カンフーと、男性性と女性性

2018.05.24 Thursday

(中国、武当山 逍遥谷)

 

3年くらい前に、「高度成長期からごく最近までは、活動的な男性性が強い時代で、目標を設定して達成するという、イケイケどんどんが続いてきたけれども、それが行きすぎてバランスが崩れ、だんだん男性性さえも生かせないようになってきた。そこで受容である女性性が求められる時代になってきた」というお話を聞きました。

 

さらに「ちょっと前は、男性性が強い組織の中では、女性性の強い人は不適合となり、はじき出されるようなことが起きる」とも話していました。

 

わたしが会社を辞めた頃は、そんな傾向の始まりの頃だった気がします。長い間、合わないところにいたのではなく、流れも自分も環境も変化していく中で合わなくなったという解釈は、腑に落ちる気がします。

 

都合のよい解釈とも言えますが、自分の人生ですからね。自分が納得できるなら、それでよいと思いませんか?

 

陰陽で見ると、男性は陽、女性は陰です。

 

陽は、”動”。花が大きく開くように、活動、表現、発展があらわれます。

陰は、”静”。木の葉た落ちて土に還ったり、植物が種に生命エネルギーを満たしているように、受容や熟成があります。

 

陰と陽は、質の違うもの同志が、助け合って”ある現象”をつくります。人間が、精子と卵子から生まれることも、そのひとつですよね。陰陽のバランスが取れていると、形どおり、”円満”になります。

 

円満を示す”〇(まる)”は、陰陽の母であると言われる太極(王宗岳「太極拳経」より)の象徴でもあります。

 

「あの人はまるい人だね」と言うと、大らかで、柔かい人柄をイメージしませんか?逆に「角がたつ」と言うと、ぎくしゃくした関係をイメージしますよね?

 

では、〇を示す”太極”の文字が入った太極拳を鍛錬していくと、どうなるのでしょうか?

 

中国にいるわたしの先生たちや、過去に教えていただいた四節八卦掌の伝人の李先生を見ている限りの感想ですが、男性性も女性性も、どちらも強くて大きいと感じます。

 

先生たちは、みな男性ですが、まず、とっても優しいのです。大らかで、でも繊細でこまやかな面もあります。すごく女性らしさも感じます。動きも柔かく、角がないところにも、柔かい女性性を感じます。

 

でも、力はあります。内側から外に向かって拡大していくパワーを、感じます。活動とか、外に向かう表現は、男性性ですよね。

 

わたしは女性ですが、カンフーを始めてから男まさりになったわけではないと思います。むしろ8年くらい前の方が、きつい顔をしていたと思いますし、実際にそう言われることもあります。一方で、中国の先生の言葉を借りるなら、今は「身体の内側から、たくさん力がある」と言われます。

 

太極拳を鍛錬していくと、男性性も女性性も、両方育つような気がしています。パイグラフで表すと、奏法のバランスが整いつつ、パイ全体の大きさが拡大していくような感じです。

 

だから、バランスが整ってくることで、中性っぽくなるわけではありません。もともとの性(今の時代、この表現がふさわしいのかどうかはわかりませんが)が、失われるわけではありません。

 

何年か前、合気道を長いこと鍛錬されている方と話しているときに、”中庸”という話題になったことがあります。陰、陽、どちらにも偏らず、真ん中、中庸を行くのが良い、という話だったのですが、その方は「中庸とはいっても、その幅は広いような気がするのですよね」と言っていたのです。

 

パイグラフの中のバランスが整いつつ、パイが拡大していく感じと、似ていますよね。

 

もともと太極拳を始めとするカンフー(中国武術)の”武”は、”戈を止める”と書くとおり、起きてしまった争いを終わらせるためのものです。相手から力がかかったときには、自分から積極的に攻撃することはなく、それを受容(女性性)しますが、ただ受け入れただけでは、相手に振り回されてしまいます。

 

受容の方法に、コツがあり、積極的に活動するところも、あるわけです。それも含めて、広い意味では受容と表現することもあると思いますけどね。

 

タオの生き方とは、無為自然、自分から意識的に生み出そうとしない生き方を言います。「私」という我を捨てて、人に従う=人を受け容れることで、調和を導きます。

 

それは「あるがまま」とも表現しますが、「なすがまま」とか「なされるがまま」とは違うのかな、と思っています。なされるがままでは、打たれたら痛いし、怪我して、場合によっては命を落とすかもしれません。それは、共存ではなく、調和が保たれているわけではありません。

 

ここをカンフーでどうやっているかに、面白さと、すごさや奥深さがあるのです。でも、ちょっと長くなってきたので、また次回に書きますね。

 

※続きの「タオの生き方と、太極拳」(2018年5月25日)は、こちらから。

 

 

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☀「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

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いしい まゆみ(道号:静慧 / みんみん)

太極道家

体と心が目覚める太極拳(http://minminkung-fu.com/)

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