千手観音菩薩の優しさと、教えること

2018.03.01 Thursday

(東京国立博物館内に再現された、仁和寺の観音堂。なんと写真撮影OK。中央が千手観音菩薩立像)

 

「仁和寺と御室派のみほとけ〜天平と真言密教の名宝」展に、行きました。

 

観音菩薩像、薬師如来像、阿弥陀如来像、そして空海の書である「三十帖冊子」などなど、ものすごく豪華です。空海の師である唐の恵果は「真言密教は言葉では伝えきれないから、絵で伝えるとよい」と教えたそうで、それにしたがって描かれた巨大な「両界曼荼羅」も見られます。

 

見どころ満載ですが、この中で特に心に残ったのは、千手観音菩薩像です。

 

展示の中に、観音堂を再現した空間があります。観音堂は僧侶の修行道場のため、一般には非公開なのだそうです。でも今回の展示は、観音堂の改修工事を記念しての開催のため、公開できたとか。実際に安置されている仏像33体、さらにそのまわりを、再現された壁画でぐるりと囲んでいる空間は、圧巻です。

 

中央にあるのは、千手観音菩薩立像です。

 

千手観音は、千の手と、千の眼で、すべてを救うのだとか。

 

人それぞれ、悩みは違います。それぞれの人を、それぞれの眼で見て、それぞれに合った手を差し伸べるという優しさを表現している、と解説されていました。

 

(観音堂の仏像)

 

(観音堂の仏像)

 

ちょっと話が飛躍しますが、それを聞いて、「教えることとは」を、思い出しました。数年前、中国にお稽古に行っているとき、ひとりの先生が話してくれたのです。

 

「教えるときには、それぞれの生徒に何が必要かを、常に見ていくことが大事です。

 

受け取る力、身体の素質、理解能力などなど、人それぞれ条件が違います。教えるときには、多方面から生徒をみて、みんなそれぞれ学べるものがあるように、それぞれに合う(違う)指導方法をしていくことが大切です。

 

そうやって教える中で、あなたもまた、たくさんのことを学ぶでしょう。」

 

この言葉は、今でもとても大切にしています。

 

そして、教えることによってたくさんのことを学ぶのも、その通りです。

 

教えるときは、まず、自分が習って理解した方法、言葉、表現で教えます。でもその結果、「あれ?」と思うことも起きます。想像していなかった光景が目の前に繰り広げられ、「いったい何が起きているのだろう?」と、びっくりするのです。

 

つまり、わたしが理解した方法、言葉、表現では、そのとおりに伝わっていないのです。

 

中国語と日本語の違いもあるかもしれませんが、それだけではないと思います。例えば「踏む」という言葉を、どういう動作として理解しているかは、実は、人それぞれです。

 

そこで、どうやったら伝わるか、いろいろと探ります。表現や言葉を変えたり、理解できるような動作やワークを入れたり、どこでピンとくるかは、人それぞれです。

 

これ実は、とってもありがたいのです。

 

一人でお稽古し続けていたら、自分がわかる世界だけいることになります。それって、独りよがりじゃないですか?教えることによってバリエーションが増えて、わたしだけの世界から、もっと広い世界に行くことができる気がします。

 

このプロセスがとっても好きです。「あれ?」とか、「なんだそれは?」とびっくりするのは、赤ちゃんが初めての体験をするときのようなものかもれません。良いとか悪いとか、そういう事ではなく、単純に新しいことに対する驚きです。

 

人それぞれ、しかも昨日と今日では違いますから、新鮮な驚きには事欠きません(笑)。人はそれぞれなのだと、日々満喫して、味わっているような感じです。

 

お稽古を続けてきても、「わかった!」ことなどほんの少し、世の中のほとんどのことは知らないのですから、常に自分は未熟です。その未熟さゆえに、ちょうど合う眼で見て、ちょうど合う手を差し伸べられないことも、あると思います。

 

そして「教えることとは、これなのだ!」と言いたいわけではなく、これがわたしがやりたい教え方、というだけです。

 

この展覧会には、大阪の葛井寺の「千手菩薩観音坐像」も見ることができます。奈良時代の国宝で、千の手、千の眼、十一のお顔を持っています。千手観音といっても、手が40本、つまり1本が25本分としているものも多く、この像のように本当に千(実際には1041本)あるものは、これだけなのだそうです。

 

手が千本あるにも関わらず、見事なバランスです。じっくり見ていくと、かなりユニークです。手にいろいろなお道具を持っているのですが、ふっくら丸いガイコツ君のような顔をした杖は、「あらゆる神々を受信できる」のだとか。

 

精巧さと、ユーモアさがあいまって、なんとも心惹かれます。

 

生きている間、一本ずつ、手を増やしていくのかしらね。しかし千本とは......なんと、まあ。救われないものは、ありませんね。

 

この展示は、上野の東京国立博物館で3月11日までです。お勧めです!

 

(帰りに見た空。自然の景色は、一瞬として同じときがないことを教えてくれます)

 

 

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☀「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、キリリとした印象もあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

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いしい まゆみ(道号:静慧 / みんみん)

太極道家

体と心が目覚める太極拳(http://minminkung-fu.com/)

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