やさしい手当て

2020.02.11 Tuesday

 

(武当五形功 鶴形 Photo by Xie Okajima

 

先日、久々に会った友人が、「手が固くなっちゃうの」というので、手をもみもみしてみました。

 

「みんみんの手って、すごく気持ちいい」と言ってくれたのが嬉しくて、さらに張り切ってもみもみ。

 

この様子だと、そうだよね、つらいよね、巡りたいのに途中で阻まれて流れない、みたいな感じかな、と感じながら、もみもみ。

 

ちょっとでも詰まりが取れたらいいな、と思いながら、です。

 

 

わたしの手は、身長(155僉砲粒笋砲和腓くて、ふっくらしています。このふっくらした手が、好きです。

 

手当て、と言いますよね。

 

幼いころ、お腹が痛かったときに、母が手のひらをお腹に当ててくれたことがあります。

あったかいなあ、と安心しているうちに、痛みは消えていました。

 

魔法のようですよね。

 

やさしい手には、力があります。

 

 

去年の末から、重度の障害を持つ 寺崎 櫟(れき)さんのプライベートレッスンをしています。

 

通常のレッスンのように、套路(型)を説明しながらやっていくわけにもいきません。いつもとは違うコミュニケーションと、内容になります。

 

老子が好きだ、というご縁で見つけてくださり、いろいろ豊かな経験をさせたいというお母さまの思いを尊重したくて、できることを、やっています。

 

今、主に取り組んでいるのは、体をほぐすこと、無駄な緊張を取ることです。

 

それって太極拳なの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませが、太極拳のひとつの作用は、関節の隙間を開けて、体にスペースを作っていくことです。

 

体にゆとりが生まれれば、血は流れやすくなります。筋肉や筋膜の緊張も、ほぐれます(もしくは、ほぐれやすくなります)。血が流れれば、体温は上がり、体温は、生命力の象徴でもあります。

 

ほぐしていくときには、わたしが自分の手や体を使って、手伝いながらほぐしていきます。

 

もちろん、無理をかけないように気をつけて、です。

 

体の緊張は、誰の場合も同じですが、何か理由があります。何かしら、自分を守るために必要だと思っているための緊張だったりします。

 

それを無理やりほぐしてしまうと、本人にとっての命綱を切ってしまうようになることも、ありえると思っています。

 

櫟さんの場合は特に、言葉で伝えることが難しいため、この緊張で、外の世界に何かを伝えたいのかもしれない、とも感じます。

 

「何か、伝えたいことがあるんだよね」と話しかけながら、ゆっくりと手を添えて、揺らしたり、伸ばしたり、ほぐしていきます。

 

他人のことはわからない、と言いますが、そうでもありません。相手の様子、顔色、呼吸、手から伝わってくる感覚をもとに、どのくらいいけそうかを探ります。

 

やりすぎもだめですが、遠慮しすぎもだめです。遠慮は相手の可能性を奪うことになるからです。それは優しさではありません。

 

最初にお会いしたときは、顔も緊張していました。あごはいつもぎゅっとしていて、頬も左側が特にきゅっとしていました。

 

それにもきっと、何か理由や思いがあるのだと思います。それが何かまでは、わかりませんが。

 

ゆっくり手で触って、ほぐれてくるまで待ちます。触れた手を、押したりさすったり動かすか、そのまま触れているだけかは、そのときの感覚です。

 

「そんなに守らなくても、ここは緩んで大丈夫だよ」と心で伝えながら、です。

 

櫟さんの思いを尊重しつつ、彼女の力と可能性を信じます。

 

すると、だんだんと緩んできます。どのくらい緩むかは、本人が許す範囲なので、それもちゃんと尊重します。

 

後から聞いたのですが、障害のある方の場合、顔はとても敏感なのだそうです。だから、あまり顔を触ることはしないのだとか。

 

レッスンをする前に、お医者さんから止められていることや、気をつけた方がいいことは聞いていたのですが、「顔は敏感なので触らないように」という説明がなかったのは、かえってよかったのかもしれません。

 

1か月後にレッスンに行ったときには、だいぶ緩んで、前よりもかわいらしい顔になったような気がしました。

 

普段の写真の様子を見ても、顔が柔らかくなっているような気がします。

 

手を触れたからだけではなく、きっと毎日が楽しいからだろうな、と思いますが、ほんのちょっとのきっかけにでもなってくれていたら、うれしいです。

 

もっと緩められるだろうし、そうしたら、もっと楽になるし、もっとできることもあるかもしれません。楽しみですよね。

 

 

(2019年11月。初めてお会いしたときの櫟さん。あごが、ぎゅっ。)

 

 

(2020年2月、レッスン4回目の櫟さん。お顔が柔らかくなっていませんか?首筋をにゅーっと伸ばしているところ。)

 

(2020年2月。腕をにゅーっと伸ばしているところ。すっごい見てます、笑)

 

体をほぐすことは、中国にお稽古に行っているときも、ほぐし合いっこをすることもあるので、よくやることです。そして、ボディやハンド、フェイストリートメントを習ったこともあるので、スキルとしても、そこそこできます。

 

でも、大切なのは、習ったスキルではないと思います。

 

まず、自分がほぐれていることです。
 

手だけ緩む、というのはないので、体全体が緩んでいることも大切です。

 

緩んでいるだけではなく、同時に適度な張り感も必要だと思っています。適度な緩みと適度な張り感が同時に存在するのは、カンフー特融の”放松(ファンソン)”という状態です。張り感があることで、血が、指の末端の血管までちゃんと行き届き、全身が巡りやすくなります。

 

ほぐれて緊張のない手は、触れたときに相手の体の形に沿って、ぴったり、しっくりきます。それだけでも気持ちいいです。

 

そして、やわらかいというのは、相手に向けて壁を作らないことでもあります。心を開いている、とも言えます。

 

そして、相手を尊重することです。緊張やこわばりも、ちゃんと尊重します。それは、その時点のその人にとっては、必要だとされているものだからです。自覚していない場合も含めて、です。

 

そして、相手の力や可能性を信じます。

 

相手を感じる感覚を育てることも、大切です。それは、自分の状態を感じられるようになれば、おのずとついてきます。

 

 

わたしには、自分が人を癒したいという思いは薄いので、自分がセラピストとしてトリートメントをすることは、していません。

 

それよりは、その人が自分で気づいて、自分でほぐして、癒していくきっかけになることをしたいです。

 

誰もが本当は優しいし、どんなときでも優しいままでいられることを、自分でつかんでいけると信じています。本人が望むなら、ですが。

 

そのために、手で触れることも、大事にしています。「大丈夫だよ」と伝えるためにです。

 

最近、ギスギスしているなあ、と思ったら、自分でも触れてみるといいかもしれません。温めた手のひらで、自分の頬を覆ってみたり、片手でもう片方の腕を、肩から指先まで丁寧に撫でてみたり。

 

ちょっと安心できるかもしれませんし、優しい気持ちを思い出せるかも、しれません。

 

 

【2月の特別クラス】

2月16日(日)14:00-16:30「たのしい太極扇」(自由が丘)詳細とお申込み方法はこちら

 

2月23日(日)14:00-16:30 「ホントにはじめての武当太極拳・気功(池尻大橋)詳細とお申込方法はこちら

 

「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。人が集って、一緒にお茶でも飲んでなにげない話をして、ほっとする場所でもあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...

 

いしい まゆみ(道号:静慧)/ みんみん)

太極道家

講座のご案内は、こちらから

 


コメント
コメントする








   

calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< April 2020 >>

selected entries

categories

archives

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM