武当山日記:安静(an jing)

2018.09.12 Wednesday

(逍遥谷)

 

8月末から9月上旬まで、中国の武当山にお稽古に行ってきました。そのときに感じたことを、少しずつ書いていこうと思います。

 

今回、今までとは大きく変わったことがあります。学校が、お引越ししたのです。

 

「農家を改装して、学校を移す」という計画は、2年前から聞いていました。

 

今までは、南岩という場所でホテルの中にオフィスを構え、わたしたちのお部屋もホテルでした。

 

南岩は、バスの終点のひとつです。南岩宮という美しい道観(道教の寺院)をはじめ、世界遺産に指定されている古代建築物もあります。金頂と呼ばれる山頂まで歩いて登るコースの始点にもなっています。道には、お土産もの屋さんやレストラン、ホテルが並び、小さいながらもスーパーもあり、にぎわっている場所でした。

 

ちょっとしたお買いものもでき、お稽古が終われば近くのお茶屋さんに遊びに行ったり、プチ観光したりと、いろいろな楽しみも多い場所でした。でも、週末や祭日にはバスも人も溢れ、夜は宴会の大声が響き、朝は山に登る人が4時くらいから大声を出したりと、「まいったな」と思うこともありました。

 

お稽古中も、観光客に囲まれ、写真を撮られたりするような環境でした。

 

いまの場所は、南岩からバスで12キロ下がったところ、逍遥谷にあります。

 

ここも観光地ですが、南岩のように、お店やレストランはなく、ホテルもありません。

 

先生は、こういうやすらかな環境を求めていたようです。

 

(学校。オフィスのある1号棟)

 

お店もなく、不便に見えますが、食事は学校で出ますし、ミネラルウォーターも用意されているため、お買いものに行く必要も、ありません。

 

広い敷地内には、5棟が点在しています。おしゃれな言い方をすれば、コテージ風です。1号棟がオフィス、残りの2〜5号棟が、宿泊施設です。

 

それ以外の建物は、もともとのオーナーさんのお家くらいです。

 

知らない人が入ってくることもなく、部屋にも鍵をかけなかったくらいです。昔の田舎のおうち風ですね。

(2号棟。わたしの部屋の前)

 

(ピーナッツを干しているところ。でもここは、道。わたしの部屋からオフィスに向かう道です。)

 

朝も、昼も、夜も、いつでも静かです。ここでいちばん大声を出すのは、虫たちです。大きすぎて「夜、なかなか寝つけなかった」という人も。

 

スーパー行くためには、バスにのって南岩に行かなければなりません。20分くらいかかりますし、山道ですので、車酔いもします。さらに、近くのバス停から学校までは、結構な階段があるのです。出かける意欲をなくすくらいの階段なのですよ。

 

お稽古が終わった後の夜は、バスもなくなります。どこにも行けません。学校の中でおしゃべりしたり、練習することもありますが、基本はさっさと部屋に帰って寝ます。

 

敷地内は、緑がいっぱいです。景色も美しく、早朝の自主練も、気持ち良くできます。

 

(学校の敷地内からの景色)

 

こうなると、自然とひきこもりがちになります。でもそれが、とても居心地のよい、ひきこもりなのです。

 

どこかに行きたい、とか、

どこかに行かなければ、とか、

 

何かを外に求める必要はなく、いまいる場所にいるだけで、十分なのです。

 

自然の姿は、毎日変わります。時間によっても、光のさし方、風、聞こえてくる音も、どんどん変わります。同じ瞬間は、二度とありません。何もないように思えるかもしれませんが、実はとっても豊かです。

 

お稽古も、自然と集中できます。周りを見ていても、無理なく、進んでお稽古するような人が多かったように思えます。

 

その姿は、とても美しかったです。

 

(高台にある屋根付きスペース)

 

先生は、「ここは”安静”だから」とおっしゃっていました。中国語で”安静”とは、穏やかで落ち着いている、澄み渡っているようなイメージでしょうか。こんな風に、静かで平和な環境でやりたかった気持ちが、よく分かった気がします。

 

敷地内には、中型犬が2匹います。白と、黒。白い子は、脚が3本しかありません。でも、上手に歩きます。ぴょこぴょこと歩く姿は、いつも「うふっ」と嬉しがっているようで、とてもかわいかったです。

 

こちらの犬は、放し飼いです。中国では伝統的に番犬で、日本のように家族の一員という意識ではないため、関係性は、ちょっと違う気がします。

 

それでもこの山で出会う犬はみんな、優しく、かわいい顔をしています。しあわせそうに見えます。性格も、おだやかです。

 

早朝や夜中に吠える声で起こされることはありましたが、犬のいる生活は、なんとも暖かいものでした。

 

(おやつをねだりに、部屋に侵入してきたところ)

 

環境は、やっぱり大切です。

 

ここでなければダメということはないのですが、人生の中で、やはりときには、自然の中で、外からの刺激に煩わされずに過ごすことは、とても大事なことだと思います。

 

来ている人の様子が、それを語っているようでした。

 

無理せず、自然に生きることは、武当功夫(カンフー)が伝えようとしていることだと、思います。それには、無理をしない自然の環境に身を置いて、そこから自然に学ぶことが、いちばんです。

 

ここは、何もないかもしれないけれど、すべてがあります。

 

手作りのおいしいごはんをみんなで食べて、どうでもいいことで大声で笑って、助け合って、体をしっかり動かして、ぐっすり寝る。そんな毎日は、人の体と心をほぐしてくれます。

 

お部屋もね、素敵でしょ。先生は、センスが良いのです。お掃除も、きちんとされています。

 

 

 

(窓からの風景。この席は、先生もお気に入り。)

 

ただし、写真には写っていませんが、虫は出ます。大きなクモや蛾、バッタや毛虫くんなど、いろいろです。中国の家は土足ですから、外と内の境界線が曖昧なこともありますし、窓やドアの隙間も大きいこともあると思います。

 

見つけたら、速やかにでていっていただくよう促すか、スプレーで対処です。山の中ですから、そういう術は、身に着けないとね。

 

(学校から見える日没)

 

 

☀「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

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いしい まゆみ(道号:静慧 / みんみん)

太極道家

体と心が目覚める太極拳(http://minminkung-fu.com/)

講座のご案内は、こちらからどうぞ

 


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