自然の中でお稽古するのは、なぜ?

2017.07.12 Wednesday

(中国、武当山、夕暮れ時)

 

太極拳というと、外の公園でやっているイメージを持つ方が多いようです(これまでに接した方から受けた、個人的な感触です)。

 

「なぜ外なのでしょう」というご質問も、ときどき受けます。

 

今のわたしなりの考えを、いくつかご紹介してみようと思います。

 

 

☀自然に習う

 

自然と大宇宙、人を小宇宙とみる見方があります。自然の中に身を置くのは、大宇宙の在り方を体感し、小宇宙である自分の在り方に気づく機会とすることもあります。

 

たとえば自然界では、水は上から下に流れます。逆は、モーターやポンプが必要です。より自然で楽に力が出るのは、上から下です。人は、いろいろ複雑な動きも出来ますが、反面、やりすぎてしまうこと、力みすぎてしまうこともあります。無駄な力を使わない自然の中に身を置くことで、そのあり方を自分に取り入れようとしています。

(参考:自然と人、大宇宙と小宇宙

 

 

☀丹田

 

太極拳や気功では、丹田を育てるとか、丹田に気を集める、というような表現をします。西洋でも、お腹はストレスが出るところです。ストレスのある人のお腹は硬く、マッサージするとストレスが和らぐという話もあります。西洋、東洋に関わらず、このあたりは大切なようですね。

 

ではなぜ、自然の中、特に山の上でやるのでしょうか?それは山が、地球のおへそ、つまり丹田だとされたからです。大地と天が接する一番高いところだから、地球のおへそです。丹田を育てるのであれば、大宇宙である自然の丹田にあたる場所で鍛錬するのが良い、と考えたようです。

 

伝わっている話によると、老子の弟子だった尹喜さんは、老子が亡くなった後に武当山の中腹、南岩にたどり着いて修行します。南岩からは山の頂、今では金頂と呼ばれているところが見え、尹喜さんは、憧れをもって、そこを眺めていたとか。当時は、今のように山道が整備されていなかったため、山頂に行くことは大変な困難でした。でもついに伊喜さんは、困難を乗り越えて山頂に到達した、と言われています。(参考:老子と道教と武当山

 

地面に足は触れているため、つながりを感じやすいですが、天とのつながる感覚は、だいぶ違います。できるだけ天に近いところ、と考えたのかもしれないな、と思います。

(南岩にある、南岩宮)

 

☀環境に適応する

 

もっと環境的な要因もあります。クーラーの効いた部屋の中は、人工的に作られた環境です。それは快適や便利さをもたらしますが、反面、忘れてしまうこともあります。たとえば、お天気です。雨が降っても雪が降っても、お部屋の中ではお稽古できます。効率的ですが、お天気なら外に出る、雨が降ったら休む、という、当たり前のリズムを思い出すことも、ときには必要ではないでしょうか。効率は良い面もありますが、人のリズムがそれに追いつかないこともあるような気がします。

 

さらに、地球は本当は平らではありません。丸いというのは、技術の進歩のおかげで誰でも知っています。地面は、平らに見えますが、それは幻想とも言えます(ちょっと大げさですが)。でも床は、平らに作られています。そして小石や枝のような、障害物もありません。

 

外でのお稽古で太極歩の練習をしていたとき、生徒さんが、そこそこの大きさの石があるのに、その上に足を置いて、重心をかけようとしていたことがあります。当然、よろけます。「なぜ、そんな難しいところに足を置くの?」と聞いてみました。生徒さんは「えっ......?」。「ほんのちょっと足を動かせば、もっと安定したところに足が置けるでしょう」生徒さん、「はあーっ。そうですね.......」。

 

地面は安全である、と思い込んでいるのか、足を出したそのまま重心をのせるのだ、と思いこんでいるのか、両方か、それに無意識になってしまっているのか、理由はどれかわかりませんし、そこはどうでも良いような気がします。ポイントは、もっと安定して歩ける方法があるのに、なぜそれを選ばないのか、です。足裏というのは、危険を察知して避けることにも使えるのですよ。

 

 

☀この瞬間は、今しかない

 

站椿功(立禅)などをしているとき、目をつぶっていることも多いのですが、終わって目を明けると、目の前に広がる光景に、驚くことがあります。さっきも見ていた場所なのに、初めて見るように、びっくりするのです。赤ちゃんの”はじめて”は、こんな感じなのかな、と感じます。きれい、とか、そんな言葉を覚えるまえに、「うわーっ」と驚く感じ、それを感じるとき、「同じ時は二度と訪れない」と思うのです。

 

行動として同じことを繰り返しているようでも、実は同じことは二度とないのだ、と思うと、毎日は、新鮮で驚きの連続であることが、わかってきます。日常の見方、感じ方、過ごし方が、大きく変わるきっかけになると、思っています。

 

 

いろいろ書きましたが、とにかく外でのお稽古は、気持ち良いのですよ。今は暑いので時間は選びますが、クーラーの効いたお部屋よりも、やっぱりわたしは外が好きです。

 

(武当山の朝)

 

☀「陽だまり」とは

ブログタイトル「みんみんの陽だまり太極道日記」の「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると素晴らしく居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、どことなくキリリとした印象もあります。太極拳を通して、こんな時間と空間を創っていきたい、陽だまりにつつまれて暮らす人、心身ともにゆとりある人を増やしたい、と思っています。

 

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いしい まゆみ(道号:静慧 / みんみん)

太極道家

体と心が目覚める太極拳(http://minminkung-fu.com/)

講座のご案内は、こちらからどうぞ

 


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