武当山日記:站椿功がもらたす「喜悦」

2018.09.26 Wednesday

(武当丹剣のはじまりの部分)

 

站椿功(日本語で言うなら、立禅)は基本で、ここから始まり、ここに行きつく、と感じています。

 

ひたすら、立ちます。

 

立ち方には、いくつかコツがあります。今回も滞在中、先生が説明してくださる時間がありました。

 

このとき、わたしは別の場所で別の練習をしていたのですが、ふと気になって他の人の様子をちらりと見ると、みんな集まって、何やら話を聞いています。初めての人たちに站椿功の説明をしている様子でした。

 

こういう話は、何度聞いてもいいものです。我ながら、いいタイミングでちらりと見たな、と思います。こういうの、「奇跡」と言いますよね。

 

站椿功は、まず体を整え、次に心、そしてこの2つが自然にできれば、最後の呼吸は、自然になります。「寝るときに、どうやって呼吸しようかなんて、思わないでしょう?それは自然にできるものだから。」段階は、3ですね。

 

体の整え方も、ポイントは3つです。

 

1.脚蹬(Jiǎo dèng):脚で大地をしっかり踏む・押す

 

2.收腹(Shōu fù):お腹を収める

 

3.头顶(Tóudǐng):頭を上に

 

3には、意味があります。老子のことばに、「1は2を生み、2は3を生み、3は万物を生む」(老子「道徳経」第41章)とあるとおり、3は、すべてとか、発展を意味します。

 

ひとつめの「脚蹬」は、体重を乗せるのではなく、押すのです。積極的に立ち、しっかり根を下に伸ばすイメージです。これで下に向かう力が大きくなり、逆に向かう力も大きくなります。

 

このときに注意したいのは、膝です。曲げず、のばさず、です。站椿功いは、腰を落とすやり方も多いのですが、この学校のやり方は、腰を落としません。なぜなら「膝に重さのかかるやり方ですると、膝を壊すから」です。

 

これは、膝に負担をかけない体の使い方を学ぶ方法でもあります。「この体の使い方が身についたら、いくら腰を落としても大丈夫」のですが、站椿功自体で腰を落とさなくてもいいのです。

 

膝の扱いは、難しいところです。過去、わたしも長い間、迷い続けました。

 

曲げず、は自分から曲げないこと。伸ばさず、は、わたしの場合はふくらはぎがピンっとはったら、やりすぎというイメージです。膝には衝撃を吸収するためのバネの役割をするため、曲がるようになっています。これをわざと曲げたり、伸ばしきったりすると、バネが効かなくなります。

 

ふたつめの「收腹」をすると、腰(ウェストラインの後ろ側)の反りがなくなります。背中側、おへその裏にある命門(めいもん)というツボが、開くイメージです。腰が反っていると、1で脚で大地を押しても、腰で引っかかって、上に伸びる力が止められてしまいます。

 

このとき、胸を張りすぎていると、腰が反りがちになりますので、要注意です。

 

3つめの「头顶(頭頂)」は、1と2ができていれば、頭は天に向かって伸びて行きます。下から突き上げられて、どんどん背が高くなるイメージです。背骨の関節の隙間も空いて、背中が伸び、体の中には「空(Kōng)」、スペースが生まれます。

 

このとき、あごが上がっていると、首の後ろが反って、下からの力がせき止められてしまいます。あごは、少し引きぎみ、でもきゅっと力まないように。あごを引き続けると、頭がどんどん天に向かって伸びるイメージです。

 

舌は、上あごにつけます。経絡の任脈(にんみゃく:体の前側の真ん中を通っている)と督脈(くみゃく:後ろ側の真ん中を通っている)はつながっていないのですが、舌を上あごにつけることで、このふたつを橋のようにつなぐ、とも言います。

 

余談ですが、歯医者さんが書かれていた本で、赤ちゃんがおっぱいを吸うとき、舌をこの位置において、しごくことで吸うのだ、とありました。この動作は、赤ちゃんの発育にはとっても大切なのだとか。(出典:「舌は下ではなく上に」宗廣素徳 文芸社)

 

成長のシンボルとされる赤ちゃんと同じ動作をするのも、さらなる発展、発育を意図しているようですよね。

 

 

体が整ったら、次は心です。心を整えるには、耳を使います。

 

耳は、外に向かって大きく開きます。聞きに行くのではなく、音が入ってきます。以前、先生は、「心の音も聞く」と話されていました。これがとても好きで、自分の内と外の境界線が、曖昧になっていくような感じがします。個の自分が、すべてのひとつの源、太極に、合わさっていくような感覚です。

 

 

体と心の次は、呼吸です。これは、もう何もしなくても自然にできます。

 

 

腕を前にあげる姿勢を続けていると、肩や腕が痛くなることがあります。「それは、どうすればいいの?」という質問に、先生は、「肩をどうにかするのではなく、3つのポイント、脚、お腹、頭のどこかが整っていない」と話していました。

 

さらに「動いてはいけないと思うから、辛くなる。別に動いてもいい。」とも。○○でなければならない、という考えは、自分を縛りつけて硬くするのですよね。

 

そして、「天と地は友達だ。そこと繋がっていくと、日常のいざこざ、気になっていることなど、どうでもよくなるよ」と言うのです。

 

その感覚を、「喜悦(Xǐyuè)」と、表現していました。外部の要因による嬉しさ(中国語だと、「高兴(Gāoxìng)」とは違い、内から沸き起こる喜びのような感じです。絶対的な喜び、とも言えるかしらね。

 

先生の方の大らかさ、心の広さは、もともとの気質もあるかもしれませんが、やはりずっと站椿功を続けてきたことも、大きいのだろうと、感じます。

 

「毎日10分、やり続けていると、変ってくるよ。」と。

 

腕を上げるのが大変だったら、腕は下げていてもいいのです。とにかく「立つ」こと。立つ力をつけることが、大切です。

 

そうすると、やる前には考えもしなかったことが、いろいろ現れてきます。それが、站椿功だと思っています。

 

言葉では、上手く説明できません。言葉での表現をはるかに超えることって、実際にはたくさんあるのです。

 

 

(站椿功には、いろいろなやり方、いろいろな説明方法があります。わたしはこのやり方が好きですが、これも、そのひとつとして読んでいただくと良いと思います。)

 

 

 

☀「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

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いしい まゆみ(道号:静慧 / みんみん)

太極道家

体と心が目覚める太極拳(http://minminkung-fu.com/)

講座のご案内は、こちらからどうぞ

 

 


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