下手で、いい

2018.06.15 Friday

 

映画「モリのいる場所」を観ました。

 

画家の熊谷守一(くまがいもりかず)さん(=モリ)の、晩年の1日を描いたものです。モリは30年間、自宅の庭から出なかったそうです。

 

「庭は広すぎる」から。

 

ゆたかな生態系の庭には、さまざまな植物、虫、鳥たちが集います。それらをひたすら”みる”、モリ。映像では、小さな虫たちの日常の活動が映し出されていて、それらがなんともユニークで可愛らしく、思わず笑ってしまいます。モリは、こんな目で見ていたのかもしれません。

 

そんなモリに、「こどもの絵を見てください。才能があるんじゃないか、と思って。それなら教育を考え直そうかと。」と頼む人が出てきます。モリはじっと見てから、「下手だ。」

 

そして、下手でいい、上手には限界があるから、というような話をしていました。

 

いいことばだな、と思います。

 

自分をふりかえってみると、とかく、体を使うことに関しては、始めたときは「下手だなあ」と、よく思いました。例えばバレエも、水泳も、テニスも、太極拳も、です。でも下手だけど好きで、上手くなりたくて、練習します。練習することが楽しいから、苦にならずに続きます。人から見て大変そうに見えたとしても、自分にとっては、どうってことなかったりします。

 

下手+好き=続ける力、なのかもしれません。

 

では、やったらうまくなるのでしょうか?始めたころの自分と比べたら、そうかもしれませんが、たとえば太極拳にしても、今でも「上手い」という表現はピンときません。

 

ただ、続けてきた積み重ねがあるだけです。

 

続けてくるとわかることが、いくつかあります。

 

ひとつは、いつでも今のベストでやることです。教えるときは、今わかっている全てで、教えます。

もうひとつは、今のベストは将来のベストではないことです。3か月前、半年前とは、今のベストは違います。

 

今のベストを尽くすため、今に不満はありません。でも一方で、まだまだ知らないことだらけなことも、わかっています。だから楽しみがあります。

 

「下手の横好き」ということばがありますよね。音の響きに、ふっと頬がゆるんでしまいませんか?そんな自分でいられたらいいな、と思います。

 

これまで、「上手くなきゃ!」「これだけやってきたから、これも出来て当然」と思ったことが、ないわけではありません。でも、そう思ったときは、必ず失敗するのです。人生、上手くできています(笑)。

 

やったことは、なくなりません。頭では忘れても、体の経験としては残っています。それを「これだけやったから、上手くなきゃ!」と頭で考えてしまうと、逆に自分にプレッシャーをかけることになり、体を緊張させます。緩んでいなければ、上手くいくわけがありません。

 

頭で考えた自信は、重荷になるだけです。

 

「できるかどうかはわからないけど、やってみよう、やってみたい」というくらいが、わたしには、ちょうどよいみたいです。

 

映画のモリは、晩年で、すでにとっても有名な画家であり、書家でした。でも名誉には興味がなく、「大先生」という気張りもなく、どこかユーモラスです。そんなモリに、周りの人が魅かれて巻き込まれていく様子は、とっても見ごたえがあります。

 

モリ役は山崎勉さん、奥様には樹木希林さん。ポスターに書かれたコピーは、「文句はあるけど、いつまでもふたりで」。そのことばどおりの、結婚52年目のふたりの間の、ほんわかとした関係にも、ぐっときます。

 

熊谷守一さんは名のある芸術家ですが、そうでなくても、人はみんな、自分を表現して生きたい、と思っているような気がします。表現方法は、作品である必要はなく、いろいろです。

 

それぞれが、こんな風に「好き」な姿を表現していったら、映画のように、優しく暖かく、平和な世界が広がるような気がします。それぞれの「好き」に、みんなの頬が緩むような世界です。

 

「モリのいる場所」は、映像も音も美しく、温かくて優しい映画です。お勧めです。特に、樹木希林さんの美しさは、格別です。

 

 

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☀「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

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いしい まゆみ(道号:静慧 / みんみん)

太極道家

体と心が目覚める太極拳(http://minminkung-fu.com/)

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