednesday

 

(36式武当太極拳)Photo by Xie Okajima

 

太極拳といえば、健康促進、すこやかな体、という印象が強いと思います。

 

そのとおりだと思いますが、そのために欠かせないことがあります。

 

感覚を、育てていくことです。

 

今、自分がどういう状態なのか、そのまま感じることです。最初は、違和感を感じることからはじまる気がします。

 

「いい感じ」は、そのままにしておけばいいですしね。違和感を感じたら、なくしていけば「いい感じ」が増えます。すると、もしかしたらいままで「いい感じ」だと思ってきたなかにも、違和感を感じることがあるかもしれません。

 

意外と「こうしたら、いい感じになるよね」と、頭で考えていることを、”感じている”と誤解してしまうこと、あるのです。

 

たとえば、海や山や森に行ったら、「マイナスイオンを浴びて、すっきり解放される」という思考に、そのまま乗って「はーっ、きもちいいっ」となってしまうことも、ありえます。

 

区別がつかないときは、それはそれでいいのですけどね。

 

太極拳には、套路と呼ばれる一連の動きの型があります。

 

この型があることで、よくも悪くも、好きなようにはできません。

 

套路は、「こうやって、こうやって、それからこうやる」というように、それぞれ工程というのか、プロセスがちゃんとあって、その結果が表に見えるカタチになります。

 

あれこれ複雑な動きがあるように見えても、大切なことは、シンプルです。

 

・足で地面を押して、頭が天に向かって伸びる バネのように縦に伸びる力が働き続けること

・陰と陽の調和(バランス)を取り続けて、風船のように全方向に膨らみ続けること

・陰が極まって陽になり、陽が極まって陰になるように、動きが止まらないこと

・体の中に、無駄な緊張や滞りがないこと

・心が静かに落ち着いていること

 

それを実現させるためには、やり方があり、それを学んでいくのがお稽古です。

 

気功のように、単純なフォームでの練習も有効ですが、套路のように、複雑な動きになったときにも、同じように大切なことを守れるようにするのも、大事です。

 

動きが増えると、見た目に騙されやすくなります。大切なことを大切にするより、カタチを追いがちになります。

 

人生も、いろいろですよね。大切なことことを、大切にするために、複雑な中で練習することに意味があると思っています。応用力をつける感じかしらね。

 

カタチができることは、上に書いた大切なことを守った結果であってこそだと、思っています。

 

そうでなければ、足が高く上がっても、低い姿勢が取れても、それをしたい人は自由にどうぞとは思いますが、わたしが大切にしていて、みんなに知ってほしいと思っている太極拳ではありません。

 

太極拳は、人によってとらえ方が違って、それをすべて許容するくらい、懐が深いものだと思っていますが、わたしは「運動」ではないと、とらえています。太極拳をする人は、アスリートではありません。

 

アスリートを否定しているわけではなく、その姿勢や生き方や動きからは、大きな感動をもらうことも多いです。見ているのも、すごく好きだったりします。ただ、すこやかさという面から見た場合、アスリートは、命を削るように練習していたりします。そのために、トレーナーさんがついていて、毎日の疲労をマッサージやあれこれで、回復させる必要もありますよね。

 

アスリートではない人たちは、一晩眠ったら回復する、というペースがよいと思っています。だいたいの日常は自分で様子を管理して、たまに「これはちょっと」となったら、整体に行ったり、病院に行ったり、他の人の助けを借りる、というくらいだと思います。

 

ちゃんと不調を感じることで、自分を振り返り、「昨日やったあれは、負担がかかりすぎるんだな」とわかってきます。もちろん、やりすぎがだめなわけではなく、楽しくてそれがしたいときは、それでいいと思うのです。ときどき負荷がかかるくらいなら、なんとかできますものね。

 

アスリートではない太極拳は、やればやるほど、上達します。年齢が上がったらできないというものではなく、どんどん進歩します。太極拳は、年齢が高い人の方がいいというのは、そういうことです。

 

自分でやっていても、3か月とか、半年とかで、けっこう変化していきます。生徒さんがわたしのビデオを見て、「2年前と今と、動きの印象が全然違う」と驚いていたことがありました。その方はダンスをずっとされているので、たくさんの人を見てきているのですが、2年くらいで印象が変わる人は見たことがないそうなのです。

 

でも、わたしの先生たちも、兄弟子たちも、ちょっと会わない間に、どんどん変わります。

 

”変わる”ことが自然の理なので、そういうものだと思うのですけれどもね。

 

足が高く上がるとか、低い姿勢が取れるとかは、大会などでは評価の基準になるかもしれませんが、本質的には、本人に合った足の高さとか、姿勢の高さの方が大切です。

 

足が高く上がること、低い姿勢を取れることを、否定するわけではないのです。足が高くあがることは、体に滞りがなく、関節もよく動いて、体が柔軟であることの現れだったりしますし、低い姿勢が取れることも、バネが効いて、上にぷんっと戻る強い力を内包していることの現れだったりします。それは、大切なことが守られていて、発達した結果でもあると思っています。

 

クラスでお稽古していると、ときどき生徒さんが「これはやりにくい」とか、「これはひざが痛い」とか、「ここがキツイ」とか、言ってくることがあります。

 

すごくいいなあ、と思います。

 

そういう違和感は、どんどん言ってくれたいいと思っています。

 

なぜなら違和感があるときは、套路というカタチを作るための工程の、どこかが抜けていたり、違うことをしている可能性があるからです。

 

工程が違うと、違う結果になり、それはカタチにも現れます。最後のカタチは一緒でも、ほんのちょっと、動くタイミングが違っているとか、細かいところにも現れます。わたしはそれを見て、指摘していくのですが、

 

複数の人の、すべてを全部みることはできません。

 

カタチを優先させてしまうと、違和感を無視して、やり続けてしまうかもしれませんよね。それを頑張るのがいいのだ、と誤解してしまうこともあるかもしれません。

 

きつくても、乗り越えていくことに達成感を感じること、日常でもそんなこと、あるかもしれません。

 

でも、すこやかに生きたいのであれば、違和感を感じたら、「止まる」です。軌道修正が必要です。

 

違和感を伝えてくれれば、もうちょっと細かく、その人に足りていないところを説明できます。それは、他の人の役にも立ちます。

 

これは、自分の練習でも、同じことです。動きながら、違和感を感じるところがあったら、どうやったら流れがよくなるか、いろいろ試してみます。

 

試すとは言っても、基本を応用していくだけなのですが。

 

進んでいくと、今まで「これでいい」と思っていたところにも、違和感を覚えはじめることも、よくあります。

 

「これ、なんだかなあ」と思っていた動きが、ある日突然、「これだ!」と気づくこともあります。数年越し、とかも、いくつもあります。

 

違和感は、解決できればそれでいいですし、そうでなければ、そのまま持っていればいいと思います。いいタイミングがきたら、何かやってくることがありますから。

 

そして違和感は、最初は体の違和感ですが、心がきゅっとなっていることで、体に違和感が出ることも多くあります。

 

心の緊張は、体の緊張として現れます。心はわかりにくいですが、体はいつも、正直です。

 

そんなとき、「今、自分に無理がかかっているな」とわかったりします。いい状態じゃない、ということも、わかります。

 

そんな状態で何か大事な決断をするのは、よくないですよね。「落ち着いて、自分を取り戻してから、どうするか決めよう」と、できることもあります。

 

違和感に気づいていくことは、体と心が目覚めていくことだと思っています。

 

無理がかかっているところに気づいて、それを取り去っていくことで、素のままの自分が そのまま現れます。

 

その自分は、他の誰とも違います。そここそ、型のように、何かにはまるわけでもありません。

 

そうやってありのままの自分で生きていくことが、すこやかさじゃないのかな、と思っています。

 

すこやかさは、今のように緊張があるときに生き抜くためにも、力になってくれます。すこやかな人がいることで、周りの人が救われることもあります。

 

わたしが「体と心が目覚める太極拳」というタイトルをホームページにつけたとき、尊敬している方から「目覚めたい人は、そんなに多いわけではない」と言われたことがあります。

 

目覚めを「悟り」のようにとらえたら、そういうこともあるのかもしれませんが、わたしは大げさなことを求めているわけではないですし、多くの人が目覚めて生きる可能性を、あきらめていません。

 

あきらめが肝心なこともありますし、そう感じたときには、すっぱりあきらめることもありますが、

ここは、まだまだあきらめたくないところです。

 

人の可能性を信じているから、です。

 

 

【3月の特別クラス】

3月28日(土)14:00-16:30 「ホントにはじめての武当太極拳・気功(池尻大橋)詳細とお申込方法はこちら

 

3月29日(日)14:00-16:30  「やさしい站椿功」(池尻大橋)詳細とお申込み方法はこちら

 

 

「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。人が集って、一緒にお茶でも飲んでなにげない話をして、ほっとする場所でもあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

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いしい まゆみ(道号:静慧)/ みんみん)

太極道家

講座のご案内は、こちらから


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