痛みが伝えてくれること

2018.06.11 Monday

(あじさいの季節にぴったりの、しなやかな麻のショールと、やわらかいウサギ)

 

昨年から、MSIというボディワークを受けています。

 

MSIとは、筋膜を緩めて、しなやかな体を取り戻していくものです。目安は1か月に1回、パーツごとにケアする10回+2回で、12回完結です。

 

わたしはのんびりペースで、「そろそろ行こうかな」で、続けています。1年たっても、7番目の口・鼻が終わったところです。

 

口、鼻の回は、なんと!両方とも、口の中、鼻の中に指を入れるのですよ(施術者さんは、ゴム手袋をしています)。あちこちから「痛くて泣いた」という声も聞こえてくる、ある意味クライマックス(というものは、ないのですが)です。痛さの盛り上がりの頂点、という意味のクライマックスですね(しつこいですが、ただの勝手な妄想です)。

 

そして実際、受けてみたところ、口の右下あたりは、かなりの痛さでした。あとで聞いたら、とても硬かったそうです。でも、涙が出るようなものではありませんでした。

 

痛みに強いのでしょうか?

 

そうではなく、「この痛みは、キケンではない」と、わかったからだ、という気がするのです。

 

痛みを感じつつ、冷静に「あらー、ここがこんなに硬いのね」と観察している感じです。キケンではないから、抵抗することなく、じーっと一緒にいることができます。すると、だんだん緩んできて、痛みは消えていきます。

 

口は、右下でほぐれたおかげか、左下、右上、左上は、楽勝でした(笑)。

 

この場合の痛みは、普段の生活で、その部分を不必要に緊張させているからです。痛みにより「”いらない緊張”に気づき、自分で緩めていくものだ」、と説明されました。

 

そして「みんみん(わたしのこと)は、緩めるのが上手だよね。」と。

 

自分のことは、自分で面倒をみるものだと思っています。自分で責任をもつとも言えますが、それはスーツを着てビシッと「責任を!」というものではなく、優しく愛でるような感じです。

 

自分で面倒をみるためには、他人の助けを借りることも、必要です。なぜなら、自分の体というのは、どんな状態であっても、「これなのだ!」というベストを尽くしている、と思っているからです。いらないコリも、「これがないとダメなのだ!」と頑張って緊張させているため、他人から「あのー、ここ、こんなに緊張していますけど、緩めていいんですよ」と言ってもらわないと、気づかないのです。

 

太極拳のクラスでも、「体が硬くて」と悲しそうに、恥ずかしそうに、話す方も多いのですが、その硬さは、自分を守るための結果であることが多いと思っています。どこかをかばって、バランスを取るために、自分を守るために、硬くしているのです。

 

ですから、そういうときは、「コリや硬さは、自分を守ってくれた結果だから、まずは”ありがとう”ですよ」とお話します。

 

体のコリは、心の硬さともリンクしています。

 

痛みに涙が出る人がいるのは、「こんなにがんばってきたんだ」と気づいたり、「もう、こんなにがんばらなくてもいいんだ」と気づくからなのかもしれない、とも思います。

 

人の体は7割が水です。地球の海の割合と同じです。人の体は、水の質をすごく持っているのだと思います。

 

水の質とは、環境に応じて変化できる”やわらかさ”です。川を流れる水は、停滞することなく、流れ続けます。岩という障害があっても、スムーズに避けて進んでいきます。硬いところは、ありません。(寒いと雪や氷に変化しますけどね。氷は砕けても、また溶ければ元の水になるだけで、失われてはいません。)

 

そう思うと、人も、本質は、しなやかで、やわらかいのだ、と思うのです。そして、変化にも柔軟なのだ、と。

 

わたしは、なにかあったとき、「なんですって!?」となるときに、体が硬くなることで、心が硬くなっていることに気づきます。気づいて緩める、を繰り返しています。しなやかで、やわらかく、水のように生きるほうが、わたしにとっては、ここちよいからです。

 

この「なんですって?」も、何かが侵害されると思って、自分を守ろうとして硬くなっているのかもしれませんよね。守らないといけない場合もあるかもしれませんが、そんなもの、ない場合もあります。自分の思い込みかもしれないのですよ。

 

水のように、環境に応じて変化することは、進化の過程にも見られます。進化は、強いものが生き残ってきたのではなく、変化に対応できたものが生き残ってきたのだ、と言いますものね。恐竜は、絶滅しちゃったものね。

 

痛みが伝えてくれること。がんばってきた自分、でも、もうそんなに頑張らなくてもいいのだ、ということ。感謝と希望をもちながら、しなやかさと、やわらかさと取り戻すとき、ということかしらね。

 

 

※MSIの施術をしてくれているNoriko Gendaさんのインタビュー記事は、こちらから。

 

 

【特別クラスのお知らせ】

6月20日(水)19:00-20:30は「タオを生きることば」です。詳しくはこちらの講座案内からご覧ください。

6月17日(日)14:30-16:30は「太極扇を体験しよう(第8回)」です。詳細とご応募方法はこちらから。

7月15日(日)14:00-16:30は「みんなが知らない太極拳のひみつ」(4)です。詳細とご応募方法は、こちらから。

 

 

☀「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、りん、とした印象もあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

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いしい まゆみ(道号:静慧 / みんみん)

太極道家

体と心が目覚める太極拳(http://minminkung-fu.com/)

講座のご案内は、こちらからどうぞ

 


進化とは、困難を克服していくこと

2018.04.23 Monday

(「アニマル進化体操」のワニの上陸作戦。「獲物はここ、これを見て」と先生。前回、2017年10月に受講した時の写真です)

 

2年越しに受けている「アニマル進化体操」。

 

正式にはEWS、エボリューショナリーソマティックワーク、進化論的ボディワーク、というようです。

 

卵→さかな→ヘビ→ワニ→チーター→ゴリラ→マサイのジャンプ(人間)という進化をたどることで、本来の身体感覚をとりもどしていきます。

 

教えてくださるのは、アレクサンダー・テクニークの講師でもある田中ちさこ先生。一昨年は卵とさかな、去年はヘビ、ワニ、マサイのジャンプを体験しました。「今年は、チーターとゴリラを体験するのだ!」と思っていたら、チャンスがめぐってきました。

 

この進化は、背骨の進化でもあります。

 

ワニが上陸するとき、顔が地面にこすれないように、前方の獲物が見えるように、首のカーブができました。

 

チーターになるとき、内臓が下に落ちるのを支えるために、背骨の上の方が盛り上がり、背骨のカーブ(Cカーブ)ができました。人間になるときに、S字カーブになります。

 

今回はワニの復習からでした。ワニは、うしろ足を発達させて、陸にはいあがります。使うのは内転筋、ももの内側にある筋肉です。これを外旋(外に回す)、内旋(うちがわに回す)していきます。

 

内転筋を動かすことで、背骨、肩甲骨が連動して動き、頭が前に進むパワーがでます。骨盤を積極的に動かすわけではないのですが、結果としては動きます。

 

わたしは人間なので、つい、ワニの頃には使えなかった部分を使って動こうとします。ももの外側の筋肉を使ったり、膝を床に押し付けて前に押し出そうとしたり、膝から下の足を使おうとしたり。すると、腰、背骨、肩甲骨、頭にパワーが伝わっていきません。

 

このワークのポイントは、わざと”使えない”制約をつけることです。すると、残りの部分が協同して動き始めます。全身がつながってパワーを出すことをちょっと体感できると、「おおおっっっ!」ですよ。感動します。

 

進化の過程は、”不自由”を克服しようとした結果でもあります。

 

たとえば小さな魚が生き抜くためには、大きな魚に食べられないように注意しなければなりません。逃げる先は、海底の砂の中だったりしますが、さらに安全な場所を求めて陸に上がった、とも言えるかもしれません。それがワニへの進化です。

 

そう考えると、問題があることは、化のチャンスです。ピンチはチャンス、です。

 

そもそも、このアニマル進化体操ができたのも、ピンチからです。

 

これは医師で人類学者のレーモンド・ダート博士(1893年〜1988年)の研究成果であるダート・プロシージャーをもとにしています。ダート博士の息子さんは脊椎側弯症で、その治療方法をもとめてアレクサンダーテクニークに出会い、そこからのご縁でこのワークにつながっていったそうなのです。

 

「困った」→「どうにかしよう」が、進化につながるという話は、考えてみれば当然なのですが、困難の渦中にいるときは気づかないこともありますよね。

 

今回、印象的だった出来事があります。

 

ワニからチーターになる過程を試していたとき、「この動きでよいのか?」と確認したくなって、途中で止めてしまったときがありました。すると見ていた方から、「すごく良い感じで動いていたのに、途中で諦めちゃって、もったいない」と言われたのです

 

わたしが「頭の動く方向を確認したくなったから、それを聞きたくて」と答えたら、「それは自分の感覚だから、返事できることじゃない。」と。

 

「聞きたくて」と言いましたが、現実としては、わたしは諦めてしまったのですよ。最後までやらずに、途中で。

 

普段も、そういうときがある気がします。

 

人間になるまでには、気が遠くなるような長い年月がかかっているように、進化には時間がかかります。あせらず、ゆっくり、試行錯誤で。正解があるわけではなく、自分の感覚でいろいろ試してみることが大切です。

 

人の助けを借りることも大切ですが、その前に、「諦めない心」も大切ですよね。進化の種類にもよるかもしれませんが、自分の困難を克服する方法は、自分の中からしか生まれないのかもしれません。

 

※前回受けたときの感想は、こちらから「アニマル進化体操:卵からワニ、そしてマサイのジャンプまで」

 

 

【特別クラスのお知らせ】

5月5日(土)14:00-16:30は「太極扇を体験しよう(第6回)」です。詳細とご応募方法はこちらから。

5月13日(日)14:00-16:30は、「みんなが知らない太極拳のひみつ(2)太極と陰陽」です。詳細とご応募方法はこちらから。

 

 

(ワニの上陸作戦。内転筋を外旋させて、ここから内旋させて進もうとしているところ)

 

☀「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、キリリとした印象もあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

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モノとケンカしない

2018.02.14 Wednesday

 

(あずき袋を投げたところ。これは、昨年5月にやったときです)

 

先日の青空太極拳教室で、あずきの入った袋を投げてキャッチする遊びを、やってみました。

 

中国にお稽古に行くと、ときどき、こんな遊びをします。遊びながら、自分の体の状態を知ることができるのです。

 

力んでいたり、体の緊張が強いと、袋をキャッチするときに「バサッ」と大きな音が出ます。力まず緩んだ状態で、袋を迎え入れるようにキャッチすると、ほとんど音が出ません。

 

投げるときも、腕をくるくる回して、その勢いにのせて投げます。袋が渦のような流れにのって、手から自然に放たれていくような感じです。

 

気楽に、大らかに、落としても構わないのだと、ゆるーく構えることもコツです。

 

遊びですから、笑顔も自然と増えます。笑うと、力が抜けますよね。

 

自分が緊張して、袋をキャッチするときに大きな音が出たら、それはまるでモノと自分がケンカしているみたいではありませんか?自分も、痛いでしょう。これが袋ではなく人だったら、きっとお互いに痛いですよね。

 

モノの重さは、その存在の主張でもあります。それを尊重することを思い出すだけで、上手くいくことも多くあります。

 

例えば、扇。左右均等ですので、真ん中を持てば、扇の位置は地面に対して水平になります。でも、指や手、腕、そして体のどこかに力が入っている場合、きれいに水平になりません。

 

(水平の位置におさまった扇。人差し指と中指はゆるゆる、薬指は添える程度、小指で端の骨を支えて開いた形を保ちます。)

 

目で見て水平に調整する方法もありますが、瞬時に調整するのは大変です。しかも背中に扇を持つ場合は、見えません。初めて習ったときは、手や腕の角度で一を覚えこもうとしたのですが、そんなことをしなくても、扇の存在を尊重して、力まなければ、すべてうまくいくのです。

 

モノの存在を尊重することは、モノの命を感じることでもあります。それによって、お互いがありのままで、上手く調和するような気がします。

 

自分中心の世界から、お互いを尊重する世界へ。そうすることで、自分の体がもっと楽になるのは、面白いですよね。

 

普段の生活でも、洗い物をするとき、モノを机に置くとき、歩くとき、ガチャン、ゴンッ、バタバタという音がでていたら、モノを自分中心にコントロールしたり、ケンカしているのかもしれません。

 

”自分を観察する、自分の状態に気づく”とよく言いますが、やり方として、自分の延長線にあるモノの様子を見ることで、自分に気づくきっかけにもなることもあります。人は、ひとりでは存在していないですからね。ありがたいことです。

 

 

【特別クラスのお知らせ】

3月11日(日)14:00-16:30は「太極扇を体験しよう(第3回)」です。詳細とご応募方法はこちらから。

 

 

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意識しすぎない方が、うまくいく

2017.11.02 Thursday

(武当山で、形意拳の基本の立ち方を練習しているところ)

 

先日のクラスでやってみたことです。

 

生徒さんに「肘をラクにして」と声をかけて、わたしが肘を持って動かそうとすると、ぎくしゃくします。「肘から意識を外して」と声をかけて肘を動かすと、ゆるゆる、スルスル動きます。

 

「意識しすぎると、逆に力が入って硬くなることもあるの。」

 

百聞は一見にしかず、自分の体で体験すると、なおさら違いが良くわかります。意識しないほうがうまくいくことも、あるのです。

 

これは、腰の使い方にも言えます。太極拳でも、「腰は要」とか、「力は腰から出る」と言うこともあります。でもこれも、腰を意識しすぎると、上手くいかない場合もあります。

 

ちなみに中国語で”腰”というと、背中側のウェストラインあたりを指します。骨盤ではありません。腰は、下半身と上半身を結んでいます。いわゆる”そり腰”の場合、自覚している人は少ないかもしれませんが、腰が緊張状態にあります。ここが緊張していると、自分の中心軸が立ちません。

 

では、力はどこから生まれるかというと、大地からだと思っています。足裏で大地を少しずつ踏む(押す)ことで、下に向かう力が、体重より多くなります。”立つ”ことができるのは、下に向かう力に対して、上に向かう力があるからです。足裏で大地を押し続けると、上に向かう力も大きくなり、これで背骨の間を伸ばす(あける)ことができます。”縦に伸びる力”です。

 

腰の役割は、緊張させず、この縦の力が伸びることを妨げないことです。何もしないことが、役割を上手く果たすコツになります。(注:緊張している状態は、”余計なことをしている”ことになります。)その意味では、「腰は要」ですし、「腰から力が生まれる(腰の状態によって、力が四方八方に広がるかどうかが決まる)」とも言えますね。

 

年をとると、身長が縮んで体も硬くなりがちですよね。”縮む””硬くなる”ことが老化の現象だとすると、縦に伸びる力があることで、老化を進行させないことができます。さらにこの縦に伸びる力が、横、前後という四方八方に向かって膨らんでいく力のもとにもなります。これが「太極拳は健康によい」と言われる、ひとつの大きな要因でもあります。

 

普段の生活の中でも、意識しすぎることで硬くなって失敗すること、ありませんか?わたしは「これ、できる!」と思うと、ほぼ間違いなく失敗します。やることだけやったら、あとは何もしないのが一番。ついついやりすぎてしまう、頑張りすぎてしまう人間だからこそ、「やらないこと」を学ぶところが、面白いですね。

 

(武当山)

 

☀「陽だまり」とは

ブログタイトル「みんみんの陽だまり太極道日記」の「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると素晴らしく居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、どことなくキリリとした印象もあります。太極拳を通して、こんな時間と空間を創っていきたい、陽だまりにつつまれて暮らす人、心身ともにゆとりある人を増やしたい、と思っています。

 

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アニマル進化体操:卵からワニ、そしてマサイのジャンプまで

2017.10.02 Monday

(ワークショップ後、田中ちさこ先生と)

 

先日、”アニマル進化体操”を体験しました。

 

”進化は背骨に現れる”というもので、1.卵→ 2.さかな→ 3.へび→ 4.ワニ→ 5.チータ→ 6.ゴリラ→ 7.人間(マサイのジャンプ)までを、順を追って体験していきます。

 

教えてくださるのは、田中ちさこ先生。アレクサンダーテクニークの先生でもあり、視力回復のベイツ・メソッドの先生でもあります。きっかけは、1年くらい前、友人からアレクサンダーテクニークを受講したときです。「背骨の進化を追っていくワークがあって、それをやったら面白いと思うよ!」とお勧めされました。(アレクサンダーテクニーク体験については、こちらからどうぞ:「からだのつながりと、人のつながり」)

 

タイミング良く、すぐに受講できるチャンスがやってきました。そのときは卵から魚までの体験で、背骨にフォーカスしたワークは、体感としてもとっても新鮮で興味深かったです。魚から先の進化チャンスを狙っていたら......ようやく1年後に実現しました。

 

「全部やると1〜2日かかるので、どこかを中心にやっていきましょう。どこがいい?ワニの上陸作戦は、難しいけど面白いですよ」というので、すかさず「ワニやりたいです!」

 

希望がかなって、今回は卵からワニの上陸作戦までと、二足歩行の人間としてマサイのジャンプを体験しました。

 

まず、手足のない卵のころんとした状態から、魚になります。あおむけに寝た状態から、うつ伏せにひっくり返るワークがあり、これが最初の難関です。卵ですから、まだ腰はありません。でも、いつもの人間としての習慣から、腰を動かしてひっくり返ろうとするのです。「視線を動かして、背骨の上の方からそっていってひっくり返る」という先生のガイドに従って、ころん。それっぽくできると、背骨がグルンとまわって、気持ち良いです。先生はアスリートにも指導されているそうなのですが、「これ、みんななかなかできないのよ」とおっしゃっていました。ということは、誰にでもそれだけ進化の余地がある、ということでもありますね。

 

できないと焦りがちになりますが、先生は「進化はものすごい年月をかけているのだから、ゆっくりやりますよ。」

 

魚になると、直線の背骨ができます。この段階では腰や首のカーブは、ありません。うつぶせに寝て、目は頭の両サイドあたりにあります。頭のてっぺんからユラユラと揺れて動くことで、泳ぐ体験をします。ここで「ウェストはないから、腰でふらないように」と先生。魚の動きをするときに、今の人間の機能を使おうとするのです。それでは進化の過程はたどれません。こういう方法で、余分な動きをなくしていくのは、面白いですよね。

 

続いて魚から蛇に。蛇は、頭の真ん中よりも上のあたり、目のあたりというか、蝶形骨のあたりというのか、そのあたりを左右に移動させてゆらゆらします。左右、どちらかの脇が収縮します。このとき、「収縮する方の脇で支えてみて」という言葉どおりにすると、あら、結構遠くまで安定していけます。「ためしに、伸ばしている方の脇で支えてみて」と言われてやってみたとたん、倒れそうになりました。支える場所を意識するだけで、全然違ってくるのですよ。

 

(蛇)

 

そして念願のワニの上陸作戦。「獲物を見るためには視線が上にならないと」ということで、首が上を向き、背骨にカーブができます(首のカーブ)。この時点ではまだ骨盤はなく、お尻の筋肉もありません。腿の部分を内転、外転させることだけで、前に進む力を作ります。「お尻を使わなーい」「腕で前に進もうとしなーい(腕はサポートとして使います)」「膝から下で押さなーい」と、いろんなアドバイスがやってきます。うまく使えば、腿の内転と外転だけでぐっと前に進めるのですよ。

 

(ワニの上陸。この曲げた脚をぐっと回転させることが、前に進む力になります)

 

(ワニになっている生徒さんに「獲物(プーさん)はここよ」。首のカーブがないと、見えません。)

 

この後、四つ足の哺乳類(チーター)に進化するときに、下にくる内臓を背骨で保つために胸が湾曲して腰のカーブができ、ゴリラを経て、人間になっていきます。今回は時間の関係で、残念ながら四つ足体験はできませんでした。

 

でも、もうひとつの念願の、マサイのジャンプは体験できたのです。体軸をしっかりさせることで、ラクに楽しくジャンプできるようになります。自分が跳ぶのも楽しかったですが、他の方がぴょんぴょん跳ぶ姿や、その変化を見るのも、楽しかったです。ほかの人がやっているときに、ワクワクしながら待っていると、先生が「次、やるからね」と声をかけてくださったりして、ワクワクはさらに膨らみます。先生の笑顔や声掛けで、最初は知らない人同志のグループも、あっという間にニコニコでした。

 

進化の過程をなぞりながら背骨を使っていくことで、背骨を感じる感覚が、ぐっと上がります。柔かさも増した気がします。魚が動く起点(頭のてっぺん)は、立つときに上に向かう点に応用できます。それを体が理解することで、体軸もしっかりしてきます。

 

先生は、この進化過程に「ロマンを感じる」とおっしゃっていました。ぴったりな表現ですよね。はるか昔、人間が生まれる前からの進化過程を経た自分が、その恩恵を受けて今ここにいること、そしてその時々の能力を自分が持っていること、そんな風に感じると、一気に可能性が開いていくような気がしませんか?

 

このワーク、医師で人類学者のレーモンド・ダート博士(1893年〜1988年)の研究成果であるダート・プロシージャーをもとにしています。息子さんが脊椎側弯症で、その治療方法をもとめてアレクサンダーテクニークに出会い、そこからのご縁でこのワークにつながっていったようです。

 

実はわたしも13歳のときに、脊椎側弯症と診断されています。西洋医学のお医者さん曰く、「曲がっていること自体は問題ではない」レベルですが、「その影響で周りの筋肉が凝り固まることで問題が起きやすいので注意すること」と、言われてきました。

 

骨が曲がっている方の筋肉が凝りやすく、実際3年くらい前までのわたしのウェストは、左のくびれが少なかったのです。

 

西洋医学的にも、カイロプラクチックなどでも「治らない」とされた湾曲ですが、その後「あなたの心がまっすぐになれば、背骨はまっすぐになる」とおっしゃるボディ・ワークの先生(注:治療師やセラピストではありません)に出会い、「まっすぐになる」という可能性を自分の中に持って、いろいろやってみたところ、湾曲は改善し、ウェストの左のくびれも存在するようになってきました。

 

以前は、太極拳をやっていながら、背骨が曲がっていることは、コンプレックスでもありました。その反面、こういう場合の凝りの痛みも知っています(体が硬いのとは違うのです)し、それをあきらめずに少しずつほぐしていった体験、心とのつながりの気づき、コンプレックスとの付き合い方の変化などなど、ある意味ではとても豊かなプロセスをもたらしてくれました。このワークに出会えたことも、そのひとつなのかもしません。

 

ものすごく長い歴史の中で育まれてきた、背骨の進化の智慧を思い出すことで、わたしも、誰でも、発展していく可能性が開けると思うのです。

 

次は、まだ未体験のチータ―とゴリラを、ぜひ。チーターの優美な歩き方はとっても憧れているので、とても楽しみです。いつになるのかわかりませんが、のんびり、いこうと思います。 

 

 

☀「陽だまり」とは

ブログタイトル「みんみんの陽だまり太極道日記」の「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると素晴らしく居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、どことなくキリリとした印象もあります。太極拳を通して、こんな時間と空間を創っていきたい、陽だまりにつつまれて暮らす人、心身ともにゆとりある人を増やしたい、と思っています。

 

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