アニマル進化体操:卵からワニ、そしてマサイのジャンプまで
2017.10.02 Monday
(ワークショップ後、田中ちさこ先生と)
先日、”アニマル進化体操”を体験しました。
”進化は背骨に現れる”というもので、1.卵→ 2.さかな→ 3.へび→ 4.ワニ→ 5.チータ→ 6.ゴリラ→ 7.人間(マサイのジャンプ)までを、順を追って体験していきます。
教えてくださるのは、田中ちさこ先生。アレクサンダーテクニークの先生でもあり、視力回復のベイツ・メソッドの先生でもあります。きっかけは、1年くらい前、友人からアレクサンダーテクニークを受講したときです。「背骨の進化を追っていくワークがあって、それをやったら面白いと思うよ!」とお勧めされました。(アレクサンダーテクニーク体験については、こちらからどうぞ:「からだのつながりと、人のつながり」)
タイミング良く、すぐに受講できるチャンスがやってきました。そのときは卵から魚までの体験で、背骨にフォーカスしたワークは、体感としてもとっても新鮮で興味深かったです。魚から先の進化チャンスを狙っていたら......ようやく1年後に実現しました。
「全部やると1〜2日かかるので、どこかを中心にやっていきましょう。どこがいい?ワニの上陸作戦は、難しいけど面白いですよ」というので、すかさず「ワニやりたいです!」
希望がかなって、今回は卵からワニの上陸作戦までと、二足歩行の人間としてマサイのジャンプを体験しました。
まず、手足のない卵のころんとした状態から、魚になります。あおむけに寝た状態から、うつ伏せにひっくり返るワークがあり、これが最初の難関です。卵ですから、まだ腰はありません。でも、いつもの人間としての習慣から、腰を動かしてひっくり返ろうとするのです。「視線を動かして、背骨の上の方からそっていってひっくり返る」という先生のガイドに従って、ころん。それっぽくできると、背骨がグルンとまわって、気持ち良いです。先生はアスリートにも指導されているそうなのですが、「これ、みんななかなかできないのよ」とおっしゃっていました。ということは、誰にでもそれだけ進化の余地がある、ということでもありますね。
できないと焦りがちになりますが、先生は「進化はものすごい年月をかけているのだから、ゆっくりやりますよ。」
魚になると、直線の背骨ができます。この段階では腰や首のカーブは、ありません。うつぶせに寝て、目は頭の両サイドあたりにあります。頭のてっぺんからユラユラと揺れて動くことで、泳ぐ体験をします。ここで「ウェストはないから、腰でふらないように」と先生。魚の動きをするときに、今の人間の機能を使おうとするのです。それでは進化の過程はたどれません。こういう方法で、余分な動きをなくしていくのは、面白いですよね。
続いて魚から蛇に。蛇は、頭の真ん中よりも上のあたり、目のあたりというか、蝶形骨のあたりというのか、そのあたりを左右に移動させてゆらゆらします。左右、どちらかの脇が収縮します。このとき、「収縮する方の脇で支えてみて」という言葉どおりにすると、あら、結構遠くまで安定していけます。「ためしに、伸ばしている方の脇で支えてみて」と言われてやってみたとたん、倒れそうになりました。支える場所を意識するだけで、全然違ってくるのですよ。
(蛇)
そして念願のワニの上陸作戦。「獲物を見るためには視線が上にならないと」ということで、首が上を向き、背骨にカーブができます(首のカーブ)。この時点ではまだ骨盤はなく、お尻の筋肉もありません。腿の部分を内転、外転させることだけで、前に進む力を作ります。「お尻を使わなーい」「腕で前に進もうとしなーい(腕はサポートとして使います)」「膝から下で押さなーい」と、いろんなアドバイスがやってきます。うまく使えば、腿の内転と外転だけでぐっと前に進めるのですよ。
(ワニの上陸。この曲げた脚をぐっと回転させることが、前に進む力になります)
(ワニになっている生徒さんに「獲物(プーさん)はここよ」。首のカーブがないと、見えません。)
この後、四つ足の哺乳類(チーター)に進化するときに、下にくる内臓を背骨で保つために胸が湾曲して腰のカーブができ、ゴリラを経て、人間になっていきます。今回は時間の関係で、残念ながら四つ足体験はできませんでした。
でも、もうひとつの念願の、マサイのジャンプは体験できたのです。体軸をしっかりさせることで、ラクに楽しくジャンプできるようになります。自分が跳ぶのも楽しかったですが、他の方がぴょんぴょん跳ぶ姿や、その変化を見るのも、楽しかったです。ほかの人がやっているときに、ワクワクしながら待っていると、先生が「次、やるからね」と声をかけてくださったりして、ワクワクはさらに膨らみます。先生の笑顔や声掛けで、最初は知らない人同志のグループも、あっという間にニコニコでした。
進化の過程をなぞりながら背骨を使っていくことで、背骨を感じる感覚が、ぐっと上がります。柔かさも増した気がします。魚が動く起点(頭のてっぺん)は、立つときに上に向かう点に応用できます。それを体が理解することで、体軸もしっかりしてきます。
先生は、この進化過程に「ロマンを感じる」とおっしゃっていました。ぴったりな表現ですよね。はるか昔、人間が生まれる前からの進化過程を経た自分が、その恩恵を受けて今ここにいること、そしてその時々の能力を自分が持っていること、そんな風に感じると、一気に可能性が開いていくような気がしませんか?
このワーク、医師で人類学者のレーモンド・ダート博士(1893年〜1988年)の研究成果であるダート・プロシージャーをもとにしています。息子さんが脊椎側弯症で、その治療方法をもとめてアレクサンダーテクニークに出会い、そこからのご縁でこのワークにつながっていったようです。
実はわたしも13歳のときに、脊椎側弯症と診断されています。西洋医学のお医者さん曰く、「曲がっていること自体は問題ではない」レベルですが、「その影響で周りの筋肉が凝り固まることで問題が起きやすいので注意すること」と、言われてきました。
骨が曲がっている方の筋肉が凝りやすく、実際3年くらい前までのわたしのウェストは、左のくびれが少なかったのです。
西洋医学的にも、カイロプラクチックなどでも「治らない」とされた湾曲ですが、その後「あなたの心がまっすぐになれば、背骨はまっすぐになる」とおっしゃるボディ・ワークの先生(注:治療師やセラピストではありません)に出会い、「まっすぐになる」という可能性を自分の中に持って、いろいろやってみたところ、湾曲は改善し、ウェストの左のくびれも存在するようになってきました。
以前は、太極拳をやっていながら、背骨が曲がっていることは、コンプレックスでもありました。その反面、こういう場合の凝りの痛みも知っています(体が硬いのとは違うのです)し、それをあきらめずに少しずつほぐしていった体験、心とのつながりの気づき、コンプレックスとの付き合い方の変化などなど、ある意味ではとても豊かなプロセスをもたらしてくれました。このワークに出会えたことも、そのひとつなのかもしません。
ものすごく長い歴史の中で育まれてきた、背骨の進化の智慧を思い出すことで、わたしも、誰でも、発展していく可能性が開けると思うのです。
次は、まだ未体験のチータ―とゴリラを、ぜひ。チーターの優美な歩き方はとっても憧れているので、とても楽しみです。いつになるのかわかりませんが、のんびり、いこうと思います。
☀「陽だまり」とは
ブログタイトル「みんみんの陽だまり太極道日記」の「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると素晴らしく居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、どことなくキリリとした印象もあります。太極拳を通して、こんな時間と空間を創っていきたい、陽だまりにつつまれて暮らす人、心身ともにゆとりある人を増やしたい、と思っています。
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いしい まゆみ(道号:静慧 / みんみん)
太極道家
体と心が目覚める太極拳(http://minminkung-fu.com/)
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- by 静慧(Jing Hui)/ いしい まゆみ