ふわりと宇宙に浮く站椿功

2020.01.07 Tuesday

 

昨年の秋、中国の武当山にお稽古に行ったときに、毎日2〜4回、30分ずつ站椿功をする時間がありました。

 

早朝、午前、午後、夜のうち、午前と午後は通常のお稽古時間内で、必須です。早朝は自主的に、夜は自由参加の練習時間の最初に、みんなでやりました。

 

これだけ集中的にやったのは初めてです。ひとりだと挫折してしまうかもしれませんが、みんなと一緒だと頑張れます。とてもよい機会でした。

 

日本に帰国してからも、1日に1、2回、そのまま続けています。

 

12月中旬に足首を怪我してから、しばらくはお休みしましたが、年末から再開しました。

 

そして、それまではよくテレビを観ながらでしたが、音楽だけに変えました。

 

テレビを観ながらだと気が紛れますし、頑張りやすくなります。少し外に意識は行きますが、そこそこ自分の内側に意識を向けることもできます。このときは、とにかく「続ける」ことを優先しようと思っていました。

 

でも新しい年を迎えるにあたり、「なんだか違う」と感じました。もっと自分の内側にじっくり入っていきたい、と。

 

それで、音楽だけに変えました。

 

好きな曲を選んでいますが、基本は”宇宙を感じるもの”です。まったくの個人的感覚です。

 

定番の中国の古典音楽もありますが、映画「インターステラ―」のサントラ版も、ぴったりです。屋久島の水の音(これは曲ではありませんね)や、クラシックもあります。

 

ゆったり静かな曲も多いですが、不思議なもので、華やかでドラマチックな曲でも、合うものもあります。表面的な静かさとか華やかさとは、どうやら違うようです。

 

”宇宙を感じるもの”というのは、わたしの今の感覚を、助けてくれるからです。

 

站椿功をするときに感じるのは、ふわっと宙に浮くような感覚です。

 

もちろん地に足はついています。

 

縦に伸びる力が働いて、体がバネのようになっていると、ふんわり浮く感じがします。

 

站椿功とは、杭を打つように立つという意味です。その言葉どおり、足はしっかり大地に根をはっていますが、同時に、いつでも動けるくらい軽い感覚もあります。”ずっしり”より”ふんわり”です。

 

なぜ浮く感じがするのでしょうか?

 

縦に伸びる力が働くとは、上に伸びる力も大きくなります。すると周りの空間が、浮力がある水みたいな状態になります。

 

水の中だと、体は浮きやすくなりますよね。ちょうど、あんな感じです。それと地面に足がしっかり根を下ろしているのとが、同居している感じです。

 

ふわっとするとき、気持ちいいのですよ。

 

站椿功にもいろいろあり、腕を下ろすタイプは「楽ちん」なのですが、腕を前にあげるタイプは、ちょっと違います。

 

例えるなら、風船が内側から膨らみ続けている感じなので、パンっとしたハリ感が出ます。そのおかげで関節の隙間が広がるのですが、そのハリ感は、痛いとも違うのですが、「何も感じない」わけではありません。

 

上手く表現できないのですが、コップの水が溢れる手前、表面張力が効いているような感じの感覚でしょうか。ちょっと緊張がありますよね。でも、不要な緊張とは違います。

 

この站椿功、絶妙なバランスの連続で成り立っています。

 

腕を前に上げ続けるためには(陽)、後ろに引くもの(陰)が必要です。そのため命門(めいもん、おへその裏側)を、ずっと後ろにひっぱり続けます。それとバランスを取るために、腕は前に膨らんで進みます。

 

この站椿功、クラスでも10分間は生徒さんもしていただくのですが、あるとき、「3秒だけ気持ちよかった」という生徒さんがいらっしゃいました。

 

貴重な3秒、いい経験で、いい傾向です。こうやって自分だけの経験を重ねていくことは、必ず次につながります。(それを、修行と呼ぶ人もいます。)

 

なぜそれが続かなかったのかは、簡単に言うなら、バランスを崩したと言えばいいのかもしれませんが、もうちょっと言うと、「あ、これ!」と思った瞬間に、その状態を保存したいと思ってしまったのかもしれません。

 

これ、まさに落とし穴だと思うのです。自然の摂理とは、1日が変わるように、季節が変わるように、変っていくことです。それを固めてしまおうとすると、無理が生じます。

 

バランスが取れたら、それを次の瞬間、また新たに取り直さないと、自然からは外れます。

 

静功とも言われ、見た目は動かない站椿功は、こんな風に、実は常に動き続けています。

 

そもそも、静かというのは、地球の動き、宇宙の動きに対して静かであること、と聞いたことがあります。

 

つまりは、地球と一緒に、宇宙と一緒に、同期して動いているわけです。

 

スケールがぐっと大きくなりますよね。

 

ドラマチックな曲でもぴったりくるのは、だからなのかもしれません。

 

30分の站椿功は、わたしの未熟さの現れもあると思いますが、それなりに努力も必要です。ずっとバランスを取り続けようとしても、上手くいかないこともありますし、「いちど腕を下ろして仕切り直そうか」とよぎることもあります。でも、よほどのことが無い限り「もうちょっとがんばろう」と思って続けることにしています。

 

結構、なんとかなるものです。

 

なぜこんなことをするのかというと、やはりこれが基本を教えてくれるからです。

 

たとえば1時間あったとして、ひとつの太極拳の套路を6−8回くらい練習できるとしても、そのうちの30分を站椿功に当てて、太極拳は3回くらいというパターンの方が、得るものは大きいです。

 

1年たてば、大きな差が出ます。半年くらいでも、別人のように動きが変わる人もいます。

 

太極拳は、動きを分解することで、かなりわかりやすくなるのですが、それに体をのせていくのは、自分の感覚です。その感覚は、站椿功をはじめとする基本練習でこそ、育てることができると思っています。

 

そして、今のわたしの場合は、ほかにも理由があるような気がします。

 

自分の源に、ちゃんとつながっていたいからです。

 

本能というのか、本質というのか、魂というのか、なんと言えばいいのかわかりませんが、何か大きなところです。

 

わたしは、けっこう論理的でもあると思っていますが、それは生きてきた中で身に着けた智慧みたいなものです。

 

考えることがダメなわけではなく、順番の問題かもしれません。人は考える生き物なので、感じたことをもとに考えることは、必要だと思っています。でも考えることから始めると、自然にあふれ出てくるものを、不自然に堰き止めてしまうような気がします。

 

考えることからではなく、感覚とかカンから、すべてを始めたいのです。

 

見方によっては非現実的かもしれませんし、それを否定的に見る人もいると思います。

実際、自分でも恐れが出ないわけでもありません。

 

それでも、上手く説明できないのですが、「ここに、きっとある」という予感があります。

 

それは、ちょうど10年前に武当山で感じた「絶望しても、ここに来れば、またやり直せる気がする」と感じたことと、似ているのかもしれません。

 

根拠のない確信、みたいなものです。

 

気功や太極拳をするとき、ときどき「これをやると何にいいの?」と聞かれることがあります。答えられるものも、答えるほうがいいこともありますが、あまり”効果”に期待しすぎると、よい結果にはならないと思っています。

 

その通りにならなかったときの、失望感もありますしね。本当は、他に何か得ているものがあるかもしれないのに、そこに気づかずに、失敗として記憶されてしまうかもしれません。

 

站椿功も、気功も太極拳も、基本のやり方はありますので、それは必ず習うべきです。でもその後、その経験を実のあるものにするのか、その価値に気づかないのかは、自分次第だと思っています。

 

さて、どうなっていくのでしょうね。

 

それはわかりませんが、昔から、次に行きたいと思っているとき、その次が何かわかっていないときは、とりわけ、站椿功に時間をかける傾向があるようです。

 

諦めかけるときもありますが、(そして、本当に体調が悪いときは、やめます)、自分で選んだことだから、辛いことではないのです。やるも、やめるも、わたしの自由です。

 

そう言えるようになったから、大人って、いいですね。

 

 

1月の 特別クラス】

1月12日(日)14:30-16:30「はじめての形意拳」(九品仏/自由が丘)詳細とお申込方法はこちら

 

1月18日(土)14:00-16:00  「じんわり温まる温灸メガネを作りましょう」 (自由が丘)詳細とお申込み方法はこちら

 

1月19日(日)14:00-16:30「たのしい太極扇」(池ノ上)詳細とお申込み方法はこちら

 

1月25日(土)14:00-16:30  「やさしい站椿功」(池尻大橋)詳細とお申込み方法はこちら

 

1月26日(土)14:00-16:30 「ホントにはじめての武当太極拳・気功(九品仏/自由が丘)詳細とお申込方法はこちら

 

 

「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...

 

いしい まゆみ(道号:静慧)/ みんみん)

太極道家

講座のご案内は、こちらからどうぞ。

 


コメント
コメントする








   

calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< January 2020 >>

selected entries

categories

archives

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM