尾白川渓谷のトレッキングと 太極拳と 修行

2018.08.14 Tuesday

 

先日、尾白川渓谷にキャンプに行きました。南アルプス天然水の、名水の地です。

 

川にはいったり、翡翠色の滝壺にドボンと入って泳いだり、夏を満喫した翌日は、渓谷道のトレッキングです。途中、滝の絶景ポイントがあり、滝のしぶきをめいっぱいに浴びる所もありました。頂上では遠くに3段の滝が見えるという、めずらしく美しい景色に出会えるコースです。

 

しかしこの道、ところどころに「滑落注意。死亡事故あり」と、看板が立っています。鎖やロープを頼りにして歩いたり、地面に張り巡らされたような木の根っこをつかんで急な坂を登るなど、アップダウンも激しいコースです。道は整備されていますが、幅が細く、片側は渓谷にすっぱりと落ち込んでいて、それはそれは、落ちたらキケンでしょう。

 

「死亡事故あり」なんて見てしまうと、怖いですよね。これを「慎重に」というアドバイスとして受け取ればよいのですが、文言にとらわれて怖くなると、体は緊張して硬くなります。貴重な情報に感謝して、心を落ち着けます。深い呼吸を意識することも、役立ちます。

 

過信は禁物です。「普段、鍛錬しているから、できるはず」なんて思いすぎると、逆に体が硬くなることは、過去に体験済みです。

 

歩くときは、一歩ずつ。落ち込む崖など見過ぎると、怖くなってしまうため、次の一歩を大切にして歩きます。

 

こんなとき、ふだん太極拳でやってきたことが、とても役に立った気がします。心の落ちつけ方、体の使い方、目の使い方などです。

 

慎重さは大事ですが、あまりに集中しすぎると、精神的にどんどん疲労していきそうです。こんなときには、太極拳の目の使い方です。「木を見て、森もみる」という、視界は開けているけれど、細かくも見えている状態です。これだとエネルギーを使いすぎることも、ありません。

 

体も、できるだけ筋力を使わないで済むように、楽な方法を探ります。段差がある下りは、膝を痛めないように、膝に体重がかからないで行ける方法で。腕を使うときも、腕力頼みにならないように。

 

「どんなところも大丈夫!」という自信があるわけではありません。「軽んじたらあぶない」と思いながら、歩きました。でも、そんな中で良かったのは、自分の体との信頼関係があったことです。今、自分がどのくらい緊張しているか、楽な状態か、無理をしようとしているか、などが、おそらくそこそこ正確に把握できていたと思います。その上で、無理しないよう、心がけました。

 

2時間くらい歩いたでしょうか。無事に頂上までたどり着き、遠くの滝をぼんやり眺めて休憩です。下りは比較的広めの道で、のんびりと歩けました。

 

慎重に、丁寧に、でしたが、どうやって歩くかなど、その行程自体も楽しみながら、歩けました。滝はもちろんですが、途中、風穴があったり、水がちょろちょろ流れていたり、小さな発見もたくさんです。

 

おかげで筋肉痛も出ず、太極拳をやっていて良かったなあ、と思いました。

 

 

話は変りますが、「毎日、どのくらい練習するのですか?」と聞かれることがあります。

 

5年くらい前までは、「1日、2時間」と決めていました。まだ会社員だった頃の毎日は、ほぼ、仕事とお稽古しかしていなかったときもあります。あの頃は、そうしたかったのですね。

 

中国の武当山にお稽古に行くときも、1週間ほどの短い滞在を有効活用したくて、お休み日(学校によりますが、週に1.5〜2日はお休みです)にも、お願いしてお稽古してもらっていました。

 

「もっとやりたい」という向上心とか、

「誰よりも上手くなりたい」という競争心も、あったと思いますが、

「これをやり続ければ何かある」という漠然とした、理由のない理由も、あったと思います。

 

でも続けていくうちに、そんな向き合い方も、ずいぶんと変わってきました。

 

中国にお稽古に行っているとき、お稽古時間の中で、ときどき、サッカーや鬼ごっこ、馬跳びや棒とびなど、遊びの時間が入ってくることもあります。お稽古時間だからといって、いわゆる”お稽古”だけではなく、ゆるーく、アバウトなのです。

 

最初の頃は、「ずっとここにいる人たちと違って、わたしは短い期間しかいないから、この時間が貴重なのに」と思うことも、ありました。

 

でも、そんな遊ぶ時間は、いつもすごく楽しい時間です。そして、みんなで大笑いした後の、いわゆる”お稽古”は、びっくりするほど楽で、調子がいいのです。

 

そんな経験は、わたしにいちばん足りなかったものを、教えてくれました。

 

太極拳とは、カンフーとは、生きていくことです。太極拳の套路(型)を練習している時間だけではありません。日々の生活の中で、自分の体や心のあり方、動き、他人との関係などなど、すべてがお稽古であり、それが修行もあります。

 

その意味では、今回のようなトレッキングは、とってもよいお稽古でした。

 

修行とは、楽しいものなのだと思います。今回のように。

 

(川辺で朝ごはん)

 

【特別クラスのお知らせ】

8月19日(日)14:00-16:30は「みんなが知らない太極拳のひみつ」(5)です。詳細とご応募方法は、こちらから。

 

 

☀「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

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いしい まゆみ(道号:静慧 / みんみん)

太極道家

体と心が目覚める太極拳(http://minminkung-fu.com/)

講座のご案内は、こちらからどうぞ

 


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