無用の用

2018.07.30 Monday

(中国、武当山 南天門)

 

先日の「タオを生きることば」のクラスは、老子「道徳経」第11章を取り上げました。

 

器は、中が空洞だからものを入れて使うことができます。家も、空間があるから、人が住むことができます。そんなことが、書かれています。

 

「『無用の用』と同じかしら」と生徒さん。確かに、似ていると思って調べてみたら、そのとおり、これは老子の考えを継いだ荘子の教えでした。

 

老子と荘子の教えは、老荘思想とよばれ、ひとくくりにされています。道家思想とも言われています。

 

荘子が説いた例に、くぬぎの大木の話があります。

 

あるところで神木としてまつられていた巨大なくぬぎがありました。ひとめ見ようと、わざわざやってくる人が多い中、石という棟梁は、目もくれずに通り過ぎます。理由は、何の役にもたたないから、です。「舟をつくれば沈んでしまうし、棺桶をつくればたちまち腐ってしまう。あんなに成長できたのも、もとはと言えば、無用だからである。」

 

くぬぎの霊は、棟梁の夢に現れて、こう言います。「人も物も、みな有用であろうとして命を縮めている。だが、わしは違う。今まで一貫して無用であろうとつとめてきて、遂にそうなりきることができた。おまえのように、有用であろうとして命を縮めている者とはわけが違うのだ。」

 

有用だったらとっくに切り倒されていたところ、無用だからこんなに長生きができたわけです。(出典:「老子」守屋洋 SB Creative)

 

家をみてみると、部屋にモノがあふれていたら、部屋としては上手く使えませんよね(耳の痛い話ではありますが)。

 

ちょっと昔の日本の家は、この空間を上手く取り入れていた気がします。

 

たとえば、縁側。そして、土間。一時的な作業場所になったり、作業の合間にちょっと座って休む場所になったり、空間だからこその活用は、無限大です。

 

外なのか内なのか、あいまいで、だからこそ、外と中をつないで、いろいろ使えるとも言えます。

 

ブログタイトルにしている「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。

 

縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。

 

生け花を見ても、空間を活かしていますよね。花束のようにお花がギュッとなっているものも好きですが、生け花が大切にしている(と、わたしが思っている、ですけれども)、空間が生み出す美しさも、素敵です。

 

コップの中に半分水が入っている、というたとえは、「半分しかないと見るのか、半分もあると見るのか」という視点の違いで取り上げられます。ここに、もうひとつ、空間に目を向けることもできますよね。「まだあと半分、入る。」

 

コップも、空間があるからこそ、扱いやすくなります。溢れんばかり満杯のコップは、持ち上げて飲むのも一苦労です。このあたりは、どれがいいかというより、視点の違いで、いろいろある、というだけのことですけれどもね。

 

「タオを生きる言葉」クラスの後半は、体感する時間を設けています。この日、体験していただいた中に、こんなゲームもありました。

 

”ふたりが、一人分の空間を間にあけて、立つ。→ふたりとも前に歩く。→反対側から、ひとりが歩いてきて、ふたりの間を通る。”です。

 

最初は、何も言わずにやってもらいました。すれ違うとき、窮屈そうに体を緊張させてた方もいらっしゃいました。

 

二度目は、「ふたりの間にある空間に意識をむけて、通ってみて」と言いました。すると、全然違うのです。「ふたりの間の先にある空間にまで、視界が開けた」という感想もありました。ふたりが向かってくることが、プレッシャーになりにくいのです。

 

これ、混雑している駅の構内で試してみると、面白いですよ。空間、空間、と意識をむけていると、ぶつからずにいいペースで進めます。

 

空間は、ゆとり。

空間は、あそび。

空間は、のびしろ、ゆたかさ。

 

ひとりより、みんなでワイワイ話しながら、あれこれ脱線しつつ、発見あり、発展あり、となっていくことも、空間があるからこそのゆたかさです。共に生きていることに、感謝です。

 

 

≪「タオを生きることば」≫

月2回、水曜日の夜に、池尻大橋駅付近の会場で開催しています。 老子「道徳経」を1章ずつ読みながら、タオのあり方を体感していきます。後半は体を動かしますが、お着替えいただく必要はありません。

8月の開催は、8日と22日、19:00−20:30です。詳しくは講座のご案内からご覧ください。

 

 

【特別クラスのお知らせ】

7月29日(日)13:00-15:0は「立って、歩いて、太極拳」(千葉県香取市)です。詳細とご応募方法は、こちらから。

8月5日(日) /11日(土)14:30-16:30は「太極扇を体験しよう」です。詳細とご応募方法はこちらから。

8月19日(日)14:00-16:30は「みんなが知らない太極拳のひみつ」(5)です。詳細とご応募方法は、こちらから。

 

 

☀「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

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いしい まゆみ(道号:静慧 / みんみん)

太極道家

体と心が目覚める太極拳(http://minminkung-fu.com/)

講座のご案内は、こちらからどうぞ

 


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