陰と陽、しゅるっ と ふわっ

2018.04.26 Thursday

(2016年秋、生徒さんと一緒に武当山で五行六合功をお稽古)

 

この前、「太極拳と聞いて思い浮かぶことは?」と聞いたとき、「陰陽」と答えてくださった方がいらっしゃいました。

 

おおっ!と思いました。

 

誤解のないように言っておくと、答えは、どれが正解というものでもありません。よく返ってくる「中国の公園で、おじいちゃんがやっているあれでしょ」とか、「ゆっくり動くのでしょ」というのも、もちろんその通りです。

 

ただ、もうちょっと深く、大事なところほど知られていないと思う中、「陰陽」というのは、わりと深いところに差し掛かっています。

 

太極拳の特徴のひとつは、小さな労力で大きな力を出せることです。

 

秘訣は、てこの原理です。重いものを持ち上げたいとき、てこを使うと楽に持ち上げられますよね?人間の体は、てこの原理を応用した使い方ができます。てこを下げる力が”陰”、その影響で持ち上がる力が”陽”になります。

 

地球には重力がありますから、上げる、下げるのうち、下げる方がはるかに楽です。下げる方、つまり”陰”を作りだすことで、上に上がる”陽”が自然に発生します。

 

樹木や花も、同じですね。目立つのは地上に出ている部分、咲いている花の部分ですが、はじまりは、下に向けて伸びる根っこです。上に伸びる力を出したいのなら、まず下げる、です。

 

太極拳は、止まることがありません。見た目に止まっているように見えたとしても、実際には動いている通過点の一部でしかありません。それは、陰と陽がクルクル交代して動き続けているのです。

 

人間は普段、こういう体の使い方をしていません。慣れるためには基本の練習が大切で、それにちょうど良いのが、武当五行六合功という気功です。

 

「五行六合功をひととおり練習してから太極拳を習う」という習い方もありますし、「これだけをひたすら40年練習する」というやり方もあります。どのやり方も良いのですが、わたしの太極拳クラスでは、五行六合功の一部を練習する→それを応用して太極拳の動きを練習する、というやり方もしています。

 

このところよく取り上げるのは、”极”です。太極(中国語で极)をうまく運ぶ、というような意味です。イメージは、ボールを体の左右でくるくると回転させるものです。

 

下記の動画の4:05〜4:40あたりに出てくる動きです。

 

 

これ、腰が回って腕が体の左右のどちらかに動いたところで、上にある手が落ち、下にある手が上がります。これがボールの回転です。手が落ちるのが”陰”、上がるのが”陽”です。

 

これをよく、「しゅるっ(陰)」と「ふわっ(陽)」と、音で表現します。「しゅるっ」が、先に動き、その影響で「ふわっ」と上がります。

 

何が言いたいかというと、両手の感覚がかなり違うのです。ボールを持って、両手を均等に使って上下をひっくり返すのではありません。

 

あくまでわたしのイメージですが、「しゅるっ」と落ちる方の手のひらには粘性があって、ボールが吸い付き、最後に手がボールの下に入って支えます。「ふわっ」は文字通り、ふんわり押し上げられ、最後はボールの上にポンと乗ります。

 

お稽古では、この「しゅるっ」と「ふわっ」をひたすら繰り返します。

 

これをやってから、太極拳の套路(型)で、この動きに似ているところを練習すると、「なんだか、それっぽくなった」という感想も聞かれます。

 

「それっぽい」という感覚は、かなり良い感じです。実際にどう感じているかは本人のみ知るところですが、それでも、なんだか良い感じがします。

 

どこまでやったらゴールというのはありません。目指す方向はありますが、絶対的な正解はなく、「こんな感じ?」が続いていきます。言葉で表現できるものを超えた世界です。その過程すべてが、かけがえのないものだと思っています。

 

新しい体の使い方、新しい感覚、それができることで、毎日の生活が変わってきます。どう変わるかは人それぞれですが、体が楽になることを含めて、より健やかで明るい方向に行くと思っています。

 

5月13日(日)の午後の「みんなが知らない太極拳のひみつ」のテーマは、太極と陰陽です。しゅるっ と ふわっ ではないかもしれませんが、陰と陽のバランスや力の使い方なども、体験できます。さらにその前には、太極の意味、陰陽とは?というおはなしもありますよ。ご案内とお申込み方法は、こちらからご覧いただけます。

 

 

【特別クラスのお知らせ】

5月5日(土)14:00-16:30は「太極扇を体験しよう(第6回)」です。詳細とご応募方法はこちらから。

5月13日(日)14:00-16:30は、「みんなが知らない太極拳のひみつ(2)太極と陰陽」です。詳細とご応募方法はこちらから。

 

(武当山、南岩宮)

 

☀「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、キリリとした印象もあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

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いしい まゆみ(道号:静慧 / みんみん)

太極道家

体と心が目覚める太極拳(http://minminkung-fu.com/)

講座のご案内は、こちらからどうぞ

 

 


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