繊細なバランス

2019.08.22 Thursday

 

(武当山)

 

撑字訣という気功をしていると、バランスとは、とても繊細なのだと、気づかされます。

 

撑字訣は、太極拳と同じように、てこの原理で動きが生まれて、力が発せられます。

 

てこの原理は、”下(陰)に押せば、自然と上(陽)に持ち上がる”です。道具の場合、片方を下に押せば、もう片方が上に上がるように、シンプルです。道具は、余計なことを考えたり、したりしませんから、素直に反応します。

 

人の場合は、ちょっと違います。考えたり、体に緊張があったり(=部分で動いたり)と、”余計なこと”をやってしまいがちです。さらに、それに気づいていないことが、ほとんどではないでしょうか。

 

陰陽の組み合わせは、体の動きで言うなら、次の2つです。

 ≪陰≫    ≪陽≫

 下  ↔ 上

 引く ↔ 進む  

 

てこは、陰から動かせば、陽は自然に発生します。

 

そのとおりなのですが、それがシンプルに素直に働くためには、体に余計な緊張がないこと、陰と陽のバランスが取れる形が取れていることが、大切です。

 

撑字訣は、まっすぐ立つことから始めます。

 

縦に伸びる力、例えるなら、上下にバネが効いている体にしてから、両手を腿の前に置き、手根(手のひらの下の方)で下に押します。縦に伸びる力が、さらに強まります。

 

縦に伸びる力を保ちながら、命門(おへその裏側、背中側)を後ろにひっぱり(=陰)、それとバランスを取るように手のひらを前に押していきます(=陽)。

 

このときの、命門と手のひらのバランスは、とても繊細です。ちょっとしたことで崩れます。その繊細さを体験できることが、この撑字訣の良いところでもあります。

 

よくあるパターンとして、後ろにひっくり返りそうになったり、足のつま先が上がりそうになります。これは手のひらを前にしっかり押していないからです。手をしっかり押していないとバランスが成り立つ形になりません。

 

体に緊張がある場合、例えば、肩に力を入れていたり、腕の筋力だけでやろうとすると(これも肩が固まります)、肩が苦しかったり、痛くなります。これもバランスが成り立っていません。

 

バランスが取れていれば、肩は、命門と手のひらの間の通過点に過ぎないので、詰まるのではなく、むしろ広がっていきます。

 

”陰を作れば、陽は自然に発生する”、とは、体に無駄な緊張がない状態で、陰を作って、それとバランスが取れる陽の方向に動く形が成り立っていれば、陽は力を伴って発生する(腕が上がるときに力がある)、というほうが正しいかもしれません。

 

わたしにとって太極拳とは、感覚を育てていくものだと感じています。

 

それは、いま何が起きているかをとらえて、体が即座に対応していく力です。

 

鍛錬の成果は、その「捉える→反応する」の細かさに、現れるような気がします。

 

たとえば上記の”腕が上がっていく(命門が後ろに引かれて、腕が上がる)”動作で見ると、初心者は、それを「1」と捉えるのに対し、鍛錬を積んでいる人は、もっと細かく、3とか、5とか、10とか、20とか100に分けて、捉えられるようになる気がします。

 

「いま、この瞬間」を、まさに瞬間ごとに捉えていくような感じです。それが細かくできるほど、バランスを崩す確率は低くなるのではないでしょうか。

 

太極拳にしても気功にしても、反復練習で動作が上手くなるのではありません。この瞬間をとらえる感覚が育つことによって、「その瞬間、その場」に対応する力が育つだけだと思っています。

 

ですから何度練習しても、常に”今”しかありません。これは「今を生きる」を体感で理解するために、役に立つのではないかしら。

 

もうひとつ、バランスは繊細ですから、簡単に崩れます。

 

こういうとき、「崩してはいけない」と思いすぎると、自分を追いつめてしまいかねません。「してはいけない」とか、「絶対に」とか言うと、体に力が入ってしまいませんか?絶対、というのは、不自然なのではないでしょうか。「とれたらいい」くらいだと、力まないですみます。

 

常に変っていくことが自然であるこの世では、絶対というのは、ないのかもしれません。

 

先日、ライオンキングを観ていたら、”微妙なバランス(Delicate balance)”という表現が出てきました。

 

ライオンは草食動物のアンテロープを食べます。ライオンが死ねば土に還り、それを栄養にして育った草を、アンテロープは食べて生きます。それを、”生命の環(Circle of life)”と言っていました。

 

それが循環していくためには、微妙なバランスが大切で、例えばライオンが、生きるため以上に他の動物を食べきってしまうと、生命の環は成り立たなくなってしまいます。

 

現実には、すでに生命の環は成り立っておらず、崩れているのだという指摘もあるようです。

 

それでも、やりすぎないという、この微妙なバランスを体験していくことは、意味があるのではないかな、と思っています。

 

それを自分の体で、数秒間の間に体験できて、やればやるほど、感じることも多くなるのは、撑字訣、やるじゃないか、と思います。

 

ここで「どんな意味があるの?」と聞きたくなった方、考えすぎかもしれません。やってみないと、わかりませんよ。

 

(映画「ライオンキング」のパンフレットから)

 

 

☀☀☀次回の「はじめての武当気功:撑字訣」は、9月14日(土)14:00-16:30です。詳細とお申込みは、こちら☀☀☀

 

 

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☀「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

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いしい まゆみ(道号:静慧)/ みんみん)

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