シェイクスピアの音楽会

2018.05.31 Thursday

 

”シェイクスピアの音楽会”に、行ってきました。

 

「シェイクスピアは、どんな音楽を聞いていたのか?」として、プロの演奏と歌唱はもちろん、この日のために集まった40人の素人さんたちによるリコーダー演奏、そして!観客みんなで歌うところもあるという、なにやら楽しい企画です。楽器が、リュート、ヴィオラ・ダ・ガンバ、リコーダーというところも、楽しみでした。

 

シェイクスピアは、かつて英文学を専攻していたわたし(もうふるーい記憶ですが)にとって、特別な存在です。

 

何が特別かというと、まずその言葉の美しさです。シェイクスピアが生きたルネサンス期、すでに散文は存在していたのですが、シェイクスピアの作品には、劇であっても、詩の形式が多くみられます。(注:それよりの中世では、文学は口承だったため、詩の形式しかありませんでした。)

 

韻を踏む、リズムのよい音の響き。これ自体が音楽です。

 

会場では、シェイクスピア研究者の河合祥一郎先生が、いろいろと解説をしてくださいました。

 

パンフレットから抜粋すると、

 

「天体の音楽(music of the sphere)という言葉があるのですが、シェイクスピアもいろんな作品でこれを語っています。当時の宇宙観は、地球が中心にあって、太陽や月がそのまわりを動く天動説です。この動く天体が音楽を奏でているけれど、ふつうは人の耳には聞こえないと信じられていた。(中略)この音を聞くことができるのは、心の清らかな人だけなのです。(中略)天体とは神々のことで、天体の音楽とは神々が奏でる音楽です。日常の生活を超えて天体とつながる感動。大宇宙と結びつく喜び。これがシェイクスピアの世界観であり、音楽観であると、ぼくは思うんです。」

 

地球を取り囲む惑星が、ぐるぐる回ってハーモニー(和音、調和)を奏でていること、これが天体の音楽です。でもそれは、人には聞こえません。それを楽器を使って聞こえるようにした、というお話もありました。

 

だから音楽を奏でるとき、歌うときは、私(我)を出すのではなく、天体をそのまま降ろすのだとか。

 

太極拳みたい、と思いました。

 

わたしにとっての太極拳は、我を出すのではなく、透明なパイプのような存在として、天と地をつないで循環させるものです。いきなり「我をなくせ」と言われると、ますます煩悩だらけになるばかりですから(人は、やってはいけない、と思えば思うほど、それをやってしまうものです)、それなりの段階を踏んでいきます。一気には行けませんし、ずっとそうでなくてもいいと思っています。なんといってもそこは、神様の領域ですからね。

 

狂言の野村萬斎さんも、舞台に立つときは、天とつながるような感じなのだとか。

 

太極拳なり、音楽なり、その他の表現方法を通して、宇宙のハーモニー、調和に触れること、それと自分を同期させることは、河合先生の言葉を借りるなら「天体と結びつく感動。大宇宙と結びつく喜び。」です。

 

わたしはこの言葉以上に、上手い表現が思いつきません。とにかく、震えるような感動なのです。

 

「それがあったら何になるの?」と思う人もいるかもしれませんよね。

 

大学生の頃、指導教官に「英文学は実学じゃない。社会に役に立たない学問だ。それを学ぶ意味を考えなさい」と言われたことがあります。

 

実生活に役立つかと言われれば、直接的には役立ちません。合理的な目で見れば、無駄とも言えます。でもそれが、ゆとりをもたらし、人生を奥深く、豊かにし、人の心の幅を広げてくれると感じています。

 

さてさて、でも実際には、地球に生きる人間は、神様ではありません。いろいろと失敗もします。河合先生は、天体をそのまま降ろすんだよ、と、美しいことを言いつつも、「人間は、ばかだ。それを知っているほうが、しあわせでいられる」ともおっしゃいます。だからなのか、シェイクスピアの作品には、道化(英語でfool=ばか)が登場しますし、foolという言葉で人間のおろかしさを伝える場面も、あります。

 

そこでみんなで歌ったのが、「この野郎(Thou Knave)」です。

 

「だーまれー♪、この野郎だまれー♪、ば、か。」ですよ。続いて「だまれ、ば、か。」さらに「ば、か。」

 

なんとも失礼な歌詞に、美しいハーモニー。この可笑しさは、残念ながら実際に歌わないと、伝わりにくそうです。憎々しげに歌ったら、だめなのですよ。天体とつながるのですから、神々しさを持ちつつ、「ば、か」です。

 

みんなで歌うのもハーモニー、40人のリコーダー演奏もハーモニー。もちろんプロの方々の音楽も、ハーモニーです。劇場内でも何度も笑い声が起き、演奏者も、観客も、みんな楽しそう。しあわせな雰囲気に包まれていました。これも、調和ですね。

 

ちなみに、地動説を唱えたガリレオは、シェイクスピアと同い年なのだそうです。散文と詩という形式の融合といい、天動説から地動説へといい、なんとも激動の時代を生きたわけですね。

 

ああ、楽しかった(^^)。

 

 

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6月6日(水)、20日(水)は、「タオを生きることば」です。詳しくはこちらの講座案内からご覧ください。

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6月17日(日)14:30-16:30は「太極扇を体験しよう(第8回)」です。詳細とご応募方法はこちらから。

 

 

☀「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

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いしい まゆみ(道号:静慧 / みんみん)

太極道家

体と心が目覚める太極拳(http://minminkung-fu.com/)

講座のご案内は、こちらからどうぞ

 


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