太極拳で使う武器:力を手にしたときに芽生えるもの

2019.06.26 Wednesday

 

老子「道徳経」の第31章は、武器についての話がでてきます。

 

そもそも武器とは、不吉な道具である。

人々は、たいがいそれが嫌いだ。

だから道を得たものは、武器を使う立場に立たない。

 

武器とは不吉な道具で、不幸を招くものだから、悟りを得たもの(老子のいう「道を得たもの」)は、武器を使うようなことはしない、という意味です。

 

太極拳には、武器を使うものがあります。

 

太極拳とは、和を求めるものですう。そもそも争いを起こさないことを最良とし、やむを得ない場合でも力を持って制することなく、自分にも相手にもダメージを与えることなく、起きてしまった争いを終わらせる、と理解してきたのですが、

 

ふと、「そんな太極拳に武器があるのはなぜだろう?」と、思いました。

 

太極拳は、老子「道徳経」を体現化したものだと感じており、その「道徳経」でも、武器を使うようなことはしない、と言っているわけですし。

 

もちろん太極拳は、伝統的に武術です。その意味で、武器があるのは当然のことです。

 

わたしは、武器としては剣と扇を使いますが、どちらも練習していて感じることは、自分の様子を武器が教えてくれることです。

 

武器には、重さがあります。

 

重さにとらわれ過ぎて、力づくでなんとか動かそうとすると、上手くいきません。つまり、太極拳が目指す体の使い方(全身が連動して楽に大きな力が出せる)ができてないと、重さのある武器を持ったときに、「重い、大変」となってしまうのです。

 

武器の重さは、命のようだと感じます。その命を尊重しながら、自分とつながりを持って動いていきます。

武器の命を尊重せず、自分がコントロールしようとしすぎると、上手くいきません。

 

自分の心身が緊張していると、一体感は得られません。

武器を持った分、体は大きくなる(武器は、体の延長と考えます)ため、緊張も、見た目に大きく現れやすいのです。

 

武器の様子から、自分の心身の状態を知ることができます。

 

体や心に無駄な緊張がなく、静かな状態にあるとき、武器は、その重さを命として動き始めるような気がします。そういうとき、ちょっと言葉では表現できないような感覚になります。

 

言葉にはなりませんが、いい感じです。

 

穏やかで、動きがあって、変化し続けて、つながりがあって、

 

余計なことは、思考にも、体の動きにも入ってこない(もしくは、きにくい)ところも、いいところかもしれません。

 

ずっとこんな感じで、武器とは言っても、それで何かを倒すイメージで練習したことはないのです。

 

「道徳経」では、さらに

 

武器は、不吉な道具であり、君主が使う道具ではない。

やむを得ず用いる場合には、あっさりと使うのが最上である。

 

勝ってもそれを賛美はしない。

もし賛美するならば、それは人殺しを楽しむことである。

いったい、人殺しを楽しむならば、自分の志を天下に果たすことなどできないのだ。

 

と続きます。

 

老子は現実的なので、武器を使うことを全否定していません。ただし、もしやむを得ず使うならば「あっさりと」使い、勝っても賛美しない、と言います。

 

武器を持つことは、攻撃力を得ることです。力を持つと、使いたくなりがちですよね。使わなくてもいい場面で使ったり、行きすぎたりすることもあるでしょう。

 

武器の力で、制してしまおうと、思うこともあるでしょう。

 

だからこそ、静かな心を保つことが大切なのだと、感じます。

 

武器は、物理的なものの他にも、権力や言葉、力関係、いろいろ広げて考えられますよね。そう思うと、誰にとっても日常の中で起こり得ることかもしれません。

 

太極拳で大切にしている「和の心」や「共生」、は、どんな状況でも、心身ともに静かな状態でいることで、成し遂げられます。

 

誰かが誰かを力で抑えつけて表面的な平穏を保つことではなく、誰も無理したり我慢したりせず、大らかでいられる方が、いいですよね。

 

そんな日常を生きるために、武器という力を手にしたときの自分を見つめるための、よい機会かもしれないと思っています。

 

(参考:「老子」蜂屋邦夫訳注 岩波文庫 /  「老子 あるがままに生きる」 安冨 歩 編訳 ディスカバートウェンティワン)

 

 

【これからの特別クラス】

6月30日(日)14:00-16:30「−20歳のカラダほんとにはじめての武当太極拳」初心者から、太極拳のお稽古に悩んでいる方、武当太極拳を体験してみたい方に。詳細とお申込み方法はこちら

 

7月7日(日)14:00-16:30  「たのしい太極扇」 詳細とお申込み方法はこちら

 

7月21日(日)14:00-16:30「内なる自然に還る旅:魚からの進化をたどって若返ろう!」 〜最終回は、ぴょーん、ぴょーんと跳ね上がるマサイのジャンプを体験します。詳細とお申込み方法はこちら

 

7月28 日(日)14:00-16:30「やさしい站椿功」 詳細とご申込み方法はこちら

 

 

☀「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...

 

いしい まゆみ(道号:静慧)/ みんみん)

太極道家

講座のご案内は、こちらからどうぞ

 

体と心が目覚める太極拳(http://minminkung-fu.com/)

ブログ: みんみんの陽だまり太極道日記(http://blog.minminkung-fu.com/)

「太極拳、あるある、ないない話」Facebookページで毎日更新:こちらから

日々の好きなものを投稿するInstagram:Instagram(@mayuminmin927)

 


コメント
コメントする








   

calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< November 2019 >>

selected entries

categories

archives

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM