コンプレックス

2019.01.18 Friday

 

2月から、新しいプログラムを始めます。「内なる自分に還る旅:魚からの進化をたどって若返ろう!」です。

 

卵→魚→へび→ワニ→チーター→ゴリラ→人間という進化は、背骨の変遷でもあります。魚として背骨だけで大海原を悠々と泳いでいた能力は、今のわたしたちのDNAにも伝わっています。

 

でも、現代に生きる人たちの背中は硬く、一枚の板のようです。

 

ほんとうは、背中はもっと柔かく、龍のようにしなやかに動きます。自分の中に備わっている力を取り戻せたら、今まで想像できなかった可能性や世界が広がるはずです。

 

......というのは、一般向けのご案内です。もちろん、この思いにウソはありません。

 

でも、もっと個人的な思いもあります。

 

背骨のコンプレックスです。

 

わたしは13歳のときに、若年性の突発性側弯症と診断されました。

 

側弯症の発症では、一番多いケースに入るようです。全体の8〜9割が成長期である小学校高学年から中学校に発症し、さらに女子の発症は男子の5〜7倍のようです。

 

当然、病院通いが始まります。それと同時にカイロプラクチックの施術も受け始めました。

 

子供で骨が柔かいこともあったのか、カイロプラクチックの施術は、すごく効きました。歪みは大幅に改善し、そのスピードには病院のお医者さんも驚くほどでした。

 

でも、施術には通い続けられなかったのです。

 

なぜか。

 

どうしても、そうやって人に体を触られることが、嫌だったのです。

 

もちろん何かがあったわけではなく、施術士さんのせいではありません。家族もお世話になっていた方で、おじいちゃんと言えるようなお年の、優しい笑顔の方だったことは、記憶にあります。

 

でも、とにかく嫌だったのです。

 

頑固だったわたしは、どれだけ母に言われても、断固拒否しているうちに、ゆがみは、また戻ってしまいました。今度は無理やり母に連れていかれましたが、頑なに拒否するわたしを、施術できるわけがありません。今度は先生の方が「勘弁してください」とおっしゃいました。当然ですよね。

 

病院で「コルセットはした方がいい」と言われても、そちらも拒否。なぜそんなに素直じゃないのだ、と、今のわたしなら、あきれながら言うでしょう。

 

こんな調子で、側弯症と一緒に生きていくことになりました。

 

側弯症の中には、どんどん歪み続けるものもあるようです。イギリスのユージェニー王女も、同じ若年性の突発性側弯症だったと告白されていましましたが、彼女の場合、ゆがみ続けるのを止めるために手術してボルトを入れたようです。

 

その手術跡を見せてのウェディングドレス姿は、その思いや人柄がにじみ出ているようで、とても美しかったです。

 

幸いわたしは、背骨がまっすぐになることはないものの、悪化することもなく、成人しました。

 

整体やカイロプラクチックに行くことに、抵抗はなくなりました。良いと言われるところを探して行きましたが、言われることは、同じです。

 

「このくらいの背骨のゆがみなら、問題ではありません。ただ、その影響で回りの筋肉が固まりやすいので、ほぐすことを心がけて。」

 

この程度は問題ではないと言われることに、ほっ、としつつ、「治らないんだ」という暗い気持ちも、心に、張り付くようにありました。

 

太極拳を始めても、わたしの側弯症に気づく人は、先生を含めて、あまりいませんでした。でも誰よりも、自分がいちばんよく知っています。湾曲が強いところ、左の腰の筋肉は、いつも硬いのですから。肩の高さが違うのも、その影響です。

 

「あの人の体は、太極拳に向いているよね」みたいな話題になるたびに、うらやましく思っていました。

 

今となっては、太極拳に向いている体というのが、あるとは思っていないのですけれども。あの頃は、何しろコンプレックスでしたからね。

 

あの頃のウエストは、右のくびれはあっても、左のくびれはなかったのです。

 

ストレッチで緩めようとしても、これだけ硬いと、ひきつるような、ちょっと特殊な痛みが出ます。単純に硬いのとは違います。それでもあきらめず、「少しずつ、少しずつ」とやり続けました。

 

いちばん辛かったのは、一生懸命に練習すればするほど、歪みが強くなることでした。

 

いい先生にお会いできて、毎朝、公園に通って教えていただいたことがあります。先生が大好きで、楽しくて、一生懸命に練習していたのですが、歪みがある場合、たくさんすればするほど大きくなっていきやすいのです。あの頃は、歪みを出さないようにするやり方も、知りませんでした。

 

(2013年の冬に出会った李先生。四節八極拳という珍しい中国武術を伝えています。この先生の、しなやかで龍のような、ぐるんぐるん動く体、柔かい心、子供のように楽しそうにお稽古される姿に、とても影響を受けました。)

 

こういう経験を重ねていると、だんだん基本に意識が向くようになるのかもしれません。どれだけ太極拳の套路(型)を覚えても、歪みが大きくなっては、本末転倒です。もともと太極拳自体、無駄なものをそぎ落としていくものですから、当時のやりかたでは、「何か方向性が、ちょっと違う」と思ったのかもしれません。

 

基本中の基本、「ちゃんと立って、ちゃんと歩きたい」と、ご縁があったボディワークの先生に、泣きながらお願いしました。

 

なんとその先生、わたしに向かって、「あなたの心がまっすぐになったら、背骨はまっすぐになるわよ。」とおっしゃるのです。

 

医学的には、東洋医学も含めて、「歪みは治らない」と言われ続けた背骨ですが、この先生は違いました。

 

青天の霹靂というのか、世界が一瞬で変わったというのか、それは自分の可能性を信じ直す、きっかけになりました。

 

奇跡は、起こるのですよ。

 

そして体と心、両方からアプローチした結果なのか、実際に背骨の状態はずいぶん変りました。くびれのなかった左のウェストにも、ちゃんとくびれがよみがえりました。

 

まだコリはありますが、ひきつるような痛みは、もうありません。

 

今はもう、コンプレックスではなく、わたしの今の特徴のひとつという感覚です。もうちょっと楽になれると思っていますが、そこに悲しみや辛さは、ありません。

 

そして、背骨を活かす可能性は、もっとあると思っています。

 

わたしに最初に、背骨の可能性を見せてくれたものは、太極拳でした。中国の先生たちの背中は、龍のようにしなやかに柔かく動くのです。今から思えば、背骨にコンプレックスがあった分、憧れを感じたのかもしれませんし、「これだ」と思ったのは、本能で、背骨の問題が関係していたのかもしれません。

 

(2011年に教わった田理陽師父。武当玄武派第十五代伝人。厳しい方ですが、大きな笑顔のやさしい先生です。太極拳を始めると、まわりの空気が一瞬で変わります。この先生が「あなたはよくやっている」と言い続けてくださったことが、どれだけ力になったかわかりません、)

 

(今の先生、明月師父。武当玄武派第儒六代伝人。広く穏やかな心、やわらかい体、取り組み姿勢、面白さも、すべてを尊敬しています。)

 

 

そして背骨の可能性を、よりはっきり見せてくれたのが、アニマル進化体操(R)です。今回のプログラムのベースになっているものです。

 

卵から始まり、魚、ヘビ、ワニ、チーター、ゴリラの体の使い方を真似していきます。真似していくというよりは、自分の中にある魚を呼び戻したり、チーターの能力を取り戻す、という感覚です。

 

使えていないだけで、その能力は、誰の体にも備わっているからです。

 

魚は背骨をゆらゆらさせます。つい、腰で振ってしまうところ、先生から「魚には腰はありませんよー。」という声が飛びます。「腰はないのだ、ないのだ」と自分に言い聞かせながら探っていく過程は、面白く、楽しく、上手くいかなくても、笑いが溢れます。

 

ワークをした後は、わたしの感覚ですが、まず背骨がしっかり認識できるようになります。「これ」という感覚です。

 

そして自然に、柔かく動くようになります。

 

このワークは、医師で人類学者のレーモンド・ダート博士(1893年〜1988年)の研究成果であるダート・プロシージャーをもとにしています。息子さんが脊椎側弯症で、その治療方法をもとめてアレクサンダーテクニークに出会い、そこからのご縁でこのワークにつながっていったようです。

 

それを知ったとき、「子供だった頃のわたしが、このワークに出会っていたら」と思いました。

 

先生のサポートは入りますが、人に施術してもらうのではなく、基本は自分でやるワークです。「これならできたかもしれない。あの辛い思いは、しなくても済んだかもしれない。」

 

今、わたしと同じような状態になった人に、この選択肢があったら、きっといい、と思うのです。

 

自分で何でもできるとは思っていないため、お医者さんや施術士など、人や専門家の手は、必要ならいつでも借りようと思っています。ただ、自分の心身は自分で面倒を見る心意気は、大切だと思っています。

 

整体に通うとしても、一時的にサポートしてもらうためで、それが自分の人生の一部として組み込まれたくはないのです。

 

このあたりの望みは、人によって違いますよね。ですから通うことがダメだとは思っていません。ただわたしが、それを望まないだけです。

 

もしかしたら、13歳のわたしは、人に触られるのが嫌だったというより、人に自分の体を動かされるのが嫌だったのかもしれません。

 

コンプレックスは、ないに越したことはありません。その原因をつくるものも、ない方がいいと思います。

 

でも、望まなくても(少なくとも、表層意識では望んでいなくても)、側弯症にはかかります。

 

でも、それがあるから、痛みや辛さがわかったり、なんとかしようとします。わたしの場合はそれが、自分の願いや、したいことにつながっています。

 

病気やコンプレックスに「ありがとう」と言えるかと聞かれれば、そうは言えません。でも、それは、わたしが無駄なものをそぎ落として、本来の自分として生きようとするためには、大切な経験だったと思います。まぎれもなく、今のわたしの一部です。

 

コンプレックスがあったからこそ、「一生懸命やる人に、歪みが起きるような思いをさせないように」を、強く心がけるようになりました。ひきつるような痛みを感じる人がいることも理解できますし、自分が経験していない辛さを感じる人もいるだろうと、思いをはせることもあります。歪みを取りながら、その先を積み重ねていく方法も、いろいろ研究するようになりました。

 

そして、頑固なまでに嫌がった13歳のわたしのような人が目の前に現れたとしたら、「なぜそんなに素直ではないのだ」と言うのではなく、そこには何か、大切にしたいものがあるのかもしれないと、裏まで読み取ろうとすると思います。

 

これらは、わたしが対人で教えるときの、根幹にもなっています。

 

なお、今回のプログラムは、側弯症に悩む人に特化したものではなく、誰でもご参加いただけます。側弯症であろうと、なかろうと、ほとんどの方が、背骨の本来の力を活かせていないように見えます。

 

これは、もしかしたら、それぞれの方が抱えている悩みに、光を射してくれるかもしれません。

 

単発参加も可能ですし、最初の卵からしなくても、チーターだけ、とかでも大丈夫です。タイミングがあう方のご参加、お待ちしています。

 

 

「内なる自然に還る旅:魚からの進化をたどって若返ろう!」 第1回 進化は背骨に現れる は、2月10日(日)14:00-16:30です。詳細とご応募方法はこちらから。

 

 

【特別クラスのご案内】

1月27日  (日)13:00-15:00は、「麗屋 弘鈴庵の『立って、歩いて、太極拳」です。詳細とご応募方法はこちらから。

2月  3日(日)14:00-16:00は「やさしい站椿功第4回)」です。詳細とご応募方法はこちらから。

2月17日(日)14:00-16:30は「たのしい太極扇(第18回)」です。詳細とご応募方法はこちらから。

 

 

☀「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

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いしい まゆみ(道号:静慧)/ みんみん)

太極道家

講座のご案内は、こちらからどうぞ

 

体と心が目覚める太極拳(http://minminkung-fu.com/)

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