モノとケンカしない

2018.02.14 Wednesday

 

(あずき袋を投げたところ。これは、昨年5月にやったときです)

 

先日の青空太極拳教室で、あずきの入った袋を投げてキャッチする遊びを、やってみました。

 

中国にお稽古に行くと、ときどき、こんな遊びをします。遊びながら、自分の体の状態を知ることができるのです。

 

力んでいたり、体の緊張が強いと、袋をキャッチするときに「バサッ」と大きな音が出ます。力まず緩んだ状態で、袋を迎え入れるようにキャッチすると、ほとんど音が出ません。

 

投げるときも、腕をくるくる回して、その勢いにのせて投げます。袋が渦のような流れにのって、手から自然に放たれていくような感じです。

 

気楽に、大らかに、落としても構わないのだと、ゆるーく構えることもコツです。

 

遊びですから、笑顔も自然と増えます。笑うと、力が抜けますよね。

 

自分が緊張して、袋をキャッチするときに大きな音が出たら、それはまるでモノと自分がケンカしているみたいではありませんか?自分も、痛いでしょう。これが袋ではなく人だったら、きっとお互いに痛いですよね。

 

モノの重さは、その存在の主張でもあります。それを尊重することを思い出すだけで、上手くいくことも多くあります。

 

例えば、扇。左右均等ですので、真ん中を持てば、扇の位置は地面に対して水平になります。でも、指や手、腕、そして体のどこかに力が入っている場合、きれいに水平になりません。

 

(水平の位置におさまった扇。人差し指と中指はゆるゆる、薬指は添える程度、小指で端の骨を支えて開いた形を保ちます。)

 

目で見て水平に調整する方法もありますが、瞬時に調整するのは大変です。しかも背中に扇を持つ場合は、見えません。初めて習ったときは、手や腕の角度で一を覚えこもうとしたのですが、そんなことをしなくても、扇の存在を尊重して、力まなければ、すべてうまくいくのです。

 

モノの存在を尊重することは、モノの命を感じることでもあります。それによって、お互いがありのままで、上手く調和するような気がします。

 

自分中心の世界から、お互いを尊重する世界へ。そうすることで、自分の体がもっと楽になるのは、面白いですよね。

 

普段の生活でも、洗い物をするとき、モノを机に置くとき、歩くとき、ガチャン、ゴンッ、バタバタという音がでていたら、モノを自分中心にコントロールしたり、ケンカしているのかもしれません。

 

”自分を観察する、自分の状態に気づく”とよく言いますが、やり方として、自分の延長線にあるモノの様子を見ることで、自分に気づくきっかけにもなることもあります。人は、ひとりでは存在していないですからね。ありがたいことです。

 

 

【特別クラスのお知らせ】

3月11日(日)14:00-16:30は「太極扇を体験しよう(第3回)」です。詳細とご応募方法はこちらから。

 

 

☀「陽だまり」とは

「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、キリリとした印象もあります。太極拳を通して、陽だまりのような場を創っていきたいと思っています。

 

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いしい まゆみ(道号:静慧 / みんみん)

太極道家

体と心が目覚める太極拳(http://minminkung-fu.com/)

講座のご案内は、こちらからどうぞ

 


意識しすぎない方が、うまくいく

2017.11.02 Thursday

(武当山で、形意拳の基本の立ち方を練習しているところ)

 

先日のクラスでやってみたことです。

 

生徒さんに「肘をラクにして」と声をかけて、わたしが肘を持って動かそうとすると、ぎくしゃくします。「肘から意識を外して」と声をかけて肘を動かすと、ゆるゆる、スルスル動きます。

 

「意識しすぎると、逆に力が入って硬くなることもあるの。」

 

百聞は一見にしかず、自分の体で体験すると、なおさら違いが良くわかります。意識しないほうがうまくいくことも、あるのです。

 

これは、腰の使い方にも言えます。太極拳でも、「腰は要」とか、「力は腰から出る」と言うこともあります。でもこれも、腰を意識しすぎると、上手くいかない場合もあります。

 

ちなみに中国語で”腰”というと、背中側のウェストラインあたりを指します。骨盤ではありません。腰は、下半身と上半身を結んでいます。いわゆる”そり腰”の場合、自覚している人は少ないかもしれませんが、腰が緊張状態にあります。ここが緊張していると、自分の中心軸が立ちません。

 

では、力はどこから生まれるかというと、大地からだと思っています。足裏で大地を少しずつ踏む(押す)ことで、下に向かう力が、体重より多くなります。”立つ”ことができるのは、下に向かう力に対して、上に向かう力があるからです。足裏で大地を押し続けると、上に向かう力も大きくなり、これで背骨の間を伸ばす(あける)ことができます。”縦に伸びる力”です。

 

腰の役割は、緊張させず、この縦の力が伸びることを妨げないことです。何もしないことが、役割を上手く果たすコツになります。(注:緊張している状態は、”余計なことをしている”ことになります。)その意味では、「腰は要」ですし、「腰から力が生まれる(腰の状態によって、力が四方八方に広がるかどうかが決まる)」とも言えますね。

 

年をとると、身長が縮んで体も硬くなりがちですよね。”縮む””硬くなる”ことが老化の現象だとすると、縦に伸びる力があることで、老化を進行させないことができます。さらにこの縦に伸びる力が、横、前後という四方八方に向かって膨らんでいく力のもとにもなります。これが「太極拳は健康によい」と言われる、ひとつの大きな要因でもあります。

 

普段の生活の中でも、意識しすぎることで硬くなって失敗すること、ありませんか?わたしは「これ、できる!」と思うと、ほぼ間違いなく失敗します。やることだけやったら、あとは何もしないのが一番。ついついやりすぎてしまう、頑張りすぎてしまう人間だからこそ、「やらないこと」を学ぶところが、面白いですね。

 

(武当山)

 

☀「陽だまり」とは

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アニマル進化体操:卵からワニ、そしてマサイのジャンプまで

2017.10.02 Monday

(ワークショップ後、田中ちさこ先生と)

 

先日、”アニマル進化体操”を体験しました。

 

”進化は背骨に現れる”というもので、1.卵→ 2.さかな→ 3.へび→ 4.ワニ→ 5.チータ→ 6.ゴリラ→ 7.人間(マサイのジャンプ)までを、順を追って体験していきます。

 

教えてくださるのは、田中ちさこ先生。アレクサンダーテクニークの先生でもあり、視力回復のベイツ・メソッドの先生でもあります。きっかけは、1年くらい前、友人からアレクサンダーテクニークを受講したときです。「背骨の進化を追っていくワークがあって、それをやったら面白いと思うよ!」とお勧めされました。(アレクサンダーテクニーク体験については、こちらからどうぞ:「からだのつながりと、人のつながり」)

 

タイミング良く、すぐに受講できるチャンスがやってきました。そのときは卵から魚までの体験で、背骨にフォーカスしたワークは、体感としてもとっても新鮮で興味深かったです。魚から先の進化チャンスを狙っていたら......ようやく1年後に実現しました。

 

「全部やると1〜2日かかるので、どこかを中心にやっていきましょう。どこがいい?ワニの上陸作戦は、難しいけど面白いですよ」というので、すかさず「ワニやりたいです!」

 

希望がかなって、今回は卵からワニの上陸作戦までと、二足歩行の人間としてマサイのジャンプを体験しました。

 

まず、手足のない卵のころんとした状態から、魚になります。あおむけに寝た状態から、うつ伏せにひっくり返るワークがあり、これが最初の難関です。卵ですから、まだ腰はありません。でも、いつもの人間としての習慣から、腰を動かしてひっくり返ろうとするのです。「視線を動かして、背骨の上の方からそっていってひっくり返る」という先生のガイドに従って、ころん。それっぽくできると、背骨がグルンとまわって、気持ち良いです。先生はアスリートにも指導されているそうなのですが、「これ、みんななかなかできないのよ」とおっしゃっていました。ということは、誰にでもそれだけ進化の余地がある、ということでもありますね。

 

できないと焦りがちになりますが、先生は「進化はものすごい年月をかけているのだから、ゆっくりやりますよ。」

 

魚になると、直線の背骨ができます。この段階では腰や首のカーブは、ありません。うつぶせに寝て、目は頭の両サイドあたりにあります。頭のてっぺんからユラユラと揺れて動くことで、泳ぐ体験をします。ここで「ウェストはないから、腰でふらないように」と先生。魚の動きをするときに、今の人間の機能を使おうとするのです。それでは進化の過程はたどれません。こういう方法で、余分な動きをなくしていくのは、面白いですよね。

 

続いて魚から蛇に。蛇は、頭の真ん中よりも上のあたり、目のあたりというか、蝶形骨のあたりというのか、そのあたりを左右に移動させてゆらゆらします。左右、どちらかの脇が収縮します。このとき、「収縮する方の脇で支えてみて」という言葉どおりにすると、あら、結構遠くまで安定していけます。「ためしに、伸ばしている方の脇で支えてみて」と言われてやってみたとたん、倒れそうになりました。支える場所を意識するだけで、全然違ってくるのですよ。

 

(蛇)

 

そして念願のワニの上陸作戦。「獲物を見るためには視線が上にならないと」ということで、首が上を向き、背骨にカーブができます(首のカーブ)。この時点ではまだ骨盤はなく、お尻の筋肉もありません。腿の部分を内転、外転させることだけで、前に進む力を作ります。「お尻を使わなーい」「腕で前に進もうとしなーい(腕はサポートとして使います)」「膝から下で押さなーい」と、いろんなアドバイスがやってきます。うまく使えば、腿の内転と外転だけでぐっと前に進めるのですよ。

 

(ワニの上陸。この曲げた脚をぐっと回転させることが、前に進む力になります)

 

(ワニになっている生徒さんに「獲物(プーさん)はここよ」。首のカーブがないと、見えません。)

 

この後、四つ足の哺乳類(チーター)に進化するときに、下にくる内臓を背骨で保つために胸が湾曲して腰のカーブができ、ゴリラを経て、人間になっていきます。今回は時間の関係で、残念ながら四つ足体験はできませんでした。

 

でも、もうひとつの念願の、マサイのジャンプは体験できたのです。体軸をしっかりさせることで、ラクに楽しくジャンプできるようになります。自分が跳ぶのも楽しかったですが、他の方がぴょんぴょん跳ぶ姿や、その変化を見るのも、楽しかったです。ほかの人がやっているときに、ワクワクしながら待っていると、先生が「次、やるからね」と声をかけてくださったりして、ワクワクはさらに膨らみます。先生の笑顔や声掛けで、最初は知らない人同志のグループも、あっという間にニコニコでした。

 

進化の過程をなぞりながら背骨を使っていくことで、背骨を感じる感覚が、ぐっと上がります。柔かさも増した気がします。魚が動く起点(頭のてっぺん)は、立つときに上に向かう点に応用できます。それを体が理解することで、体軸もしっかりしてきます。

 

先生は、この進化過程に「ロマンを感じる」とおっしゃっていました。ぴったりな表現ですよね。はるか昔、人間が生まれる前からの進化過程を経た自分が、その恩恵を受けて今ここにいること、そしてその時々の能力を自分が持っていること、そんな風に感じると、一気に可能性が開いていくような気がしませんか?

 

このワーク、医師で人類学者のレーモンド・ダート博士(1893年〜1988年)の研究成果であるダート・プロシージャーをもとにしています。息子さんが脊椎側弯症で、その治療方法をもとめてアレクサンダーテクニークに出会い、そこからのご縁でこのワークにつながっていったようです。

 

実はわたしも13歳のときに、脊椎側弯症と診断されています。西洋医学のお医者さん曰く、「曲がっていること自体は問題ではない」レベルですが、「その影響で周りの筋肉が凝り固まることで問題が起きやすいので注意すること」と、言われてきました。

 

骨が曲がっている方の筋肉が凝りやすく、実際3年くらい前までのわたしのウェストは、左のくびれが少なかったのです。

 

西洋医学的にも、カイロプラクチックなどでも「治らない」とされた湾曲ですが、その後「あなたの心がまっすぐになれば、背骨はまっすぐになる」とおっしゃるボディ・ワークの先生(注:治療師やセラピストではありません)に出会い、「まっすぐになる」という可能性を自分の中に持って、いろいろやってみたところ、湾曲は改善し、ウェストの左のくびれも存在するようになってきました。

 

以前は、太極拳をやっていながら、背骨が曲がっていることは、コンプレックスでもありました。その反面、こういう場合の凝りの痛みも知っています(体が硬いのとは違うのです)し、それをあきらめずに少しずつほぐしていった体験、心とのつながりの気づき、コンプレックスとの付き合い方の変化などなど、ある意味ではとても豊かなプロセスをもたらしてくれました。このワークに出会えたことも、そのひとつなのかもしません。

 

ものすごく長い歴史の中で育まれてきた、背骨の進化の智慧を思い出すことで、わたしも、誰でも、発展していく可能性が開けると思うのです。

 

次は、まだ未体験のチータ―とゴリラを、ぜひ。チーターの優美な歩き方はとっても憧れているので、とても楽しみです。いつになるのかわかりませんが、のんびり、いこうと思います。 

 

 

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ブログタイトル「みんみんの陽だまり太極道日記」の「陽だまり」のイメージは、縁側にのんびり座り、暖かいお日様の光が射しこみ、ぬくぬく、まどろむような時間と空間です。縁側は、なくても生活できますが、あると素晴らしく居心地が良く、今、とても失われている”あそび”や”ゆとり”だと思うのです。モノも置かれておらず、いつもキレイで、どことなくキリリとした印象もあります。太極拳を通して、こんな時間と空間を創っていきたい、陽だまりにつつまれて暮らす人、心身ともにゆとりある人を増やしたい、と思っています。

 

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心と体をむすぶ呼吸

2017.01.29 Sunday

先日のお稽古の前、生徒さんをお待ちしている間、短い瞑想をしました。

 

瞑想の方法はいろいろありますが、このときは、坐骨の上にまっすぐ体を乗せて座り、まず体のチェックからはじめました。余計な力が入っていたり、緊張しているところを見つけて、緩めていきます。それから呼吸に意識を向けます。吸って、吐いて、を繰り返し、”吸う”と”吐く”の移り変わりを大切に観察しながら、呼吸を続けます。

 

しばらくして生徒さんがいらして、「おはようございます」と、出した自分の声は、静かで深くて、自分はこんな声を出すのだと、ちょっと驚きました。短い時間、5分くらいだったと思うのですが、心身のバランスが整って、とても安心してお稽古を始めることができました。

 

太極図(陰陽図)は、ある現象、枠組みを表しています。それが”健康”という枠組みであれば、そこには”心”と”体”が入ります。このふたつの要素のバランスが取れていれば、その形が示すとおり、”円満”となります。この心と体をむすぶのが、呼吸です。

 

人前で話すとき、練習よりも本番の方が速くなるという話をよく聞きます。本番では緊張してストレスがかかるため、呼吸が浅くなり、話すスピードが速くなるからです。本番前に深呼吸をするのは、意識的にゆっくり呼吸をすることで、逆に体の緊張をほぐしていけるからです。

 

呼吸のリズムは自分の意思で変えることができます。心臓の鼓動は自分でコントロールできませんが、呼吸は、意識しさえすれば、たいていの場合は調整することができます。

 

これって、面白いなぁと思うのですよ。自然界を大宇宙とし、人間を小宇宙として対応させた場合、自然界のリズムは勝手に変わったりしません。夜と昼、四季には、”リズム”があります。突然、明日は昼1時間、夜23時間とか、夏から冬になったりとかしません。人のリズムはというと、心臓の鼓動は一定ですが、呼吸は勝手に暴走して速くなることもあります。

 

自然界をお手本として、流れに逆らわずに生きようとするなら、暴走しがちな呼吸のリズムを自分の意思で保つことが、鍵になるような気がします。難しく考えず、呼吸に意識を向けて、丁寧に観察していくだけでも十分だと思います。たとえ1分でも、意識してやると、全然違うと思うのです。

 

中国武術の研究家、松田隆智先生が「中国武術の本」(学習研究社)の中で、人の心と体は本人が思っているよりもはるかにバラバラだ、とおっしゃっていました。心は体の求めるところを知らず、体は心の求めるところを知らず、それぞれが勝手に、あるいは習慣に従って無意識に動いているからだそうです。知らず、というのは、意識化されていない、ということです。

 

バラバラな心と体をつなげていく、つまり無意識を意識化していくことが、カンフー(功夫)の鍛錬の道でもありますが、心と体を呼吸でつなぐというのは、そのベースにあたるような気がします。

 

瞑想するときに、体をチェックして無駄な緊張を取っていく過程で、まず体をゼロベースに戻します(わたしのイメージです)。そして、呼吸に意識を向けることで、余計なことを考えたり、心をとらわれたり、感情の起伏が激しく起きたり、という状態からも解放されていきます。(いかないときもあるかもしれません。そういうときも、あります。)心もゼロベースになります。その状態で

呼吸することで体と心をつないでいくというのは、お互いを意識化に置いて知り合う、良い入口のような気がします。

 

このベースがわかっていると、心が乱れたとき、体が固くなったときにも、わかりやすくなると思うのです。呼吸が乱れることも、体や心が平常ではないことを教えてくれます。ゼロラインを死守ということではなく、そこを基本として、大きくかい離したときに気づくことが大事だと思っています。(気づいても戻れないこともあります。戻りたくないときも、あります。)

 

ゼロラインに近い状態で自分から出る言葉は、最初に書いたように、とっても静かで深くて心地よく、安心します。こういう声、覚えがあるなあ、と思ったら......学生の頃に教えていただいたシスターの声が、そうでした。「ひとり、ひとりを、大切に」と、ゆっくりお話しされるリズムは独特で、不思議な響きでした。常にあの境地にいるのはとてもとても、と思ってしまいますが、せめて、どんなときもベースを持って、いつでもそこに戻ってこられることを目指そうと思います。変わらないものがあるということは、帰る場所があると知ることは、とっても安心できることだと思うのです。それがあれば、変ることを恐れずに済むのかもしれないな、と、思います。

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いしい まゆみ(道号:静慧)/ みんみん)

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5本指ソックスを履くか、履かないか?

2017.01.13 Friday

(Photo by Xie Okajima)

 

5本指ソックス、履いていますか?わたしは、2年くらい前から毎日履くようになり、半年前にやめて普通の靴下になりました。

 

最初に言うと、どちらが良いかと言う話をしたいわけではなく、「これだ」という思い込みにとらわれず、今の状態を見て柔軟に対応するほうが良い、と思っているのです。

 

さて、2年ほど前に履きはじめたきっかけは、立つこと、歩くことを教えていただいた先生から勧められたことです。その頃のわたしの足は、今よりサイズも1cm以上小さく、薄い形をしていました。靴の中に押し込められて、関節の隙間は狭く硬くなり、骨がバラバラに動きにくい状態でした。バラバラに動かす、という意識もなかったように思います。

 

そんなわたしに「骨は全部バラバラに動くんですよ」と、手足をブラブラ振る体操でほぐし、関節の隙間をあけていくことを教えてくださいました。指がそれぞれ動くという意識を育て、実際に使えるようにしていくには、5本指ソックスは役に立ったと思っています。今でもこのバラバラに動くというのは、ひとつの大事なポイントです。バラバラに動ける状態にしておくことで、体全体がそれぞれ、呼応して必要な動きを取ってくれると感じるからです。

 

そんなこともあり「靴下は絶対5本指!」と、ずっと信じてきました。

 

が、ある日のこと、お洗濯の関係で、数少ない普通の靴下の出番がまわってきました。履いてランニングをしはじめたとき、「あれ?」なんだか、この方が足裏が柔かく使えている感覚があるのです。「もしかしたら5本指ソックスの方が窮屈なのかも......」と、初めて感じたのです。

 

履き方にもよると思うのですが、5本指ソックスをぴんっと履くと、足指が反ってしまい、足が地面に接地するときに足指が使えず、足裏の筋肉(足底筋)が張ってしまうらしいのです。それで酷使すると、足底筋膜炎になってしまうこともあるそうです。ぴったり履くと、足指の1本1本が独立して、過緊張を起こすとか。(参考:「「筋肉」よりも「骨」を使え!」甲野善紀 松村卓 著 ディスカヴァー携書 2014年)。

 

なるほど、確かに普通の靴下を履いて走ったときの方が、足が柔かく、楽に使えました。(緩めに履いたら、良いのかもしれませんが。)

 

わたしの場合、最初はよかったのかもしれません。でもそこで覚えた「5本指ソックスは良い」という頭の声が、「きつくて緊張する」という身体の声を無視していた時期もあったようです。それは普通の靴下を履いてみるまで、気づきませんでした。

 

身体全体が動くことは、あまりに当たり前すぎて、知らない間に余計な思い込みを持ってしまうこともあります。例えば、「腕はどこからが腕か?」と聞かれた場合......

 

「肩から」と答えると、腕を動かすとき、肩から先しか動きません。

 

でも本当の腕の始点は、鎖骨です。鎖骨から腕だと理解してから腕を左右に開いて上げていくと、鎖骨も回転することがわかります。この方が、腕はずっと楽に上がります。(なお肩甲骨は、腕の始点ではなく、腕の可動域に影響を与えます。)

 

経験は大事ですが、それは過去の自分でもあります。それも参考にしつつ、今の自分の感覚を大切にして、今、居心地良いものを選んでいきたいです。

 

こんなこと、あるある。思いこみには注意しよう、という自戒を込めて。

 

(武当山)

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