時間の感覚

2018.11.29 Thursday

 

糸井重里さんの「今日のダーリン」というエッセイが好きです。

 

なるほど、へえーっ、そうそう!などなど、楽しく、深く、軽く、読ませていただいています。

 

11月27日は、ある時代の「社会の時間感覚」について、でした。

 

吉本隆明さんによると、社会の時間感覚は、その時代の大きな産業の商品が、生産されて消費されるサイクルを基本にしているのだそうです。

 

ちょっと前なら自動車を生産し、買われて、運転されるまでのサイクル、もっと昔だったら田んぼに苗を植えて、刈り入れて、それが人の口に入るまでのサイクル、

 

今のようにデジタル時代だったら、そのスピードはぐんっと速くなって、アマゾンの「お急ぎ便」みたいにすぐ届くという、わかりやすい例が出ていました。

 

これだけ速いサイクルが基準になると、大変です。人間は、たいていのことが「のろい」と感じるようになって当然ですよね

 

「のろまだなあ」とか、「時間がかかる」と感じるのは、この視点で見ると、今の時代には当然なのかもしれません。

 

文明の発展による恩恵には、ありがたく預かっていますし、助かっているという思いもあり、その進化を否定する気持ちは、これっぽちもありません。

 

飛行機がなければ、中国にお稽古に行くこともできませんでしたし、

 

人間が宇宙に行くことがなければ、地球は青くて丸いのだ、ということも、いまだに知らなかったでしょう。

 

洗濯機もありがたいですし、料理も、薪で火を起こさなくてもできるのは、快適です。技術の進歩、それ自体は、人の生活を便利にするもので、何かを奪うものではありません。それ自体は、ですけれどね。

 

一方で、このスピードでは疲弊する面もあります。

 

山や、森や、海へ出かけて、癒されるのは、サイクルがゆっくりだからかもしれません。

 

海は、荒波の日もありますが、目にも止まらぬ速さで波が動くのとは違う気がしますし、

 

森で鳴く鳥の声は、7倍速(ドッグイヤーになぞらえて)に聞こえることは、ありません。

 

都会の生活よりは、ゆったりです。1日をかけて、太陽が昇り、明るく照らして、午後には傾いて、夜には沈む、というリズムを刻みます。1年には、四季というリズムがあります。

 

こう思うと、人間は、社会のスピードの加速について行けていないのかもしれません。

 

こんな時代に、太極拳などという、時間をかけていくもの、ただ今を感じていくもの、ゆっくり育てていくものが、なかなか大衆的にはウケない(と感じることがあります)のは、当然なのかもしれません。

 

今の社会で、よくあるサイクルは、目標設定→達成でしょう。達成を目指して、一心不乱に、わき目もふらずに突進するでしょう。効率的ではありますが、その道のりで、脇に生えている草花を見逃す可能性も高いでしょう。

 

「成功すればいい」と思うかもしれませんが、成功し続けるのは、大変です。オリンピック選手だって、生涯ずーっと金メダルを取り続けることは、できませんものね。

 

目標設定→達成の中では、成功するか、失敗するか、しかありません。でも、のんびり道を歩いて、たくさん寄り道をしたら、思いがけない発見があったり、そこから何かが発展していくかもしれません。ここでは、成功や失敗は、ありません。でも、いろんなことが起きます。

 

太極拳の修練は、この後者、のんびり道を歩く方に似ています。

 

中国の武当山にいる先生は、とっても穏やかで心が広く、おおらかな方なのですが、昔、「あれは武当山という環境があるからだ」と言った人がいました。「東京に住んだら、ああではいられないはずだ。」と。

 

そうかもしれません。実際、わたしが武当山に2か月間滞在して、東京に帰ってきたとき、リズムの早さについて行けず、苦しい思いをしました。

 

でも今は、そんな風にあきらめることはない、と思っています。

 

ゆったりしたサイクルを、自分の中に持てばいいのです。

 

天地とつながり、意識が広がってゆったりしてくると、自分という存在が小さく感じられ、あれこれの悩み事がどうでもよくなってきます。悩みごとの程度によっては、どうでもよくはならないかもしれませんが、少し捉え方が変わってきます。

 

ゆったりしたサイクルは、自然のリズムです。どんなに社会のリズムが早くなっても、わたしたちが自然の中で暮らしていることは、変りません。

 

自然のリズムの中では、今の社会のリズムで「遅い」と感じているものも、遅くないのではないかしらね。

 

そして、せかせか焦ってやると、忘れものをしたり、うっかりミスをしたり、逆に時間がかかることもあります。自分のエネルギー消費も大きいでしょうし、周りに与えるイライラ、ピリピリも大きく、人々のエネルギーも消費させるでしょう。

 

それをするのにちょうどよいスピードですれば、結果として、逆に速いかもしれません。エネルギー消費、ストレスは、自分も、周囲の人も、小さくて済みます。

 

テキパキやったけれども、「それ、必要ないですけれども?」という経験、ありませんか?わたしには、あるのですよ。そんな苦い経験が。自分は、「どうだっ」とドヤ顔だっただけに、間抜けすぎて、思い出すと笑ってしまいます。

 

自然の中で育ってきた太極拳は、自然のサイクルに呼応して、ゆったりしています。だからこそ、社会のサイクルが早くなってしまった今の都会には、必要とされている気がしているのですよ。

 

これを広めていくことについては、がんばります。ゆったりと。

 

 

ゆったりサイクルに触れに行く「やさしい站椿功」は、12月22日(土)14:00-15:30、九品仏駅・自由が丘駅近くの和室で開催します。詳細とご応募方法はこちらから。

 

 

☀「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...

 

いしい まゆみ(道号:静慧)/ みんみん)

太極道家

講座のご案内は、こちらからどうぞ

 

体と心が目覚める太極拳(http://minminkung-fu.com/)

ブログ: みんみんの陽だまり太極道日記(http://blog.minminkung-fu.com/)

「太極拳、あるある、ないない話」Facebookページで毎日更新:こちらから

「すきなもの」Instagramでほぼ毎日更新:Instagram(@mayuminmin927)


コメント
コメントする








   

calendar

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< December 2018 >>

selected entries

categories

archives

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM